本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年8月26日に作成されました。
Google Workspaceをお使いの皆さん、こんにちは。
私たちのGoogle Driveには、日々、テキスト文書だけでなく、様々な「画像」ファイルが蓄積されていきます。
スマートフォンで撮影した経費精算のための領収書の山、会議で使ったホワイトボードの写真、イベントで撮影したプレゼンスライドのスクリーンショット、スキャンしてPDF化ならぬ画像化した契約書。
これらの画像には、ビジネスを進める上で非常に重要な情報が含まれています。しかし、その情報を活用しようとすると、こんな「面倒な手作業」に、多くの時間を奪われていませんか。
「この領収書の日付と金額を、一枚一枚スプレッドシートに転記していくのが、本当に手間だ…」
「ホワイトボードの写真を議事録に貼り付けたけど、結局、そこに書かれている文字をすべて手で打ち直している…」
「画像の中にある、あの重要な一文を検索したいのに、テキストじゃないから検索に引っかからない…」
これまで、画像は、その中身がAIにとって「見えない」ブラックボックスでした。その結果、私たちは、画像に含まれる情報を再利用するために、非効率な「手入力」という作業を、延々と繰り返すしかなかったのです。
この度、その長年の課題に終止符を打ち、私たちの働き方を根底から変える、革命的なアップデートが発表されました。Google DriveのAIアシスタント「Gemini」に、ついに「目」が与えられ、画像の中身を理解し、あなたの代わりに面倒な作業をこなしてくれるようになったのです。
今回は、あなたのGoogle Driveを、単なるファイル置き場から、インテリジェントな情報処理ハブへと進化させる、この驚くべき新機能について詳しく解説していきます。
これまでのDriveのGeminiと、今回の進化点
Google Driveのサイドパネルに搭載されたGeminiは、これまでも、ドキュメントやPDFといった「テキストファイル」を対象に、その内容を要約したり、質問に答えたりする、強力なアシスタントでした。
今回のアップデートの核心は、その能力が、ついに「画像ファイル」にまで拡張されたという点にあります。最近発表された動画ファイルの内容理解に続き、Geminiは、画像という非構造化データの中身を見て、その意味を理解し、言語化する能力を手に入れたのです。
これにより、これまで人間が目と手で行っていた、画像からの情報抽出という作業を、AIに完全に任せることが可能になります。
AIの「目」は何ができるのか?具体的な活用シーン5選
では、新しく「目」を持ったGeminiは、具体的にどのような魔法を見せてくれるのでしょうか。日本のビジネスシーンに合わせた、5つの画期的な活用例をご紹介します。
1. 経費精算の革命:領収書からの「自動情報抽出&表作成」
今回のアップデートで、最も多くのビジネスパーソンの業務を劇的に変えるのが、この機能です。
活用シーン:
出張や接待で溜まった大量の領収書を、スマートフォンで撮影してGoogle Driveにアップロード。その領収書の画像をGeminiで開き、「この領収書から情報を抽出して、表にまとめて」と指示するだけ。
すると、Geminiは画像の中から「日付」「店名」「金額」「品目」といった重要な情報を正確に読み取り、瞬時に整理された表形式で回答を生成します。あとは、その表をコピーして、経費精算用のスプレッドシートに貼り付けるだけ。
これまで、一枚一枚、目と手で確認しながら行っていた、あのうんざりするような転記作業が、ほぼゼロになります。請求書や納品書といった、あらゆる定型帳票の処理にも応用可能です。
2. 面倒な文字起こしからの解放:「画像からのテキスト抽出(OCR)」
会議やセミナーで撮影した写真に含まれるテキストを、再利用可能なデジタルデータへと一瞬で変換します。
活用シーン:
会議で議論した内容が書かれたホワイトボードの写真を撮り、Geminiに「この画像からテキストを抽出して」と指示。抽出されたテキストをコピーすれば、議事録の作成時間を大幅に短縮できます。
また、イベントで登壇者が投影していたスライドのスクリーンショットから、重要な箇所のテキストを抜き出して、自分のレポートや資料に引用する、といった活用も可能です。
3. ウェブアクセシビリティの向上:「代替テキスト(altテキスト)の自動生成」
これは、ウェブサイトの運営や、社内外への広報活動に携わるすべての人にとって、非常に重要な機能です。
活用シーン:
ウェブサイトや社内ポータルに画像を掲載する際、スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を利用する視覚障がいのある方のために、「代替テキスト(altテキスト)」を記述することは、インクルーシブな情報発信において必須のマナーです。
しかし、すべての画像に適切な説明文を考えるのは、意外と手間のかかる作業でした。Geminiに画像を見せて「この画像の代替テキストを生成して」と頼めば、AIが画像の内容を的確に説明するテキストを提案してくれます。これにより、誰でも簡単に、アクセシビリティの高いコンテンツを作成できるようになります。
4. 創造性のスパイス:「画像からの物語生成」
AIの能力は、事務作業の効率化だけにとどまりません。私たちの創造性を刺激するパートナーにもなってくれます。
活用シーン:
マーケティング担当者が、新製品の写真を見せて、「この製品が、ある家族の週末をどう変えるか、心温まるショートストーリーを書いて」と依頼。生成された物語を、SNS投稿や広告コピーのヒントにする。
あるいは、社内広報担当者が、社内イベントで撮影した一枚の集合写真から、「この写真に写る社員たちの、プロジェクト成功までの道のりを描いた感動的な物語を創作して」と指示。生成されたストーリーを、社内報の記事として活用する。
AIが、一枚の写真の背後にある「物語」を紡ぎ出すことで、私たちのコミュニケーションは、より豊かで、感情に訴えかけるものになります。
5. 画像の「意味」を理解する:「画像要約」
テキスト情報が少ない画像でも、AIがその「意味」や「文脈」を言語化してくれます。
活用シーン:
複雑なシステムの構成図や、インフォグラフィックについて、「この図が何を説明しているのか、専門知識がない人にも分かるように要約して」と質問。視覚情報を、言語情報へと変換することで、理解を助けます。
大量のストックフォトの中から、特定のテーマに沿った画像を探す際に、一枚一枚を目で確認する代わりに、Geminiに要約させて、内容を素早く把握する、といった使い方も考えられます。
利用する上で知っておきたいこと(現状の制約事項)
非常に革新的な機能ですが、現時点ではいくつかの制約もあります。
言語は現在英語のみ:
現時点では、Geminiへの指示や、Geminiからの回答は、英語でのみ利用可能です。ただし、画像内の日本語テキストの読み取り精度については、今後の検証が待たれるところです。もちろん、将来的な日本語への正式対応にも、大きな期待が寄せられます。得意な画像の種類:
この機能は、特に「契約書、領収書、請求書などのスキャンされた文書」や、「テキストが多く含まれる画像」で、最高のパフォーマンスを発揮するように設計されています。
利用開始にあたって(管理者・ユーザー向け情報)
対象エディション:
この機能は、Geminiアドオンを含む、多くのGoogle Workspaceのビジネスおよびエンタープライズプランで利用可能です。管理者向けの情報:
ユーザーがこの機能を利用するには、組織のGoogle Workspace設定で「スマート機能とパーソナライズ」が有効になっている必要があります。ユーザー向けの情報:
使い方は簡単です。Google Driveのファイルリストから対象の画像をダブルクリックしてプレビュー表示させ、画面の右上隅にある「Geminiに質問(星のアイコン)」ボタンをクリックするだけです。
まとめ
今回ご紹介した、Google DriveのGeminiにおける画像サポート。これは、私たちが日々行っている、退屈で時間のかかる「手作業によるデータ入力」という知的労働から、人間を解放するための、大きな一歩です。
AIに任せられる作業は、徹底的にAIに任せる。そして、それによって生み出された貴重な時間を、人間は、より創造的で、より高度な判断が求められる、本質的な業務に集中させる。
Google WorkspaceとAIの融合が目指す、未来の働き方が、また一つ、具体的な形で私たちの目の前に現れました。ぜひ、この新しい「目」を持つパートナーと共に、あなたの業務の生産性を、新たな次元へと引き上げてください。