出典: Google Workspace Updates Blog
元記事の投稿日: 2025年6月30日
「生徒一人ひとりに向き合う時間を、もっと確保したい」
これは、日々多忙を極める、すべての先生方の切なる願いではないでしょうか。
授業計画の作成、小テストの準備、評価ルーブリックの作成、そして生徒からの質問への対応…。
もし、こうした準備や事務作業の一部を、信頼できるアシスタントに任せることができたら。
先生方は、教育という創造的な仕事に、もっと多くの時間と情熱を注げるはずです。
本日ご紹介するのは、その願いを現実にする、Google Classroomの革命的なアップデートです。
何が変わった?AIアシスタント「Gemini in Classroom」が全プランで利用可能に
これまで、Google Workspace for Educationの有料アドオン(Gemini Educationなど)を契約しているユーザー限定だった「Gemini in Classroom」。この、授業準備や教材作成を強力にサポートするAI機能が、ついにすべてのGoogle Workspace for Educationプラン(Fundamentals, Standard, Plus)で、18歳以上の教職員向けに利用可能になりました。
これにより、追加費用なしで、30種類以上ものAIツールが、先生方の日常業務をサポートします。Google Classroomの中に、まさに専属の教育アシスタントが常駐するようなものです。
AIができること:授業準備が「アイデア出し」から「課題配信」までシームレスに
新しい「Gemini」タブから、先生方は学習目標に基づいて、様々な教材やリソースの初稿をAIに作成させることができます。
【AIによる教材作成の具体例】
評価ルーブリックの作成:
「この作文課題に対する評価基準を、5段階評価のルーブリックで作って」と指示するだけで、観点別の詳細な評価基準案を生成します。プロジェクトのアイデア出し:
「SDGsをテーマにした、中学2年生向けの探究学習プロジェクトのアイデアを5つ提案して」といった、創造的なブレインストーミングをサポート。選択式課題(チョイスボード)の構築:
生徒が自分の興味や理解度に応じて課題を選べる「チョイスボード」の選択肢と内容を自動で作成。個別最適な学びを促進します。情報テキストや物語の執筆:
「日本の江戸時代について、小学生にも分かるように説明する文章を書いて」「友情をテーマにした短い物語を作って」など、読解用の教材を瞬時に作成。よくある誤解への対処:
「分数の割り算で生徒がよく間違えるポイントと、その教え方を説明して」など、指導上のヒントも提供します。
【さらに進化した機能】
チャット形式での対話的な修正:
AIが生成した内容に対して、「もっと専門的な言葉を使って」「小学生向けに書き直して」といった形で、チャットで対話しながら内容を修正・改善していくことができます。ワンクリックで課題配信:
AIと協力して完成させた教材は、「クラスに追加」ボタン一つで、そのまま特定のクラスの課題として配信できます。Classroom内でアイデア出しから課題作成、配信までがシームレスに完結します。
日本の先生方にとっての大きなメリット
このアップデートは、日本の先生方の「働き方改革」を強力に後押しします。
圧倒的な時間創出:
これまで何時間もかかっていた教材準備や事務作業の時間が劇的に短縮されます。これにより生まれた時間を、生徒との対話や、より創造的な授業の設計、そして先生方自身の自己研鑽に充てることができます。個別最適な学びの実現:
生徒一人ひとりの習熟度や興味関心に合わせた多様な教材を、AIの助けを借りて簡単に作成できます。これにより、画一的ではない、真の個別最適な学びの実現に近づきます。アイデアの壁打ち相手として:
「こんな授業はどうだろう?」というアイデアをGeminiに投げかけることで、自分一人では思いつかなかったような新しい視点や、具体的な活動案を得ることができます。
管理者・先生向け:導入と活用の注意点
対象ユーザーと言語:
この機能は、18歳以上の教職員向けに、英語で提供が開始されます。(今後の日本語対応が期待されます)管理者によるアクセス制御:
管理者は、管理コンソールからどのユーザーに「Gemini in Classroom」の利用を許可するかを制御できます。組織の年齢ベースのアクセス設定で「18歳以上」と指定されているユーザーのみが対象となります。【重要】AI生成コンテンツのレビュー
AIは間違いを犯す可能性があります。AIが生成したコンテンツは、必ず先生自身の目でレビューし、教育的な観点や地域のポリシーに合わせて編集・修正してから生徒に提供するようにしてください。AIはあくまで「優秀なアシスタント」であり、最終的な責任は教育者にあるという認識が重要です。
まとめ
「Gemini in Classroom」の全プランへの拡大は、テクノロジーが教育現場をどう変えることができるかを示す、象徴的な出来事です。
AIは、教師の代わりになるものではありません。むしろ、教師を日々の煩雑な業務から解放し、教育という人間的な営みの最も大切な部分、すなわち「生徒と向き合い、その成長を支える」ことに集中させてくれる、最強のパートナーなのです。この新しいアシスタントと共に、教育の未来を創造していきましょう。