本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年8月22日に作成されました。
Google Workspaceをお使いの皆さん、こんにちは。
私たちのGoogle Driveには、日々、様々な種類の動画ファイルが蓄積されていきます。
スマートフォンで撮影した現場の状況報告ビデオ、重要な議論が記録されたWeb会議の録画、新入社員向けの研修動画、イベントで撮影した数々の映像素材。
これらの動画は、テキストや静止画だけでは伝えきれない、リッチな情報を含んだ貴重な資産です。しかし、その一方で、こんな「もどかしさ」を感じたことはありませんか。
「この会議録画、冒頭の雑談部分だけカットして、本題からすぐに見られるようにしたいな…」
「現場で撮ったこの動画に、簡単な説明テロップとBGMを付けられたら、もっと分かりやすい報告になるのに…」
「複数の動画クリップをつなぎ合わせて、簡単なダイジェスト版を作りたいけど、わざわざ専門の動画編集ソフトを立ち上げるのは、少し気が重い…」
「ちょっとした編集」をしたいだけなのに、そのためにファイルをダウンロードし、別のアプリケーションを起動し、編集後にまたアップロードし直す。この煩雑なプロセスが、動画活用の大きな障壁となっていました。
この度、その長年の「壁」を取り壊し、誰もが、いつでも、そして思い立った瞬間に動画編集を始められる、画期的な連携機能が発表されました。今回は、あなたのGoogle Driveを、単なるファイル保管庫から、アクティブなコンテンツ制作ハブへと進化させる、Google Vidsとの魔法のような連携について詳しく解説していきます。
そもそも「Google Vids」とは?AIと共に創る、新しい動画制作ツール
今回のアップデートの凄さを理解するために、まずは、もう一つの主役である「Google Vids」について、簡単におさらいしましょう。
Google Vidsは、Google Workspaceに新しく加わった、AIを活用したビジネス向けの動画作成・編集ツールです。その最大の特徴は、専門的な映像制作のスキルや経験がなくても、誰でも簡単に、プロフェッショナルな品質のビデオコンテンツを作成できる点にあります。
AIによるアシスト:
作りたい動画の概要を簡単な言葉(プロンプト)で指示するだけで、AIがストーリーボード(構成案)、関連するストック映像、BGM、ナレーションなどを組み合わせた下書きを自動で生成してくれます。直感的な操作:
テンプレートを選び、テキストや画像をドラッグ&ドロップするだけで、洗練されたビデオを組み立てることができます。
このように、Google Vidsは、動画制作のハードルを劇的に下げることで、すべてのビジネスパーソンに「動画で伝える力」を与える、新しい時代のツールなのです。
何が変わったのか?DriveとVidsをつなぐ「魔法のボタン」
これまでは、Google Vidsで動画を編集したい場合、まずVidsを開き、そこからGoogle Drive内の動画ファイルを選択する、という手順が必要でした。
今回のアップデートは、この出発点を逆転させ、より直感的で、シームレスなワークフローを実現します。
具体的なワークフローの進化
まずは、いつものようにGoogle Driveへ:
編集したい動画ファイルが保存されている、いつものGoogle Driveを開きます。動画をプレビューすると、そこに「魔法のボタン」が:
動画ファイルをクリックしてプレビュー表示させると、画面の右上に、見慣れない「開く(Open)」というボタンが表示されていることに気づくでしょう。そして、そのボタンの横には、「Google Vids」のアイコンが。これが、今回のアップデートの核心です。ワンクリックで、シームレスに編集画面へ:
この「開く」ボタンをクリックするだけ。すると、新しいタブでGoogle Vidsが自動的に起動し、あなたが先ほどまでプレビューしていた動画ファイルが、すでに編集可能な状態でタイムラインに読み込まれています。
ファイルのダウンロードも、アップロードも、アプリを探して起動する手間も、一切不要です。Google Driveで素材を見つけ、その場で「編集したい」と思ったその瞬間に、思考の流れを一切止めることなく、クリエイティブな作業に没頭できる。このシームレスな体験は、私たちの動画との付き合い方を、根底から変える力を持っています。
なぜこれが重要なのか?組織の働き方を変える3つの大きなメリット
この小さな「開く」ボタンの追加が、組織の働き方にどれほど大きなプラスの影響を与えるか、3つの具体的なメリットから見ていきましょう。
メリット1:動画編集の「心理的ハードル」を極限まで下げる
これまで、動画編集は「特別な作業」でした。しかし、この連携により、それは、ドキュメントを修正したり、スプレッドシートを更新したりするのと何ら変わらない、「日常的な作業」へと変わります。
「思い立ったら、すぐ編集」ができる環境は、これまで動画編集に縁がなかった多くの社員に、新たな表現の扉を開きます。マーケティング担当者が、顧客の声を簡単なテロップ付き動画にまとめたり、研修担当者が、マニュアルの一部を分かりやすい操作デモ動画にしたり、現場の担当者が、作業報告を映像で共有したり。あらゆる職種で、動画活用の裾野が広がります。
メリット2:コンテンツ作成の「スピード」が劇的に向上する
ビジネスの世界では、情報の鮮度が命です。この連携は、情報共有のスピードを飛躍的に向上させます。
会議録画の即時共有:
長時間の会議録画を、終了後すぐにVidsで開き、重要な決定事項の場面だけをトリミング。その部分に要約のテロップを付けて、欠席者に即座に共有できます。イベントの熱量をそのまま届ける:
社内イベントで撮影した映像を、その日のうちに簡単なダイジェスト動画に編集し、全社に公開。イベントの熱気や一体感を、冷めないうちに共有できます。迅速なフィードバックサイクル:
製品のプロトタイプのデモ動画を作成し、すぐにチームに共有。フィードバックを受けて修正し、また共有する、というサイクルを、高速で回すことができます。
メリット3:組織全体の「動画活用文化」を醸成する
この機能がもたらす最終的な価値は、組織内に「動画によるコミュニケーション文化」が根付くことです。
テキストや静止画だけでは伝わらないニュアンス、現場の臨場感、製品の動的な魅力。こうした情報を、すべての社員が「動画」というリッチなフォーマットで、手軽に表現し、共有できるようになります。
これにより、部門間のコミュニケーションロスが減少し、ナレッジの継承が円滑になり、組織全体の創造性とエンゲージメントが高まる、という大きな効果が期待できます。
利用する上で知っておきたいこと
ファイル形式と制限:
一般的な動画ファイル形式(MP4, MOV, AVIなど)に対応しています。ただし、Vidsで編集できる個々の動画クリップには、「長さ35分以内、ファイルサイズ4GB以内」という制限がありますのでご注意ください。ファイルの保存形式:
Google Driveの動画をVidsで開くと、元の動画ファイルとは別に、新しい「Vidsプロジェクトファイル」が作成されます。編集後、MP4などの一般的な動画ファイルとして書き出すには、Vidsの画面から保存/エクスポートの操作を行う必要があります。
利用開始にあたて(管理者・ユーザー向け情報)
管理者向けの情報:
Google Vidsは、Google Workspaceのコアサービスとして、デフォルトで「オン」になっています。ただし、組織のポリシーで「Googleドキュメント」をオフにしている場合、Vidsも利用できなくなるという重要な依存関係がありますので、ご注意ください。エンドユーザー向けの情報:
この機能は、2025年8月21日から、15日以上かけて順次展開される「拡張ロールアウト」です。あなたのGoogle Driveに「開く」ボタンが表示されるまで、しばらくお待ちください。
まとめ
今回のGoogle DriveとGoogle Vidsの連携は、「保管」と「創造」の境界線を溶かす、非常に重要なアップデートです。
あなたのGoogle Driveは、もはや単なるファイルの倉庫ではありません。それは、眠っている映像資産を、いつでも価値あるコンテンツへと変換できる、アクティブな「クリエイティブ・ハブ」へと進化を遂げたのです。
ぜひ、この新しい力を活用して、あなたのアイデアや情報を、これまで以上に魅力的で、説得力のある「動画」という形で、世界に発信してみてください。