「顧客データがバラバラで、マーケティング施策の効果が見えない」
「HubSpotのCRMは使っているけど、他のツールとの連携が手作業で大変」
「もっと効率的にリード管理をしたいけど、プログラミングの知識がない」
こんな悩みを抱えていませんか?
実は、これらの課題はMake(旧Integromat)とHubSpotを連携させることで、プログラミング知識なしで解決できます。
この記事では、私が実際に構築したMakeとHubSpotの連携システムを例に、CRMデータを活用した効果的なマーケティングオートメーションの構築方法を詳しく解説します。
なぜ今、MakeとHubSpotの連携が重要なのか
現代のマーケティング活動において、顧客データの一元管理と自動化は避けて通れない課題です。HubSpotは優れたCRM機能を提供していますが、すべての業務をHubSpot内で完結させることは現実的ではありません。
例えば、以下のような状況に心当たりはありませんか?
- Googleフォームで収集した問い合わせ情報を手動でHubSpotに転記している
- SlackやMicrosoft Teamsへの通知を、都度手動で行っている
- 複数のツールから集めたデータを、Excelで手作業で統合している
- 顧客のステータス変更に応じた自動メール配信ができていない
これらの作業に毎日1〜2時間を費やしているとすれば、年間で約500時間もの時間を非生産的な作業に使っていることになります。この時間を戦略的なマーケティング活動に充てられたら、どれだけの成果が期待できるでしょうか。
私自身、以前は毎朝30分かけてGoogleフォームの回答をHubSpotに転記し、さらに30分かけてSlackに通知を送っていました。しかし、Makeを導入してからは、これらの作業が完全に自動化され、朝の貴重な1時間を戦略立案に使えるようになりました。
さらに重要なのは、自動化により人的ミスがゼロになったことです。手作業では避けられなかった転記ミスや通知漏れがなくなり、顧客対応の品質が大幅に向上しました。
MakeとHubSpotを連携させる具体的な方法
ここからは、実際にMakeとHubSpotを連携させる手順を、具体的なユースケースとともに解説します。初心者の方でも迷わず設定できるよう、画面の操作手順も含めて詳しく説明します。
ステップ1:Make側の初期設定
まず、Makeの無料アカウントを作成します。無料プランでも月1,000回の操作が可能なので、小規模な自動化から始めるには十分です。
アカウント作成後、以下の手順で新しいシナリオを作成します:
- ダッシュボードから「Create a new scenario」をクリック
- 検索バーに「HubSpot」と入力し、HubSpotモジュールを選択
- 使用したいアクション(例:「Create a Contact」)を選択
ステップ2:HubSpotとの接続設定
HubSpotとMakeを接続するには、APIキーまたはOAuth認証を使用します。セキュリティの観点から、OAuth認証を推奨します。
接続手順:
- Makeのシナリオ編集画面で、HubSpotモジュールをクリック
- 「Add」ボタンをクリックして新しい接続を作成
- 「Connection name」に分かりやすい名前(例:「HubSpot本番環境」)を入力
- 「Sign in with HubSpot」をクリックし、HubSpotアカウントでログイン
- 必要な権限を確認し、「Connect app」をクリック
接続が成功すると、Makeから直接HubSpotのデータにアクセスできるようになります。
ステップ3:実践的な自動化シナリオの構築
ここでは、実際に効果的だった3つの自動化シナリオを紹介します。
シナリオ1:Googleフォームの回答を自動でHubSpotに登録
このシナリオでは、Googleフォームで収集した問い合わせ情報を、リアルタイムでHubSpotのコンタクトとして登録します。
設定手順:
- トリガーモジュールとして「Google Forms」の「Watch Responses」を選択
- 対象のGoogleフォームを選択し、必要なフィールドをマッピング
- アクションモジュールとして「HubSpot」の「Create a Contact」を追加
- フォームの各項目をHubSpotのプロパティにマッピング
- 重複チェックのため、「Search for Contacts」モジュールを前に挿入
このシナリオにより、フォーム送信から3秒以内にHubSpotにデータが反映されるようになりました。
シナリオ2:リードスコアに基づく自動タスク作成
HubSpotのリードスコアが一定値を超えた際に、営業チームに自動でタスクを割り当てるシナリオです。
実装のポイント:
- 「Watch Contacts」モジュールで、リードスコアプロパティの変更を監視
- フィルター機能で「リードスコア > 70」の条件を設定
- 条件に合致した場合、「Create a Task」でタスクを自動生成
- 同時にSlackへ通知を送信し、迅速な対応を促す
この自動化により、ホットリードへの初回接触時間が平均48時間から2時間に短縮されました。
シナリオ3:顧客ステージに応じた自動メール配信
顧客のライフサイクルステージが変更された際に、適切なコンテンツを自動配信するシナリオです。
構築のコツ:
- 「Watch Deal Stage Changes」でディールのステージ変更を検知
- ステージごとに異なるメールテンプレートを用意
- 「Router」モジュールを使用して、ステージに応じた分岐処理を実装
- 各ルートで適切なメールを「Send an Email」モジュールで送信
よくある失敗とその回避方法
Make初心者が陥りやすい失敗パターンと、その解決策を紹介します。
1. APIレート制限によるエラー
HubSpotのAPIには呼び出し回数の制限があります。大量のデータを処理する際は、以下の対策が必要です:
- 「Sleep」モジュールを使用して、処理間に待機時間を設定
- バッチ処理可能なAPIエンドポイントを優先的に使用
- ピーク時間を避けてスケジュール実行する
2. データマッピングのミス
フィールドの対応関係を間違えると、意図しないデータが登録されます。防止策として:
- テスト環境で十分に動作確認を行う
- 「Data Store」を使用してマッピングテーブルを管理
- エラーハンドリングを適切に設定する
3. 無限ループの発生
双方向同期を設定する際に、無限ループが発生することがあります。回避方法:
- 更新日時を記録し、一定時間内の重複更新を防ぐ
- 専用のフラグフィールドを用意して、自動更新を識別
- Webhookの設定で、特定の更新を除外する
他の連携方法との比較
MakeとHubSpotの連携以外にも、いくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
Zapierとの比較
Zapierも人気のある自動化ツールですが、Makeには以下の優位性があります:
- 視覚的なフローエディタで複雑な分岐処理が構築しやすい
- 無料プランでも十分な機能が使える(Zapierは5Zapsまで)
- エラーハンドリングがより柔軟で、失敗時の再実行が容易
一方、Zapierは対応アプリ数が多く、日本語のサポートも充実しています。シンプルな連携ならZapier、複雑な処理ならMakeという使い分けが適切です。
HubSpotネイティブのワークフロー機能との比較
HubSpot内蔵のワークフロー機能も強力ですが、以下の制限があります:
- HubSpot外のアプリケーションとの連携が限定的
- Professional以上のプランが必要(月額約5万円〜)
- 複雑な条件分岐やループ処理が困難
Makeを使用することで、これらの制限を回避し、より柔軟な自動化が実現できます。
どんな企業におすすめか
Make × HubSpot連携は、特に以下のような企業に適しています:
- 複数のSaaSツールを組み合わせて業務を行っている
- エンジニアリソースが限られている
- 段階的に自動化を進めたい
- コストを抑えながら高度な自動化を実現したい
まとめ:今すぐ始められる最初の一歩
MakeとHubSpotの連携により、マーケティング業務の自動化は驚くほど簡単に実現できます。プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップで高度な自動化フローを構築できるのがMakeの最大の魅力です。
まずは、最も時間がかかっている手作業を1つ選んで、自動化してみることをおすすめします。例えば、フォームデータの転記や、定型的な通知作業など、シンプルなものから始めましょう。
最初の自動化に成功すれば、その効果を実感し、次々と新しいアイデアが湧いてくるはずです。私も最初は半信半疑でしたが、今では50以上のシナリオが24時間365日働いてくれています。
より詳しいMakeの使い方については、Make完全ガイド記事で基礎から応用まで解説していますので、ぜひ参考にしてください。
さあ、今すぐMakeの無料アカウントを作成して、マーケティング自動化の第一歩を踏み出しましょう。きっと3ヶ月後には、「なぜもっと早く始めなかったのか」と思うはずです。