本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年8月13日に作成されました。
Googleスライドでプレゼン資料を作成している時や、新しい動画作成ツールGoogle Vidsでビデオを制作している時、こんな壁にぶつかった経験はありませんか。
「この製品写真、背景がごちゃごちゃしていて、製品自体が引き立たない…背景だけをスッキリさせたいけど、画像編集ソフトを使うのは面倒だ。」
「チーム紹介スライドを作りたいけど、メンバーが撮った写真の背景がバラバラで、統一感が出ない…」
「この画像、もう少し横に広げてスライドの背景全体に使いたいけど、引き伸ばすと歪んでしまって見栄えが悪い…」
魅力的なビジュアルは、聴衆の理解を助け、メッセージを効果的に伝えるために不可欠です。しかし、手元にある画像を、資料の文脈に合わせて完璧に調整するには、これまで専門的なデザインスキルや、高価な編集ソフトが必要でした。
この「デザインの壁」を取り払い、誰もがプロフェッショナルなビジュアルを、スライドやVidsの中から直接、そして瞬時に作成できる。そんな未来を実現する、2つの強力なAI画像編集機能が、Google Workspaceに搭載されました。
今回は、あなたのプレゼンテーションとビデオ制作のクオリティを、異次元のレベルへと引き上げる、「背景の置換」と「背景の拡張」機能について、その驚きの能力と具体的な活用方法を詳しく解説していきます。
新機能1:「背景を置換」- 写真の”場所”を自由自在に変える魔法
まずご紹介するのは、画像の主要な被写体はそのままに、その背景だけを、あなたの望むどんなシーンにも一瞬で置き換えることができる「背景を置換」機能です。
これまでも、背景を「削除」して透明にすることは可能でしたが、今回のアップデートでは、AIが新しい背景をテキストの指示(プロンプト)に基づいて「生成」し、自然に合成してくれます。
具体的な使い方とワークフロー
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画像を選択し、編集機能へ:
スライドまたはVids上の画像を選択し、「画像を編集」をクリックするか、サイドパネルの「画像を生成」アイコンから「編集」を選びます。 -
「背景を置換」を選択:
編集オプションの中から「背景を置換」を選択します。 -
理想の背景を言葉で指示:
テキストボックスに、あなたが思い描く背景のイメージを言葉で入力します。例えば、「スタジオでのミニマルな製品ショット」や「モダンなリビングルーム」「居心地の良いカフェ」といったように、具体的なシーンを指示します。 -
AIが創造し、完璧な合成画像が完成:
「作成」ボタンをクリックすると、AIがあなたの指示に基づいた背景画像を生成し、元の画像の被写体と違和感なく合成します。
この機能は、様々なビジネスシーンで絶大な効果を発揮します。
活用シーンA:マーケティング・Eコマース
家具や雑貨など、製品の写真を様々なシーンに配置して、顧客の想像力を掻き立てます。
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Before: 白い背景に椅子が一つ置かれている、無機質な製品写真。
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After: AIを使って、「モダンなリビングルーム」「日当たりの良い屋外パティオ」「おしゃれなカフェの隅」といった、様々な背景に椅子を配置。顧客は、製品を自分の生活空間に置いた際のイメージを具体的に膨らませることができ、購買意欲が高まります。
活用シーンB:社内資料・プレゼンテーション
チームメンバーの紹介スライドなどで、写真の背景を統一し、プロフェッショナルな印象を与えます。
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Before: 社員それぞれが、自宅や外出先で撮影した、背景がバラバラな顔写真。
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After: 全員の写真の背景を、統一感のあるプロフェッショナルなオフィス背景や、会社のブランドカラーに合わせた背景に一括で置換。「チーム紹介」スライドに一体感が生まれ、社内外へのプレゼンテーションの質が向上します。
活用シーンC:研修・教育コンテンツ
研修資料のビジュアルを、より魅力的で、内容と関連性の高いものにします。
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Before: 汎用的なイラストや、文脈と関係のない風景写真。
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After: 例えば、顧客対応の研修資料であれば、カスタマーサービス担当者の写真を、活気のあるコールセンターの背景に合成。学習者は、よりリアルな状況をイメージしながら学ぶことができ、研修効果が高まります。
新機能2:「背景を拡張」- 画像の”世界”を自然に広げる魔法
次にご紹介するのは、既存の画像の構図はそのままに、その周囲の風景や背景を、AIが違和感なく「描き足して」くれる「背景を拡張」機能です。
小さな画像を無理に引き伸ばして使うと、被写体が歪んだり、画質が劣化したりしてしまいました。しかし、この機能を使えば、画像の品質を損なうことなく、どんなアスペクト比(縦横比)にもシームレスにリサイズすることが可能になります。
具体的な使い方とワークフロー
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画像を選択し、拡張機能へ:
スライドやVidsで、サイズを変更したい画像を選択し、サイドパネルの「画像を生成」から拡張機能を開きます。 -
希望のアスペクト比を選択:
スライド全体の背景にしたい場合は「16:9」、正方形にしたい場合は「1:1」といったように、希望するアスペクト比を選択します。 -
AIが画像を自然に拡張:
AIが、元の画像の文脈(風景、質感、光の当たり方など)を理解し、その続きとなる背景を、まるで元からそこにあったかのように自然に生成して描き足します。複数の拡張パターンが提案されるので、プレビューで確認しながら、最も気に入ったものを選択できます。 -
インパクトのあるビジュアルが完成:
元の画像の品質を一切損なうことなく、あなたの望むサイズと構図に生まれ変わった画像が、スライドやビデオに挿入されます。
活用シーン:あらゆるプレゼンテーションの質を向上
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インパクトのあるタイトルスライド:
縦長のスマートフォンの写真しかない場合でも、AIが左右の風景を自然に描き足し、ワイドスクリーン(16:9)にぴったりの、迫力あるタイトル背景画像を作成できます。 -
製品の魅力を引き出す:
中央に小さく写っている製品画像の周囲に、関連する空間や背景をAIが拡張することで、製品の世界観をより豊かに表現し、プレゼンテーションのビジュアル的な魅力を高めます。
デザインスキル不要の時代へ
これら2つのAI画像編集機能は、Google Workspaceにおけるビジュアルコミュニケーションを、根底から変える力を持っています。これまで、デザインスキルを持つ一部の専門家の領域であった高度な画像編集が、AIの力によって民主化され、誰もが当たり前のように使えるツールになるのです。
これにより、すべてのビジネスパーソンは、画像編集ソフトの使い方を学ぶ時間に煩わされることなく、本来集中すべき「何を伝えるか」というメッセージの中身そのものに、より多くの時間を割けるようになります。
利用開始にあたって(管理者・ユーザー向け情報)
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対象エディション:
この機能は、Geminiアドオンを含む、多くのGoogle Workspaceのビジネスおよびエンタープライズプランで利用可能です。 -
管理者向けの情報:
この機能の利用に際して、管理者側で特別な設定を行う必要はありません。 -
ユーザー向けの情報:
スライドやVidsで画像を選択し、右クリックメニューから「画像を編集」を選択するか、サイドバーの「画像を生成」アイコンからアクセスできます。
まとめ
GoogleスライドとGoogle Vidsに搭載された、AIによる「背景の置換」と「背景の拡張」機能。これは、単なる便利なツールではありません。それは、私たちの創造性を解き放ち、ビジュアル表現の限界を取り払う、まさに革命的なアップデートです。
もう、デザインのスキルがないことを嘆く必要はありません。あなたの頭の中にある素晴らしいアイデアや伝えたいメッセージを、AIがプロ級のビジュアルへと昇華させてくれます。
ぜひ、この新しい力を活用して、あなたの次のプレゼンテーションやビデオを、聴衆の記憶に深く刻まれる、忘れられない体験にしてください。