日本が抱える少子高齢化、貧困、経済成長の問題を統計学の視点で考える『統計学が日本を救う』西内啓

こんにちは、小松由和(@komaty)です。

 

最近は、経済、政治、投資の本を読み進めています。

今回読んだのはこちら。

『統計学が日本を救う – 少子高齢化、貧困、経済成長』著:西内啓

2016年11月に発売。2013年に発売した前著『統計学が最強の学問である』はAmazonのレビュー数が232(この記事書いた時点)と人気本です。

 

統計学って聞いたことあるけど具体的にはさっぱりという方に、

統計学(とうけいがく、英: statistics、英: Statistik)とは、統計に関する研究を行う学問である。

統計学は、経験的に得られたバラツキのあるデータから、応用数学の手法を用いて数値上の性質や規則性あるいは不規則性を見いだす。統計的手法は、実験計画、データの要約や解釈を行う上での根拠を提供する学問であり、幅広い分野で応用されている。

現在では、医学(疫学、EBM)、薬学、経済学、社会学、心理学、言語学など、自然科学・社会科学・人文科学の実証分析を伴う分野について、必須の学問となっている。また、統計学は哲学の一分科である科学哲学においても重要なひとつのトピックスになっている。引用)wikipedia

 

統計学とは、データを分析して性質、規則性、不規則性を見出す学問。

この本では、現代の日本が抱える少子高齢化、貧困、経済成長などの社会問題を、人口推移をはじめ様々な統計データを基に分析して、原因の特定と改善策について言及されています。

少子高齢化の根本原因、社会保障費の現状と今後の対策、など、今までなんとなくわかった気でいたことが、根拠となるデータを基に書かれているので、とてもわかりやすく勉強になりました。

 

データの捉え方や、見方は1つだけではないので、この本に書かれていることがすべてではないですが、多くの社会問題を抱える今後の日本を生きていく上で、1つの視点、意見を取り入れておくことは、役立つことと言えると思います。

少し本の内容を紹介したいと思います。

日本の借金1000兆円て言われてるけど実際日本の財政はどうなってるの?


出典)財務省「平成29年度予算のポイント」

・社会保障費32.4兆円(33.3%)
社会保障費のうち、およそ8割は年金11.3兆円、医療11.3兆円、介護2.9兆円で占められている。その他で生活保護、少子化対策。
・地方交付税交付金15.5兆円(16%)
・公共事業費5.9兆円(6.1%)
・文教及び科学振興5.3兆円(5.5%)
・防衛費5.1兆円(5.3%)
・その他9.4兆円(9.7%)
・国債費23.5兆円(24.1%)
毎年発行している国債(国の借金)の利子含めた返済分。

1年の予算の約1/4が借金の返済。

約1/3が年金、医療、介護などの社会保障費。

しかも、少子高齢化はますます進んで高齢者が増えるから社会保障費は増える一方で、働く世代が減少しているから収入(税収)は減る一方。

統計データを見ると、日本の厳しい現実と未来が改めてわかります。

 

少子高齢化の原因とは?

本書では、「出生率の低下」が原因としています。

少子化とは「その社会の人口が維持できないほど出生率が低下する」ことを指します。


出典)国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2016)」

最近の日本の出生率は1.4前後。

現代の日本では合計特殊出生率が2.07はなければ人口は減少に転じるので、明らかに人口減少が進んでいることがわかります。

 

有効な少子化対策はあるの?

少子化が着実に進んでいることはわかりました。

では、科学的根拠に基づく少子化対策とはどんな方法があるのでしょうか?

 

OECD(経済協力開発機構)のレポートでは過去の様々な研究結果と国際的なデータを駆使して、現時点で少子化対策に効果が見込める政策として次の4点を掲げています。

・育児にかかる経済的負担の軽減
・産休、育休の充実
・公的保育サービスの拡充
・女性のパートタイムでの働きやすさ

日本では、

・産休、育休の充実
・女性のパートタイムでの働きやすさ

この2点に関してはOECDの中でも恵まれた水準にありますが、現在の出生率を考慮すると出生率への効果、インパクトは限られていると推測されるので(効果があったら出生率が改善されているはず)、

・育児にかかる経済的負担の軽減
・公的保育サービスの拡充

日本ではこの2点に注目すべき。

現状、日本における税控除や現金給付を合わせた児童給付の水準は、先進国でも最低レベル。少子化も当然という状況なのです。

フランスでは2004年に家族手当の幅広い改革を行って5%程度も出生率を押し上げた分析があります。子供の数が増えるほど所得税率が低くなるという税制優遇。

日本では、子供が3人以上いると貧困に陥る可能性がぐっと高くなる調査結果もあるほど。それほど子育ての金銭的な負担は大きい。子育てにお金がかかるのに加えて、誰かが仕事をする機会を諦めて、子育てをすることによる人的資本の損失が問題視されています。

 

政府が本気で少子化対策に取り組もうというのであれば、「子育て世帯向けの大幅な減税、給付」「保育サービスの拡充」を図ることが必要ではないかと。

今後の経済成長、少子高齢化の対策に、少子化対策は不可欠なのに、現時点の国家予算では少子化対策は社会保障費の中でもごく一部。

現代の日本は、高齢者へのサポートは手厚い一方、子供への投資、未来への投資が少ない状況です。

 

幼児教育は費用対効果の高い投資である

少子化対策として、子供への投資が少ない現状、子供への投資は意味がないのでしょうか?

統計やデータに基づくと、幼児教育はお買い得な投資であることがわかっています。

一例としては、アメリカで行われた「ペリー幼稚園プログラム」があります。このプログラムでは、幼児教育を受けた子供と受けなかった子供では大人になってからの収入や犯罪歴などいづれの項目にも幼児教育を受けると好影響があることがわかっています。

 

例えば、生活保護を行えば1人あたり年間約180万円のコストを税金から支払わなければいけません。

もし生活保護を行わなくて、犯罪者が生まれてしまった場合は、私たちの安全や財産が脅かされた挙句、逮捕された後も1人あたり年間約300万円ものコストが生じます。

だったらそもそもの原因である非認知能力を「幼児期教育」というきわめて低コストで堅実な投資で鍛えておいた方がはるかに賢明ではないだろうかと。

そして、救済するためのコスト以上にもったいないのは、国の経済を支えられたはずの人的資源が救済される他ない状態になって無為に失われてしまうことです。

 

高齢者が仕事すればみんな得する?

少子化対策の一方で、増加する高齢者による年金、医療、介護といった社会保障費の増加も大きな問題です。

これまで60歳で定年退職してのんびり老後を過ごす人生設計が一般的でしたが、最近では60歳で再雇用されて65歳まで働く例も増えてきています。収入的に60歳過ぎても働かないと生活が厳しいからという人も多いと思いますが。

 

医療の発達や健康食の普及などによって健康的な高齢者は昔に比べて増えているんだから、60歳を過ぎても仕事ができる方は仕事をしている方が、やりがいもあるし、収入も増えるし、要介護になるリスクが低減する上、介護が必要になるまでの期間を先延ばしにすることで、国全体のコストが下がるだけでなく生産が上がります。

だから、60歳で定年退職する必要はないし、企業側も健康であれば60歳過ぎてもバリバリ働いて会社に貢献してもらうくらいの方が双方にとっても都合がよい。

できる限り長く働いてもらって税金を納めてもらい、しかも本人が高い幸福度を示してくれたのであれば、誰も損をしない話。

 

今後高齢者が仕事をするのは今よりも一般的になるであろうと予測できますし、60歳を過ぎても仕事をする人向けに、新しい関連サービスやビジネスも生まれてくるかもしれません。

 

単純な人口増加は経済成長にならない。

国の経済成長には人口増加は欠かせません。

中国やインドはいわゆる人口ボーナスも伴って経済成長してきました。戦後日本もベビーブームで人口ボーナスがあったので同様です。

 

しかし、単純に人口が増えれば経済成長するのかというと、そんな簡単な話でもありません。人口増加によって、人的資本の量が増えても教育が追いつかないと、人的資本の質が低下してしまうので、質の低い人へのサポートが必要となり、結果として経済成長をコストが上回り経済成長が阻害される状況に陥ります。

実際にアフリカには、日本よりも人口増加が著しい国がありますが、その多くは順調に経済成長しているわけではありません。

日本がこれまで経済成長できたのも、人口増加にあわせて、家計としても政府としても教育にコストをかけて質の高い教育がセットになっていたから。

 

アメリカ、ヨーロッパでは移民問題が日々取り上げられていますが、移民を増やして人口増加すれば国の経済は成長する、といった簡単な話ではないことがわかります。

人口増加すると、その分教育コストも増加します。そのバランスが崩れてしまうと、人口増加が経済成長を促すどころか、むしろ阻害してしまう原因ともなりかねません。

 

人口減少が目に見えている日本が目指す道はどこなのでしょうか。

出生率を改善して少子化を改善するのか、

移民を受け入れて人口増加を図るのか、

はたまた、違う道なのか。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

 

社会問題をはじめ、あらゆる問題を解決するには、過去のデータ分析が欠かせないことがわかりました。

未来を予測するにはまず過去を知ることの重要性がわかりました。

今回ご紹介した内容は書籍の一部ですので、ぜひ一読ください。

 

 

以上、「日本が抱える少子高齢化、貧困、経済成長の問題を統計学の視点で考える『統計学が日本を救う』西内啓」でした!

それではまた!

参考、引用

『統計学が日本を救う – 少子高齢化、貧困、経済成長』著:西内啓

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