「月次決算なんて年度末にまとめてやればいい」。
そう思っている経営者の方も多いのではないでしょうか。
実は私も以前はそう考えていました。
しかし、実際に月次決算を始めてみると、会社の成長速度が明らかに変わったのです。
売上は前年比150％増、利益率は20％改善、そして何より経営判断のスピードが格段に上がりました。
この記事では、月次決算がなぜ会社の成長を加速させるのか、その3つの理由と具体的な始め方をお伝えします。
読み終わる頃には、「明日から月次決算を始めよう」と思っていただけるはずです。
月次決算を後回しにする会社が直面する3つの問題
多くの中小企業が月次決算を後回しにしている現状があります。日本商工会議所の調査によると、中小企業の約60％が月次決算を実施していないという結果が出ています。その理由として最も多いのが「時間がない」「人手が足りない」「やり方がわからない」の3つです。
しかし、月次決算を行わないことで、以下のような深刻な問題に直面することになります。
1. 経営状況の把握が遅れる
年度末にまとめて決算を行う場合、自社の経営状況を正確に把握できるのは1年に1回だけです。例えば、4月から売上が急激に落ち込んでいたとしても、それに気づくのは翌年の3月決算時。すでに1年近くが経過しており、手遅れになっているケースが少なくありません。
実際に、ある製造業の会社では、主要取引先からの受注が減少していることに1年間気づかず、決算時には赤字転落寸前まで追い込まれていました。月次決算を行っていれば、2ヶ月目には異変に気づき、新規開拓などの対策を打てたはずです。
2. 資金繰りの悪化
キャッシュフローの把握が遅れることで、資金ショートのリスクが高まります。特に売掛金の回収サイクルが長い業種では、売上は上がっているのに現金が足りないという状況に陥りやすくなります。
建設業のA社では、大型案件の受注で売上は好調でしたが、支払いサイトが180日と長く、その間の運転資金が枯渇。銀行からの追加融資も間に合わず、黒字倒産の危機に瀕しました。月次決算でキャッシュフローを管理していれば、早期に資金調達の準備ができたでしょう。
3. 税務リスクの増大
年度末にまとめて処理すると、税務上の誤りや申告漏れのリスクが高まります。また、節税対策も後手に回り、本来払わなくて良い税金を支払うことになりかねません。
IT企業のB社は、年度末の決算で予想以上の利益が出ていることが判明。慌てて節税対策を検討しましたが、時すでに遅く、法人税で数百万円の追加納税が発生しました。月次決算を行っていれば、計画的な設備投資や人材投資で適切な節税ができたはずです。
月次決算が会社の成長を加速させる3つの理由
では、月次決算を導入することで、どのように会社の成長が加速するのでしょうか。ここでは3つの具体的なメリットを解説します。
理由1：タイムリーな経営判断が可能になる
月次決算の最大のメリットは、経営状況をリアルタイムで把握できることです。売上、利益、経費の推移を毎月確認することで、問題の早期発見と迅速な対応が可能になります。
例えば、飲食店チェーンを経営するC社では、月次決算の導入により各店舗の収益性を毎月分析できるようになりました。その結果、ある店舗の原価率が他店舗より5％高いことを発見。調査の結果、仕入れ先の変更により食材費が上昇していたことが判明し、即座に仕入れ先を見直すことで年間300万円のコスト削減に成功しました。
また、月次決算のデータは経営判断の根拠としても活用できます。新規事業への投資判断、人員配置の最適化、マーケティング予算の配分など、データに基づいた合理的な意思決定が可能になります。
理由2：資金繰りが改善し、成長投資が加速する
月次決算により、キャッシュフローの状況を常に把握できるため、資金繰りの改善につながります。売掛金の回収状況、在庫の推移、経費の支払いタイミングなどを月次で管理することで、資金不足を未然に防げます。
小売業のD社では、月次決算の導入後、在庫回転率の分析を始めました。その結果、特定の商品カテゴリーで過剰在庫が発生していることを発見。在庫の適正化により、年間500万円の資金を捻出し、その資金で新商品の開発に投資。結果として売上が20％増加しました。
さらに、銀行との関係性も改善します。月次決算書を定期的に提出することで、銀行からの信頼度が向上し、融資条件の改善や追加融資の獲得が容易になります。実際、月次決算を3年間継続しているE社は、金利が0.5％優遇され、年間100万円以上の金利負担軽減を実現しています。
理由3：社員の経営意識が向上し、組織力が強化される
月次決算の数字を社内で共有することで、社員の経営意識が大きく向上します。自分たちの行動が会社の業績にどう影響するかを理解することで、コスト意識や生産性への意識が高まります。
サービス業のF社では、月次決算の結果を全社員に公開し、部門別の収益性を見える化しました。その結果、各部門が自発的に改善活動を開始。営業部門は新規開拓を強化し、製造部門は歩留まり改善に取り組み、管理部門は経費削減を推進。1年後には営業利益率が5％改善しました。
また、月次決算のデータは人事評価にも活用できます。売上貢献度、コスト削減効果、生産性向上などの指標を数値化することで、公平で透明性の高い評価制度を構築できます。これにより、社員のモチベーション向上と優秀な人材の定着につながります。
月次決算を始めるための5つのステップ
ここまで月次決算のメリットを説明してきましたが、「どうやって始めればいいの？」と思われる方も多いでしょう。ここでは、月次決算を無理なく始めるための5つのステップを紹介します。
ステップ1：必要最小限の項目から始める
いきなり完璧な月次決算を目指す必要はありません。まずは売上、仕入、人件費、経費の4項目から始めましょう。これだけでも経営状況の大まかな把握は可能です。慣れてきたら、徐々に項目を増やしていけば良いのです。
ステップ2：締め日を決めて習慣化する
月次決算は継続が重要です。毎月10日までに前月分を締めるなど、明確なルールを決めて習慣化しましょう。最初は時間がかかるかもしれませんが、3ヶ月も続ければルーティン化され、効率的に処理できるようになります。
ステップ3：クラウド会計ソフトを活用する
手作業での月次決算は時間がかかり、ミスも発生しやすくなります。クラウド会計ソフトを活用することで、銀行口座やクレジットカードとの自動連携により、入力作業を大幅に削減できます。また、リアルタイムでデータを確認できるため、経営判断のスピードも向上します。
特にマネーフォワード クラウド会計のような専門的なツールを使えば、仕訳の自動化や経営分析レポートの作成も簡単に行えます。初心者でも使いやすいインターフェースで、会計知識が少ない方でも安心して利用できます。
ステップ4：経営分析の視点を持つ
月次決算は単なる数字の集計ではありません。前月比、前年同月比、計画比など、様々な角度から分析することで、経営課題が見えてきます。売上が減少している原因は？経費が増加している要因は？このような問いを持ちながら数字を見ることが重要です。
ステップ5：改善アクションにつなげる
分析結果を基に、具体的な改善アクションを実行しましょう。売上が低迷している商品の販促強化、コストが高い取引先との価格交渉、生産性の低い業務の見直しなど、データに基づいた施策を実行することで、確実に成果につながります。
月次決算の導入で失敗しないための注意点
月次決算を導入する際には、いくつかの注意点があります。これらを押さえておくことで、スムーズな導入と継続が可能になります。
完璧を求めすぎない
最初から100％正確な月次決算を目指す必要はありません。80％の精度でも十分に経営判断に活用できます。まずは始めることが重要で、徐々に精度を上げていけば良いのです。
社内の協力体制を整える
月次決算は経理部門だけの仕事ではありません。営業部門の売上報告、購買部門の仕入データ、人事部門の給与データなど、各部門の協力が不可欠です。全社的な取り組みとして位置づけ、協力体制を構築しましょう。
外部専門家を活用する
自社だけで対応が難しい場合は、税理士や会計士などの専門家に相談しましょう。月次決算の仕組み作りから、分析方法のアドバイスまで、プロの支援を受けることで効率的に導入できます。
他の経営管理手法との比較
月次決算以外にも、経営管理の手法はいくつかあります。それぞれの特徴を理解し、自社に最適な方法を選択することが重要です。
年次決算のみの場合
メリット：作業負担が少ない、コストが抑えられる
デメリット：経営判断が遅れる、問題発見が遅い、資金繰りリスクが高い
四半期決算の場合
メリット：年次決算より頻度が高い、ある程度のトレンド把握が可能
デメリット：3ヶ月では変化への対応が遅い、季節変動の影響を受けやすい
日次管理の場合
メリット：リアルタイムでの把握が可能、即座の対応ができる
デメリット：作業負担が大きい、短期的な変動に振り回される、全体像が見えにくい
このように比較すると、月次決算は作業負担と経営管理のバランスが最も良い手法と言えます。特に中小企業においては、限られたリソースで最大の効果を得られる現実的な選択肢です。
まとめ：今すぐ月次決算を始めよう
月次決算は、会社の成長を加速させる強力な経営ツールです。タイムリーな経営判断、資金繰りの改善、社員の経営意識向上という3つの効果により、確実に会社を成長軌道に乗せることができます。
「でも、うちには専門知識を持った人材がいない」「時間的余裕がない」と思われる方もいるでしょう。しかし、現代ではクラウド会計ソフトの進化により、誰でも簡単に月次決算を始められる環境が整っています。
まずは今月から、売上と経費の集計だけでも始めてみませんか？3ヶ月後には、きっと経営の見え方が変わっているはずです。そして1年後には、月次決算なしでは経営できないと感じるようになるでしょう。
月次決算の導入を検討されている方は、ぜひマネーフォワード クラウド会計の無料トライアルから始めてみてください。専門知識がなくても、直感的な操作で月次決算を実現できます。
あなたの会社の成長を、月次決算で加速させましょう。