本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年8月18日に作成されました。
Google Workspaceをお使いの皆さん、日々の業務、お疲れ様です。
数日間の休暇から戻ってきた月曜の朝。
あるいは、一日中会議続きで、ようやく一息ついた夕方。
Google Chatを開くと、活発なプロジェクトスペースやグループチャットに、びっしりと並んだ「未読の山」を見て、思わずため息をついてしまった経験はありませんか。
すべてを最初から読むのは、あまりにも時間がかかりすぎる。
かといって、読み飛ばしてしまっては、重要な決定事項や、自分宛のメンションを見逃してしまうかもしれない。
この「情報に追いつきたい」という焦りと、「時間をかけたくない」という現実とのジレンマは、リアルタイムコミュニケーションが主流となった現代の働き方における、大きな課題の一つです。
もし、あなたがチャットルームを開いた瞬間に、AIがそこまでの会話の流れを、まるで優秀な秘書のように、簡潔に要約して教えてくれるとしたら。あなたの仕事のキャッチアップは、どれほど速く、そして確実なものになるでしょうか。
この度、そんな多くのビジネスパーソンが抱える悩みを解決する、待望の新機能がGoogle Chatに搭載されました。今回は、あなたの情報処理能力を飛躍的に向上させる、Geminiによる「会話内での未読メッセージ要約」機能について、詳しく解説していきます。
これまでの要約機能から、さらに一歩進化
今回のアップデートを理解するために、Google ChatにおけるAI要約機能のこれまでの歩みを振り返ってみましょう。
Googleはすでに、Geminiを活用した要約機能を段階的に提供してきました。
ホーム画面での会話要約: Chatのホーム画面で、未読のある会話のリストに対して、その概要を要約する機能。
ファイル要約: 会話内で共有されたドキュメントやスライドの内容を要約する機能。
これらも非常に便利な機能でしたが、今回のアップデートは、ユーザーが最も時間を費やしている「個別の会話の中身」そのものに焦点を当て、さらに一歩踏み込んだものです。
新機能の核心:会話を開けば、AIが「ここまでのあらすじ」を教えてくれる
今回ご紹介する新機能の核心は、「ダイレクトメッセージ、グループ会話、またはスペースを開いた際に、そこまでの未読メッセージの内容を、AIがその場で要約してくれる」という点にあります。
これにより、会話の文脈を素早く把握し、即座に議論に参加したり、必要な対応を取ったりすることが可能になります。この機能は、未読メッセージの量に応じて、2つの賢い方法で動作します。
1. 未読メッセージが多い場合:「自動」でサマリーを提示
あなたが休暇明けなどで、特定のスペースに大量の未読メッセージが溜まっている状態でその会話を開くと、会話ペインの中に、AIが生成した要約が書かれたカードが「自動的」に表示されます。
あなたは、ただそれを読むだけで、あなたが不在の間に、どのような議論が行われ、何が決まったのか、その要点を瞬時に把握することができます。
2. 未読メッセージが少ない場合:「手動」でサマリーをリクエスト
未読メッセージがそれほど多くない場合でも、「要約が欲しい」と思う場面はありますね。その場合は、「未読メッセージの境界線」の近くに表示される「要約」ボタンをクリック(またはタップ)するだけで、いつでも好きなタイミングで、手動で要約を生成させることができます。
この機能は、まずWeb版から提供が開始され、モバイル版は後日対応予定です。
なぜこれが重要なのか?チームの生産性を向上させる3つの絶大なメリット
この「会話内要約」機能は、単なる便利機能に留まらない、組織全体の生産性を向上させる、大きな価値を持っています。
メリット1:情報キャッチアップの時間を劇的に短縮
最大のメリットは、何と言っても「時間」です。数十、数百のメッセージをスクロールして読むのに費やしていた数分、あるいは数十分の時間を、AIによる数秒の要約で代替できます。この積み重ねは、一週間、一ヶ月という単位で見れば、膨大な時間の節約に繋がります。創出された時間は、より創造的で、付加価値の高い業務に振り向けることができます。
メリット2:重要な情報や決定事項の見逃しを防止
ただ速いだけではありません。AIは、単に会話を短くするだけでなく、その中から「重要なポイント」を賢く抽出します。誰が何を発言し、どのような結論に至ったのか、次にとるべきアクションは何か、といった、ビジネスにおいて不可欠な情報を的確にハイライトしてくれます。
これにより、「うっかり見逃していた」というヒューマンエラーのリスクが大幅に低減し、業務の正確性と確実性が向上します。
メリット3:スムーズな議論参加と、迅速なレスポンスを促進
途中から会話に参加する際に、最も難しいのが「文脈の把握」です。文脈が分からないまま発言して、的外れなコメントをしてしまったり、すでに決まったことを蒸し返してしまったり、といった経験は誰にでもあるでしょう。
この機能を使えば、会話に参加する前に、瞬時に「ここまでのあらすじ」をインプットできます。これにより、常に的確なタイミングで、文脈に沿った発言をすることが可能になり、チーム全体のコミュニケーションがより円滑で、スピーディーになります。
ユーザーによるコントロールも可能
「要約は便利だけど、時には自動で表示されなくてもいいな」と感じる方もいるかもしれません。Googleは、そうしたユーザーの好みに合わせて、設定をコントロールするオプションも用意しています。
Chatの設定画面から [メッセージとメディア] > [メッセージ機能] へと進み、「会話内の要約」という項目のオン/オフを切り替えることで、要約カードが自動的に表示されるかどうかを制御できます。
利用開始にあたって(管理者・ユーザー向け情報)
対象エディション:
この機能は、Geminiアドオンを含む、多くのGoogle Workspaceのビジネスおよびエンタープライズプランで利用可能です。管理者向けの情報:
ユーザーがこの機能を利用するには、組織のGoogle Workspace設定で「スマート機能とパーソナライズ」が有効になっている必要があります。ユーザー向けの情報:
Web版のGoogle Chatで未読のある会話を開き、表示される要約カードを確認するか、未読の境界線にある要約ボタンをクリックしてください。ロールアウト(展開ペース):
即時リリースドメイン: 2025年8月12日から順次展開。
計画的リリースドメイン: 2025年8月25日から順次展開。
いずれも最大15日間かけての段階的なロールアウトとなります。
まとめ
Google Chatに新たに搭載された「会話内での未読メッセージ要約」機能は、情報過多の時代を生きる私たちにとって、まさに救世主とも言えるアップデートです。
AIが情報の洪水の中から、あなたが必要とする「意味」を汲み上げ、整理してくれる。この強力なパートナーを得ることで、私たちは、コミュニケーションのストレスから解放され、より本質的な対話と協業に集中することができます。
Google WorkspaceとAIの融合がもたらす、新しい働き方の未来。ぜひ、この進化したチャット体験を、あなたの日々の業務でご活用ください。