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【Google Driveアップデート】AIが“文脈”を読んで自動分類!Gemini連携でデータセキュリティを革新する新機能(ベータ版)登場

本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の記事を元に、日本のGoogle WorkspaceユーザーおよびGoogle Workspaceに興味がある方々に向けて、2025年11月11日に公開された情報を分かりやすく解説したものです。

組織に日々蓄積されていく、膨大な量のデジタルデータ。
その一つ一つに「極秘」「社外秘」「公開」といった適切なデータ分類ラベルを手動で付けていく作業は、もはや限界に達しているのではないでしょうか。
ファイルの数が多すぎて分類が追いつかない、従業員一人ひとりの判断基準にばらつきが出てしまう、重要な情報が分類されないまま放置され、セキュリティリスクになっている…。

これらは、情報管理に真剣に取り組むすべての企業が直面する、深刻な課題です。
この困難な課題を、AIの力で根本から解決する。そんな未来のデータガバナンスを現実にする、画期的な機能のベータプログラムが発表されました。

Googleの最先端AIモデル「Gemini」が、あなたのGoogle Drive内にあるファイルの内容を理解し、適切なデータ分類ラベルを自動で適用する新機能です。
今回は、この機能が従来のAI分類とどう違うのか、そして私たちの情報管理をどのように変革するのか、その全貌を詳しく解説します。

何が変わるのか?「指示するだけ」の次世代AIデータ分類

これまでも、Google DriveにはAIを活用したデータ分類機能が存在しました。しかし、それは管理者に大きな負担を強いるものでした。従来のAI分類では、管理者がまず「お手本」となるファイルを大量に用意し、「このファイルは『機密』です」「このファイルは『公開』です」と一つ一つ手作業でラベルを付け、AIに学習させる(モデルトレーニング)必要がありました。このプロセスは非常に時間がかかり、専門的な知識も求められるため、導入のハードルが高いものでした。

今回のアップデートは、この根本的な課題を解決します。
Geminiモデルの導入により、この「手作業によるモデルトレーニング」が一切不要になります。
代わりに管理者が行うのは、AIに対して自然言語で「指示(プロンプト)」を与えることだけです。

例えば、管理者は以下のような指示をGeminiに与えることができます。

  • 「顧客の個人情報、未公開の財務データ、M&Aに関する情報が含まれるファイルには『極秘』ラベルを適用してください。」

  • 「社内向けの業務マニュアルや議事録、稟議書には『社内秘』ラベルを適用してください。」

  • 「ウェブサイトで公開済みのプレスリリースや、マーケティング用のパンフレットには『公開』ラベルを適用してください。」

Geminiは、この人間が書いた指示文の意図や文脈を深く理解し、Google Drive内の各ファイルの内容を評価します。そして、指示内容に合致すると判断したファイルに対して、適切なラベルを自動で適用してくれるのです。
これは、AIとの対話によって、組織のセキュリティポリシーをシステムに実装する、全く新しいアプローチと言えるでしょう。

新機能がもたらす3つの絶大なメリット

このGeminiベースのデータ分類機能は、組織に3つの大きなメリットをもたらします。

  1. 管理者の負担を劇的に軽減し、導入・運用を迅速化
    最大のメリットは、管理者がトレーニングデータ作成という、最も時間と労力がかかる作業から解放されることです。もはや、何百、何千というファイルを手作業で分類する必要はありません。
    組織の分類ルールが変更になった場合も、これまではモデルの再トレーニングが必要でしたが、これからはプロンプトを修正するだけで、迅速に新しいルールをAIに反映させることができます。これにより、変化の速いビジネス環境にも柔軟に対応した、アジャイルなデータガバナンスが実現します。

  2. 大規模かつ高精度な分類で、セキュリティレベルを底上げ
    Geminiの持つ高度な言語理解能力と推論能力は、単なるキーワードマッチングではありません。文章全体の文脈、専門用語、ニュアンスを理解し、人間が見落としてしまいがちな機密情報も的確に検知する可能性があります。
    この能力を活かし、組織内に存在する何百万ものファイルに対して、一貫性のあるルールを網羅的に適用できます。これにより、これまで分類の手が回らなかった過去のファイルも含め、組織全体のデータセキュリティレベルを飛躍的に向上させることができます。

  3. AIと人間の協業による、信頼性の高いガバナンス体制の構築
    この機能は、すべてをAIに丸投げするものではありません。AIと人間が協業し、より高い精度と信頼性を実現するための仕組みが組み込まれています。
    Geminiが自動でラベルを適用したファイルに対して、そのファイルの所有者や編集者は、提案されたラベルが適切かどうかをレビューし、「承認」または「修正」することができます。AIによる効率化と、人間の最終的な判断を組み合わせることで、誤分類のリスクを最小限に抑えます。
    さらに、管理者は監査ログを通じて、いつ、誰が、どのファイルにラベルを付けたのか、またユーザーがAIの提案を承認・修正したのかといった一連の操作をすべて追跡できます。これにより、透明性の高いデータガバナンス体制を構築することが可能です。

管理者による完全なコントロール

この強力な機能を安心して導入できるよう、管理者が主導権を完全に握れるように設計されています。

  • 対象ラベルの選択: 組織で定義しているデータ分類ラベルのうち、どのラベルをAIによる自動分類の対象にするかを、管理者が自由に選択できます。

  • プロンプトの定義: 分類の基準となる指示(プロンプト)は、管理者が組織のポリシーに合わせて詳細に定義できます。

  • 対象範囲の指定: 全社一律で適用する必要はありません。「法務部門のファイルのみ」「特定のプロジェクトチームの共有ドライブのみ」といったように、AIがファイルを評価する対象ユーザーや範囲を柔軟にスコープできます。

このように、管理者がAIの動作をきめ細かく制御できるため、スモールスタートで効果を検証しながら、段階的に適用範囲を広げていくといった慎重な導入も可能です。

クローズドベータ参加のご案内

この革新的な機能は、現在「クローズドベータ」段階にあり、本格提供に先駆けてテストに参加する企業を募集しています。

  • 対象プラン: Google Workspace Enterprise Plusをご利用のお客様

  • 申し込み方法: 参加をご希望の管理者は、Googleが提供する専用フォームからお申し込みください。

  • 理想的なベータ参加組織:

    • すでに組織内でデータ分類プログラムを運用している。

    • 新機能を積極的にテストし、その結果や改善点をGoogleの製品チームに直接フィードバックすることに意欲的である。

  • ご注意: クローズドベータ期間中は、参加できる組織の数に限りがあります。今後、オープンベータに向けて段階的に参加枠を拡大していく予定です。審査を通過した組織には、具体的な導入手順を記載した案内メールが送られます。

まとめ

GeminiとGoogle Driveの連携によるデータ分類の自動化は、単なる業務効率化ツールではありません。それは、企業の最も重要な資産である「情報」を守り、コンプライアンス体制を強化するための、戦略的な一手となり得ます。

手作業の限界を超え、AIとの対話と協業によって、よりセキュアでスマートな情報管理を実現する。そんな未来が、もうすぐそこまで来ています。
Google Workspace Enterprise Plusをご利用で、データガバナンスの高度化に関心のある企業は、この革新的な機能のベータプログラムへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。