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個人事業主になったら保険はどうなる?医療保険・生命保険の見直しポイント

個人事業主として独立すると、働き方だけでなく、社会保障も大きく変わることをご存知ですか。

会社員時代は手厚い社会保険に守られていましたが、これからはすべて自分で備えなければなりません。

特に、病気やケガで働けなくなった時の収入や、万が一の際の家族の生活を支える「保険」については、会社員時代と同じ考え方ではリスクに対応しきれない可能性があります。

この記事では、個人事業主が直面する保険の現実と、ご自身の事業やライフプランに合わせた医療保険・生命保険の見直しポイントを分かりやすく解説します。

将来への不安を解消し、安心して事業に集中するための第一歩を踏み出しましょう。

会社員と個人事業主では、保険の「土台」が全く違う

個人事業主になると、会社員が加入していた「健康保険(協会けんぽや組合健保)」や「厚生年金保険」、「雇用保険」から外れ、原則として「国民健康保険」と「国民年金」に切り替わります。この変更が、万が一の際の保障に大きな違いを生みます。具体的にどのような差があるのか、3つのポイントで見ていきましょう。

ポイント1:健康保険の違い – 「傷病手当金」がなくなる

会社員の健康保険にあって、国民健康保険にない最も大きな保障の一つが「傷病手当金」です。これは、病気やケガで連続して4日以上働けなくなった場合に、給与のおおよそ3分の2が最長1年6ヶ月にわたって支給される制度です。会社員であれば、入院や自宅療養で収入が途絶えても、この制度によって当面の生活費を確保できます。

しかし、個人事業主が加入する国民健康保険には、この傷病手当金が原則としてありません(一部の市町村で独自の制度がある場合もありますが、非常に稀です)。つまり、病気やケガで働けなくなると、その瞬間から収入がゼロになるリスクと隣り合わせになるのです。この「収入の空白期間」をどう埋めるかが、個人事業主の保険を考える上での最初の重要な課題となります。

ポイント2:年金の違い – 「障害年金」「遺族年金」の保障額

年金と聞くと老後の生活費をイメージしがちですが、現役世代にとっては「万が一の保障」という側面も非常に重要です。個人事業主が加入する国民年金と、会社員が加入する厚生年金では、病気やケガで障害が残った際の「障害年金」や、死亡した際に遺族へ支払われる「遺族年金」の保障額に大きな差があります。

厚生年金は国民年金に上乗せされる2階建て構造になっているため、障害年金も遺族年金も、国民年金のみの場合に比べて手厚い保障が受けられます。例えば、遺族年金の場合、子供のいる配偶者が受け取れるのは国民年金の「遺族基礎年金」のみですが、会社員だった場合はそれに加えて「遺族厚生年金」も支給されます。この差は、遺された家族のその後の生活を大きく左右する可能性があります。

ポイント3:セーフティネットの違い – 「雇用保険」がない

会社員であれば、倒産や解雇、あるいは自己都合で離職した場合でも、次の仕事が見つかるまでの生活を支える「雇用保険(失業手当)」があります。しかし、個人事業主は「雇用される側」ではないため、雇用保険には加入できません。つまり、事業がうまくいかずに廃業したとしても、公的なセーフティネットとしての失業手当は受け取れないのです。事業が立ち行かなくなった場合のリスクは、すべて自分で負う必要があります。

このように、個人事業主は会社員に比べて公的保障が手薄になります。だからこそ、民間の保険商品をうまく活用して、自分自身で必要な保障を組み立てる「自助努力」が不可欠となるのです。

個人事業主の必須知識!医療関連の保険見直し3つのポイント

傷病手当金がない個人事業主にとって、病気やケガによる収入減は死活問題です。そのリスクに備えるため、医療関連の保険は最も優先度が高いと言えるでしょう。ここでは、「医療保険」と、さらに一歩進んだ備えである「就業不能保険」について、見直しのポイントを解説します。

ポイント1:入院=収入減に直結!「医療保険」の選び方

「高額療養費制度があるから、医療費はそれほどかからないのでは?」と考える方もいるかもしれません。確かに、高額療養費制度を使えば、医療費の自己負担額には上限が設けられています。しかし、この制度の対象外となる費用も少なくありません。

  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事代の一部
  • 先進医療にかかる技術料
  • 家族のお見舞いの交通費や雑費

そして何より、個人事業主にとって最大の打撃は「入院している間の収入がゼロになる」ことです。これらの費用と収入減をカバーするのが医療保険の役割です。医療保険を選ぶ際は、以下の点をチェックしましょう。

入院給付金日額はいくらにするか?
会社員なら「5,000円程度で十分」と言われることもありますが、個人事業主はご自身の1日あたりの粗利(売上から経費を引いた額)を基準に考えるのが合理的です。例えば、月の粗利が30万円なら、1日あたり1万円。最低でもこのくらいの保障があると、安心して治療に専念しやすくなります。

短期入院に対応しているか?
近年の医療現場では入院日数の短期化が進んでいます。日帰り入院や1泊2日の入院でもまとまった給付金が受け取れるタイプの保険が主流になっており、個人事業主にとっても心強い味方となります。

ポイント2:個人事業主の生命線「就業不能保険」を検討する

医療保険が「入院・手術」というイベントに対して保障するのに対し、「就業不能保険」は、病気やケガで長期間働けない「状態」が続く限り、毎月お給料のように給付金を受け取れる保険です。入院だけでなく、医師の指示による在宅療養も保障の対象となるのが大きな特徴です。

例えば、脳卒中で倒れて一命は取り留めたものの、後遺症で仕事に復帰できないケースや、うつ病などの精神疾患で長期間の療養が必要になるケースも考えられます(精神疾患を保障対象とするかは保険商品によります)。このような「入院はしていないけれど、働けない」という状況は、個人事業主にとって最も恐ろしいシナリオの一つです。就業不能保険は、まさにこのリスクを直接的にカバーするための保険であり、個人事業主の「お守り」とも言えるでしょう。

ポイント3:保険料は経費になる?賢く節税しながら備える

残念ながら、個人事業主が支払う医療保険や就業不能保険の保険料は、原則として事業の経費には計上できません。しかし、確定申告の際に「生命保険料控除」の対象となります。これにより、所得税や住民税の負担を軽減することができます。控除できる金額には上限がありますが、活用しない手はありません。年末に保険会社から送られてくる控除証明書を大切に保管し、確定申告で忘れずに申請しましょう。(2025年11月時点の情報)

保険の見直しは、事業のリスク管理そのものです。ご自身の事業内容や家族構成に合わせて、最適な保障を設計することが、事業を長く安定して続けるための鍵となります。

家族を守るために。個人事業主の生命保険の見直し方

ご自身に万が一のことがあった場合、遺された家族の生活をどう守るか。これも個人事業主が真剣に考えなければならないテーマです。会社員と比べて遺族年金が少なくなる分、民間の生命保険で計画的に不足分を補う必要があります。ここでは、合理的な生命保険の見直し方について解説します。

ポイント1:必要な保障額はいくら?「必要保障額」の考え方

生命保険を検討する際、最初にやるべきことは「いくらの死亡保障が必要か」を計算することです。やみくもに高額な保険に入っても、保険料が家計を圧迫するだけです。必要保障額は、以下の式で概算できます。

必要保障額 = (遺族の生活費 + 子どもの教育費など) - (遺族基礎年金 + 貯蓄など)

個人事業主の場合、会社員と比べて「遺族基礎年金」のみとなるため、その分、必要保障額は大きくなる傾向があります。家族構成や配偶者の収入、子どもの年齢などによって必要な金額は大きく変わるため、一度ご自身の状況に合わせてシミュレーションしてみることが重要です。この金額をベースに、どのタイプの保険で準備するかを考えていきます。

ポイント2:保険の種類を理解する – 「定期保険」と「収入保障保険」

死亡保障を準備する保険には様々な種類がありますが、個人事業主が合理的に備えるなら「定期保険」「収入保障保険」が有力な選択肢となります。

  • 定期保険:保険期間を10年や20年、あるいは60歳までなどと定めて、その期間内に死亡した場合にまとまった保険金が支払われる「掛け捨て」の保険です。終身保険に比べて保険料が割安なため、事業が軌道に乗るまでの間や、子どもが独立するまでの期間など、特に大きな保障が必要な時期に、手頃な保険料で高額な保障を確保できます。
  • 収入保障保険:死亡した時点から、あらかじめ定められた満了時期まで、毎月お給料のように分割で保険金が支払われる保険です。一括で大きな保険金を受け取るよりも、遺された家族が計画的にお金を使えるメリットがあります。また、時間の経過とともに受け取る保険金の総額が減っていくため、定期保険よりもさらに保険料が割安になるのが一般的です。

事業の運転資金や当面の生活費としてまとまったお金が必要な場合は定期保険、長期的な生活費を確実に確保したい場合は収入保障保険、というように目的によって使い分けるのが賢い選択です。

ポイント3:保険だけじゃない!「小規模企業共済」という選択肢

個人事業主の退職金制度として知られる「小規模企業共済」は、実は死亡保障としての機能も備えています。掛金は全額が所得控除の対象になるため、高い節税効果を得ながら将来の退職金を準備できます。そして、万が一、共済契約者が死亡した場合は、この共済金が「死亡退職金」として遺族に支払われます。

生命保険とは異なり、受け取る共済金は相続税の計算上「死亡退職金等の非課税限度額」の対象となるため、税制面でも有利です。生命保険と小規模企業共済を組み合わせることで、より効率的に、そして節税しながら家族のための保障を準備することができます。

まとめ:最適な保険で、安心して事業に打ち込もう

個人事業主は、会社員という安定した傘の外に出て、自らの力で事業を切り盛りする挑戦者です。だからこそ、万が一のリスクに備える「守り」の準備が欠かせません。

公的保障が手薄になる分を、民間の保険で的確に補うことが重要です。

  • 医療保険:入院時の収入減をカバーするために、ご自身の収入に見合った保障を。
  • 就業不能保険:働けなくなるという最大のリスクに備える、個人事業主の生命線。
  • 生命保険:遺族年金を考慮し、不足する分を収入保障保険などで合理的に準備。

これらの保険を見直し、ご自身とご家族に合った保障を確保することで、将来への不安が軽減され、目の前の事業に全力で集中できる環境が整います。

保険の見直しと合わせて、事業の基盤を固めることも重要です。これから事業を始める方や、まだ開業の手続きがお済みでない方は、無料で簡単に書類作成ができる「マネーフォワード クラウド開業届」の活用がおすすめです。面倒な書類作成の手間を省き、スムーズなスタートを切りましょう。詳しい手順は「【開業準備ガイド】個人事業主になるには?無料の「マネーフォワード クラウド開業届」で書類作成から提出まで完全サポート!」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

まずは第一歩として、便利なツールを使って開業手続きをスムーズに済ませ、ご自身の事業と将来設計にじっくり向き合う時間を作りましょう。

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