NordVPNがApple TVやゲーム機などのVPN非対応デバイスで使える裏技

Apple TVで海外限定のストリーミングサービスを観たい。

PlayStationやNintendo Switchで、海外のプレイヤーと快適にゲームをしたい。

そう思っても、これらのデバイスにはVPNアプリを直接インストールできず、がっかりした経験はありませんか。

実は、VPN非対応のデバイスでも、いくつかの「裏技」を使えば大手のVPNサービスであるNordVPNの恩恵を受けることが可能です。

この記事では、2025年11月時点の最新情報に基づき、Apple TVやゲーム機といったVPN非対応デバイスでNordVPNを利用するための3つの具体的な方法を、それぞれのメリット・デメリットと合わせて詳しく解説します。

少しの設定で、あなたのエンターテイメント体験は格段に向上するはずです。

ぜひ最後までご覧いただき、最適な方法を見つけてください。

なぜApple TVやゲーム機はVPNアプリに直接対応していないのか？

多くの方が疑問に思う点ですが、Apple TVやPlayStation、Nintendo SwitchなどのデバイスがVPNアプリを直接サポートしていないのには、いくつかの技術的・構造的な理由があります。

まず最大の理由は、デバイスのオペレーティングシステム（OS）の制約です。iPhoneやAndroidスマートフォンのように、あらゆる種類のアプリが自由にインストールできる汎用的なOSとは異なり、Apple TVの「tvOS」やPlayStationのシステムソフトウェアは、特定の機能や用途に特化して設計されています。これらのOSは、セキュリティやパフォーマンスを最適化するために、VPN接続に必要なネットワークプロトコル（OpenVPNやWireGuardなど）を標準でサポートしていない、あるいはサードパーティ製のアプリがシステムのネットワーク設定を深く変更することを許可していないのです。

また、アプリストアのポリシーも関係しています。各プラットフォームのアプリストアは、提供するアプリの種類を厳格に管理しています。VPNアプリは、デバイスのネットワーク通信全体に影響を与えるため、安定性やセキュリティの観点から審査が厳しくなりがちです。特に、クローズドなエコシステムを重視するAppleや、ゲーム体験の安定性を最優先するソニー・任天堂にとって、VPNアプリの導入は予期せぬ問題を引き起こすリスクがあると判断されることがあります。

この結果、私たちは以下のような不便を被ることになります。

地理的制限（ジオブロック）の壁: 海外のNetflixやHulu、BBC iPlayerなどでしか配信されていない映画やドラマを観ることができない。
セキュリティリスク: Wi-Fi経由での通信が暗号化されず、セキュリティが脆弱なネットワーク環境では個人情報が漏洩するリスクがある。
オンラインゲームでの制約: 特定の国でしか利用できないゲームサーバーにアクセスできない、あるいは回線速度が不安定になることがある。

しかし、諦める必要はありません。デバイス本体が対応していなくても、ネットワーク環境全体をVPN化することで、これらの問題をまとめて解決する方法が存在します。次のセクションから、その具体的な「裏技」を3つご紹介します。

【裏技①】VPNルーターを設定してVPN環境を構築する

最も安定的かつ強力な方法が、VPNルーターを導入することです。これは、ご家庭のWi-Fiルーター自体にVPN機能を持たせる方法で、一度設定してしまえば、そのWi-Fiに接続するすべてのデバイスが自動的にVPNで保護されます。

VPNルーターとは？その仕組み

VPNルーターとは、VPNクライアント機能が内蔵されたWi-Fiルーターのことです。通常のルーターがインターネットサービスプロバイダ（ISP）に直接接続するのに対し、VPNルーターはまずNordVPNのサーバーに接続し、そのVPNトンネルを経由してインターネットに接続します。これにより、ルーターに接続されたApple TV、PlayStation 5、スマートTV、さらにはIoT家電まで、デバイス側で何の設定もすることなく、すべての通信が暗号化され、IPアドレスが変更されます。

メリットとデメリット

この方法の最大のメリットは、その「手軽さと網羅性」です。

一度設定すればOK: デバイスごとにVPNのON/OFFを切り替える必要がありません。
同時接続台数の制限なし: NordVPNの通常プランでは接続台数に制限がありますが、ルーターを1台とカウントするため、実質的に何台でも同時にVPNを利用できます。
完全な互換性: デバイスがWi-Fiに対応してさえいれば、OSに関係なくVPNの恩恵を受けられます。

一方で、以下のようなデメリットも存在します。

初期コストと設定の手間: VPN機能に対応したルーターを別途購入する必要があります。また、ルーターの管理画面でNordVPNの設定情報を手動で入力する必要があり、ある程度のITリテラシーが求められます。
VPNサーバーの切り替えが面倒: 接続先の国を変更したい場合、その都度ルーターの管理画面にログインして設定を変更する必要があります。

設定手順の概要

VPN対応ルーターの準備: NordVPNが推奨するASUS、TP-Link、Linksysなどのメーカーから、VPNクライアント機能を持つモデルを選びます。
NordVPNの設定情報を取得: NordVPNのアカウントページにログインし、手動設定用のサーバーアドレスや認証情報を確認します。
ルーターの管理画面で設定: ルーターの管理画面を開き、VPNクライアント設定の項目に、取得したNordVPNの情報を入力して接続を開始します。

この方法は、複数のデバイスで常にVPNを利用したい方や、家族全員でセキュリティを確保したい方に特におすすめです。

【裏技②】PCを「仮想ルーター」化してWi-Fiを共有する

「VPNルーターを買うのは少しハードルが高い…」と感じる方におすすめなのが、お持ちのWindows PCやMacを「仮想ルーター」として利用する方法です。これは、PCにインストールしたNordVPNの接続を、Wi-Fi経由で他のデバイスに共有（テザリング）する技術です。

仮想ルーターの仕組み

Windowsの「モバイルホットスポット」機能や、Macの「インターネット共有」機能を利用します。まずPC上でNordVPNに接続し、そのVPN化されたインターネット接続を、PCから発信される新しいWi-Fiネットワークとして共有します。そして、Apple TVやゲーム機をその新しいWi-Fiに接続するだけで、VPN経由でのインターネット利用が可能になります。

メリットとデメリット

この方法の魅力は、なんといってもその「手軽さとコストの低さ」です。

追加費用なし: 特別な機器を購入する必要がなく、今あるPCですぐに試せます。
サーバー切り替えが簡単: 接続国を変更したい場合、PC上のNordVPNアプリでサーバーを選ぶだけなので非常に直感的です。

ただし、利便性と引き換えにいくつかのデメリットもあります。

PCを常に起動しておく必要がある: Apple TVなどでVPNを使いたい間は、親機となるPCの電源を常に入れておく必要があります。
接続の安定性: PCの性能やWi-Fiの電波状況によっては、接続が不安定になったり、通信速度が低下したりすることがあります。VPNルーターに比べると安定性は劣ります。
有線接続が必要な場合も: PCの仕様によっては、PC自体は有線LANでインターネットに接続し、Wi-Fiを共有用に使うといった構成が必要になる場合があります。

設定手順の概要（Windowsの場合）

PCでNordVPNに接続: Windows用のNordVPNアプリを起動し、任意の国のサーバーに接続します。
アダプターオプションの変更: 「ネットワーク接続」設定から、NordVPNのアダプター（NordLynxなど）のプロパティを開き、「共有」タブで「ネットワークのほかのユーザーに、このコンピューターのインターネット接続をとおして接続を許可する」にチェックを入れます。
モバイルホットスポットを有効化: Windowsの「設定」から「モバイルホットスポット」を開き、共有する接続として先ほど設定したアダプターを選び、ホットスポットをONにします。
デバイスを接続: Apple TVやゲーム機のWi-Fi設定画面で、PCが発信しているネットワーク名を探して接続します。

一時的に海外の番組を観たい場合や、特定のゲームをプレイする時だけ使いたい、といった用途に最適な方法と言えるでしょう。

【裏技③】NordVPNの「スマートDNS」機能を利用する

最後に紹介するのは、NordVPNが提供する「スマートDNS（SmartDNS）」という機能を利用する方法です。これは厳密にはVPNではありませんが、地理的制限のあるストリーミングコンテンツを視聴するという目的に特化した、非常に便利な機能です。

スマートDNSの仕組みとVPNとの違い

VPNが通信全体を暗号化し、IPアドレスを完全に隠すのに対し、スマートDNSはデバイスのDNSサーバー設定を書き換えることだけで機能します。デバイスが特定のウェブサイト（例: netflix.com）にアクセスしようとすると、スマートDNSサーバーがそのリクエストを受け取り、あたかも指定した国（例: アメリカ）からアクセスしているかのように見せかけます。これにより、コンテンツの地域制限を回避できるのです。

重要な違いは、スマートDNSにはVPNのような通信の暗号化機能がないことです。そのため、プライバシー保護やセキュリティ強化の効果はありません。あくまでジオブロック解除が主目的の機能です。

メリットとデメリット

スマートDNSの最大のメリットは「速度と手軽さ」です。

通信速度が速い: 暗号化の処理がないため、VPN接続時に比べて通信速度の低下がほとんどありません。高画質な4Kストリーミングの視聴に最適です。
設定が比較的簡単: デバイスのネットワーク設定画面で、指定されたDNSサーバーのアドレスを入力するだけで完了します。

一方で、機能が限定的であるというデメリットがあります。

暗号化されない: 通信は保護されないため、セキュリティを重視する場合には向きません。
対応サービスが限定的: NordVPNのスマートDNSは、Netflix、Hulu、Amazon Prime Videoなど、主要なストリーミングサービスに対応していますが、すべてのジオブロックを解除できるわけではありません。
IPアドレスの登録が必要: 利用開始時に、自宅のIPアドレスをNordVPNのアカウントページに登録する必要があります。IPアドレスが変わるたびに再登録が必要になる場合があります。

設定手順の概要

IPアドレスの有効化: NordVPNのダッシュボードにログインし、「スマートDNS」のセクションで現在のIPアドレスを有効化します。
DNSサーバーアドレスを取得: 有効化すると、2つのDNSサーバーアドレスが表示されます。これをメモしておきます。
デバイスにDNSを設定: Apple TVやPlayStationの「ネットワーク設定」を開き、DNS設定を手動に変更して、取得したアドレスを入力します。
デバイスを再起動: 設定を反映させるために、デバイスを再起動すれば完了です。

とにかく手軽に、速度を落とさずに海外の動画配信サービスを楽しみたいという方には、このスマートDNSが最も適した選択肢となるでしょう。

まとめ：あなたの使い方に最適な方法は？

今回は、Apple TVやゲーム機などのVPN非対応デバイスでNordVPNを利用するための3つの裏技をご紹介しました。

それぞれの方法の特徴をまとめると、以下のようになります。

VPNルーター: 最も安定的で包括的な方法。初期投資は必要だが、一度設定すれば家族全員・すべてのデバイスが保護される。「常時接続・複数デバイス」で利用したい方向け。
PCの仮想ルーター化: 追加費用なしで手軽に試せる方法。PCを起動し続ける必要があるが、サーバーの切り替えは簡単。「一時的・コスト重視」で利用したい方向け。
スマートDNS: ストリーミング視聴に特化した最速の方法。暗号化はないが、設定が簡単で速度低下も少ない。「速度重視・ジオブロック解除が目的」の方向け。

どの方法が最適かは、あなたの目的や環境によって異なります。セキュリティも確保しつつ家族で使いたいならVPNルーター、とりあえず今夜だけ海外ドラマが観たいなら仮想ルーター、とにかく快適にストリーミングを楽しみたいならスマートDNS、といった具合にご自身の使い方に合った方法を選んでみてください。

これらの方法を活用すれば、これまで諦めていた海外のエンターテイメントの世界が大きく広がります。NordVPNのパワフルな機能を、ぜひお手持ちのすべてのデバイスで体験してみてください。

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