「マネーフォワードクラウド会計を導入したけれど、誰にどこまでの権限を与えるべきか分からない」
「経理担当者に全権限を与えるのは不安だし、かといって制限しすぎると業務に支障が出そう」
「役員は何を見られるようにして、一般社員はどこまでアクセスできるようにすべき？」
このような悩みを抱えている経営者や管理者の方は多いのではないでしょうか。
実は、適切な権限設定は、会社の内部統制とセキュリティを守りながら、業務効率を最大化する重要な要素です。
この記事では、マネーフォワードクラウド会計の権限設定について、役職や担当業務に応じた最適な設定方法を具体例とともに詳しく解説します。
読み終わる頃には、あなたの会社に最適な権限設定が明確になり、すぐに実践できるようになるでしょう。
なぜマネーフォワードクラウド会計の権限設定が重要なのか
クラウド会計システムの普及により、複数の担当者が同時に会計データにアクセスできるようになりました。これは業務効率の向上につながる一方で、適切な権限管理を行わないと深刻な問題を引き起こす可能性があります。
権限設定を誤ると起こりうる3つのリスク
1. 情報漏洩リスク
全社員が給与データや取引先の機密情報にアクセスできる状態は、情報漏洩の温床となります。実際に、退職者が在職中にダウンロードした顧客リストを競合他社に持ち込んだ事例も報告されています。
2. データの誤操作・改ざんリスク
経理の知識が不十分な担当者が誤って重要な仕訳を削除したり、意図的にデータを改ざんしたりする可能性があります。ある中小企業では、権限管理の不備により、一般社員が誤って前年度の決算データを上書きしてしまい、復旧に多大な時間とコストがかかった事例があります。
3. 内部統制の機能不全
上場企業や上場準備企業では、内部統制報告書（J-SOX）への対応が必須です。適切な職務分掌と権限設定は、内部統制の基本中の基本。これを怠ると、監査で指摘を受けるだけでなく、企業の信頼性にも影響します。
一方で制限しすぎることの弊害
権限を制限しすぎると、今度は業務効率が著しく低下します。例えば、経理担当者が請求書の発行権限を持っていない場合、その都度上司の承認を得る必要があり、請求業務が滞ってしまいます。月末の繁忙期には、この承認待ちがボトルネックとなり、取引先への請求が遅れる原因にもなりかねません。
つまり、セキュリティと業務効率のバランスを取ることが、権限設定の最大の課題なのです。
役職・担当業務別の最適な権限設定方法
では、具体的にどのような権限設定を行えばよいのでしょうか。ここでは、一般的な企業における役職・担当業務別の推奨設定を詳しく解説します。なお、マネーフォワードクラウド会計の詳細な機能については、「マネーフォワード クラウド会計」徹底ガイドでも解説していますので、あわせてご確認ください。
1. 経営者・役員向けの権限設定
推奨権限レベル：管理者権限（一部制限付き）
経営者や役員は、経営判断に必要な財務情報へのアクセスが必要です。ただし、日常的な仕訳入力などの実務は行わないため、以下のような設定が理想的です。
- 閲覧権限：全データの閲覧可能
- 承認権限：重要な取引の最終承認権限
- 入力権限：制限（誤操作防止のため）
- 削除権限：制限（データ保護のため）
- 設定変更権限：制限（システム管理者に委譲）
具体的な設定例：
A社の代表取締役は、月次決算レポートや資金繰り表、取引先別の売掛金・買掛金残高などは自由に閲覧できますが、仕訳の直接入力はできないよう設定。重要な支払いや契約に関する最終承認のみ行える権限としています。
2. 経理責任者向けの権限設定
推奨権限レベル：準管理者権限
経理責任者は、日々の経理業務を統括する立場にあるため、幅広い権限が必要です。ただし、システム設定の変更など、影響範囲の大きい操作は制限することをお勧めします。
- 閲覧権限：全データの閲覧可能
- 入力権限：全ての仕訳入力可能
- 修正権限：過去データの修正可能（ログ記録付き）
- 承認権限：一定金額以下の取引承認
- マスタ設定権限：勘定科目や取引先マスタの編集可能
- ユーザー管理権限：制限（システム管理者のみ）
実践的なポイント：
B社では、経理責任者に月次決算の確定権限を与えていますが、確定後の修正には経営者の承認が必要な設定にしています。これにより、決算数値の信頼性を保ちながら、業務の効率性も確保しています。
3. 経理担当者向けの権限設定
推奨権限レベル：一般ユーザー権限（業務範囲に応じて調整）
経理担当者の権限は、担当業務によって細かく設定する必要があります。売掛金担当、買掛金担当、経費精算担当など、それぞれの業務に必要な最小限の権限を付与します。
売掛金担当者の例：
- 請求書の作成・発行権限
- 売上仕訳の入力権限
- 入金消込の権限
- 売掛金レポートの閲覧権限
- 他の担当者が入力した買掛金データへのアクセス：制限
買掛金担当者の例：
- 支払予定表の作成権限
- 仕入仕訳の入力権限
- 支払処理の実行権限（金額制限付き）
- 買掛金レポートの閲覧権限
- 給与データへのアクセス：制限
4. 営業部門向けの権限設定
推奨権限レベル：限定的な閲覧権限
営業部門には、業務に必要な情報のみアクセスできるよう設定します。
- 自部門の売上データ閲覧
- 取引先別の売掛金残高確認（自身の担当先のみ）
- 請求書の閲覧（発行は不可）
- 経費精算の申請（承認は上司）
セキュリティ強化のコツ：
C社では、営業担当者が閲覧できる取引先データを、自身が担当する顧客に限定しています。これにより、他の営業担当者の顧客情報が漏洩するリスクを防いでいます。
5. 一般社員向けの権限設定
推奨権限レベル：最小限の権限
一般社員には、経費精算など自身に関わる業務のみ権限を付与します。
- 経費精算の申請機能のみ
- 自身の申請履歴の閲覧
- 会計データへのアクセス：全て制限
他社システムとの比較から見る最適な選択
マネーフォワードクラウド会計の権限設定機能は、他の主要なクラウド会計システムと比較しても充実しています。
主要3社の権限設定機能比較
マネーフォワードクラウド会計の強み：
- 役職別・機能別の細かな権限設定が可能
- 承認フローのカスタマイズが柔軟
- 操作ログの詳細な記録と検索機能
- API連携時の権限制御も可能
freee会計との比較：
freeeも優れた権限管理機能を持っていますが、マネーフォワードの方が大規模組織向けの細かな設定に対応しています。特に、部門別の権限設定や承認ルートの複雑な分岐に強みがあります。
弥生会計オンラインとの比較：
弥生会計オンラインは、シンプルで分かりやすい権限設定が特徴ですが、大企業向けの複雑な権限管理には限界があります。中小企業で基本的な権限管理で十分な場合は選択肢となりますが、成長を見据えるならマネーフォワードが適しています。
どんな企業にマネーフォワードクラウド会計が最適か
- 従業員数30名以上の中堅・大企業
- 複数部門・複数拠点を持つ企業
- 内部統制の強化が必要な上場準備企業
- 業務の自動化と権限管理を両立したい成長企業
今すぐ始められる権限設定の実践ステップ
ここまで読んで、自社に最適な権限設定のイメージが湧いてきたのではないでしょうか。最後に、実際に権限設定を行う際の具体的なステップをご紹介します。
ステップ1：現状の業務フローと役割を整理する
まず、誰がどんな業務を担当しているか、Excel等で一覧表を作成しましょう。この際、実際の業務内容だけでなく、理想的な職務分掌も併せて検討することが重要です。
ステップ2：リスクレベルに応じた権限マトリクスを作成
各業務のリスクレベル（金額の大きさ、情報の機密性など）を評価し、それに応じた権限レベルを設定します。
ステップ3：マネーフォワードクラウド会計で実際に設定
管理画面から「設定」→「ユーザー管理」→「権限設定」と進み、作成した権限マトリクスに基づいて設定を行います。
ステップ4：定期的な見直しと改善
3ヶ月に1回は権限設定を見直し、業務の変化に応じて調整しましょう。
マネーフォワードクラウド会計なら、これらの設定を直感的に行うことができます。まだ導入していない方は、1ヶ月無料トライアルで、実際の操作感を確認してみることをお勧めします。
適切な権限設定は、セキュリティの向上だけでなく、業務効率の改善にもつながります。この記事を参考に、ぜひ自社に最適な権限設定を実現してください。さらに詳しい活用方法については、マネーフォワードクラウド会計の徹底ガイドも併せてご覧いただければ、より深い理解が得られるはずです。