本記事はGoogle Workspace Updatesブログ（ https://workspaceupdates.googleblog.com/ ）の情報を基に、2025年9月5日に作成されました。
Googleスライドで、聴衆の心を動かす、説得力のあるプレゼンテーション資料を作成している皆さん、こんにちは。
あなたは今、スライドに盛り込むべき「内容」は、すべて頭の中にあり、テキストボックスにその言葉を書き出したところかもしれません。
しかし、ここからが、プレゼンテーションの成否を分ける、もう一つの重要な戦いの始まりです。
「この表現、なんだか口語的すぎて、プロフェッショナルな場にふさわしくないかもしれない…」
「伝えたいことはたくさんあるけど、このスライド、文字が多すぎて、誰も読んでくれないだろうな…」
「この複雑な説明を、もっと簡潔に、箇条書きで分かりやすく整理できないだろうか…」
このように、一度書き出した文章を、より伝わりやすく、より洗練された言葉へと磨き上げていく「推敲」という作業。これは、非常に知的で、そして骨の折れるプロセスです。何度も何度も言葉を練り直し、貴重な時間を費やしている方も、少なくないのではないでしょうか。
もし、あなたの隣に、優秀な編集者やコピーライターが座っていて、あなたが書いた文章を、瞬時に、そして的確に、より良い表現へと変えてくれるとしたら。あなたの資料作成は、どれほどスピーディーで、そして質の高いものになるでしょうか。
この度、そんな夢のようなパートナーが、ついにGoogleスライドの中に常駐することになりました。今回は、あなたの言葉を磨き上げ、メッセージの伝達力を飛躍的に向上させる、Geminiによる「テキストの洗練（Refine text）」機能について、詳しく解説していきます。
新機能の核心：あなたの「言葉」を磨き上げる、専属AIエディター
今回のアップデートの核心は、非常にシンプルでありながら、その効果は絶大です。
それは、「Googleスライド上のテキストボックス内で、AI『Gemini』を呼び出し、選択したテキストを、様々な目的に合わせて、瞬時に書き換えることができるようになった」という点にあります。
驚くほど簡単！AIエディターの呼び出し方
テキストボックスを選択:
まずは、推敲したい文章が入力されている、スライド上のテキストボックスをクリックします。「洗練」アイコンをクリック:
テキストボックスを選択すると、その近くに、魔法の杖のような「洗練（Refine）」アイコンが、自動的に表示されます。AIに、あなたの意図を伝える:
このアイコンをクリックすると、あなたの文章をどのように変えたいか、AIへの指示メニューが表示されます。
4つのプリセットオプションと、無限の可能性
このAIエディターは、プレゼンテーションで特によく使われる、4つの便利な「プリセット（事前設定）」オプションを備えています。
1. 言い換える (Rephrase):
「この表現、なんだか陳腐だな…」「もっと別の言い方はないだろうか？」と感じた時に使います。AIが、元の文章の意味はそのままに、より洗練された、あるいは異なるニュアンスの表現を、複数提案してくれます。
2. 短くする (Shorten):
プレゼンテーションの鉄則は、「Less is More（少ないことは、より豊かなこと）」。文字が多すぎるスライドは、聴衆の集中力を削ぎ、メッセージの伝達を妨げます。このオプションを選択するだけで、AIが、文章の要点を的確に捉え、冗長な表現を削ぎ落とし、簡潔で力強いメッセージへと凝縮してくれます。
3. フォーマルにする (Formalize):
社内のブレインストーミングで書き出した、くだけた口調のメモ。これを、そのまま社外の顧客向けの提案書に使うわけにはいきません。このオプションを使えば、カジュアルな言葉遣いを、ビジネスシーンにふさわしい、丁寧でフォーマルな表現へと、一瞬で変換できます。
4. 箇条書きにする (Bulletize):
長く、複雑な説明文は、箇条書きにすることで、その構造が明確になり、受け手の理解を劇的に助けます。このオプションは、文章の中から重要な要素を自動で抽出し、整理された箇条書きリストへと再構成してくれます。
さらに、「カスタムプロンプト」で可能性は無限大に
これらのプリセットオプションだけでも非常に強力ですが、この機能の真価は、あなたが「独自の指示（カスタムプロンプト）」を入力できる点にあります。
「この文章を、小学生にも分かるような、もっと簡単な言葉で書き直して」
「この製品の特長を、もっと情熱的で、感情に訴えかけるようなトーンで表現して」
「この文章を、詩的なスタイルで書き換えて」
あなたの創造力次第で、AIは、単なる文章校正ツールから、あなたのメッセージに最適な「声」と「人格」を与える、クリエイティブパートナーへと変貌するのです。
なぜこれが重要なのか？ビジネスコミュニケーションの質を高める3つのメリット
この「テキストの洗練」機能は、私たちの働き方に、3つの大きなプラスの変化をもたらします。
メリット1：資料作成の「スピード」が劇的に向上する
これまで、推敲という作業に費やしていた、多くの時間と精神的なエネルギー。それを、AIが大幅に肩代わりしてくれます。
「言葉が出てこない…」と画面の前で固まっていた時間がなくなり、資料作成のプロセス全体が、驚くほどスピーディーになります。これにより、私たちは、資料の見た目を整えたり、発表の練習をしたりといった、プレゼンテーションの成功に不可欠な、他の作業により多くの時間を割くことができるようになります。
メリット2：誰でも「伝わる言葉」のプロになれる
文章力や語彙力は、個人の経験や能力に大きく依存するものでした。しかし、この機能は、その差を埋めてくれます。
文章を書くのが苦手な人でも、AIの助けを借りることで、常に、明確で、簡潔で、そして説得力のあるメッセージを作成できるようになります。これにより、組織全体のコミュニケーションの質が底上げされ、「あの人の資料は、いつも分かりにくい…」といった、コミュニケーションロスが減少します。
メリット3：グローバルなビジネスコミュニケーションを円滑にする
（今後の多言語対応に期待される点として）この機能は、特に、英語を第二言語として使う、多くの日本のビジネスパーソンにとって、強力な味方となります。
自分で書いた英文に、文法的な誤りや、不自然な表現がないか、自信が持てない場面は多いでしょう。そんな時、この機能を使えば、AIがネイティブスピーカーの感覚で、より自然で、プロフェッショナルな英文へと、瞬時に磨き上げてくれます。これにより、グローバルな舞台でのコミュニケーションに、自信を持って臨むことができるようになります。
利用開始にあたって（管理者・ユーザー向け情報）
管理者向けの情報:
あなたの組織で、Googleスライドに対するGeminiの利用が有効になっていれば、この機能はデフォルトで「オン」になります。管理者側で、この機能だけを個別にオン/オフする設定はありません。ユーザー向けの情報:
スライド上のテキストボックスを選択し、表示される「洗練」アイコンをクリックするだけです。ロールアウト（展開ペース）:
2025年9月1日から、最大15日間かけて順次展開される「段階的ロールアウト」となっています。
まとめ
今回ご紹介した、Googleスライドの「テキストの洗練」機能。これは、AIが、私たちの思考の「中身」だけでなく、その「伝え方」までも、強力にサポートしてくれるようになったことを示す、象徴的なアップデートです。
もはや、文章の推敲は、孤独で骨の折れる作業ではありません。
あなたの隣には、いつでも、あなたの言葉に耳を傾け、それを最高の形へと磨き上げてくれる、頼もしいAIエディターがいます。
ぜひ、この新しいパートナーと共に、あなたの素晴らしいアイデアや情熱を、聴衆の心に深く、そして鮮やかに突き刺さる、「伝わる言葉」へと昇華させてください。