バグ管理表（BTS）の作り方とおすすめ管理ツール

「また同じバグが再発してしまった…」

「誰がどのバグを対応しているのか分からない」

「バグの修正状況を把握するのに時間がかかりすぎる」

こんな悩みを抱えていませんか？

システム開発やWebサービスの運用において、バグ管理は避けて通れない重要な業務です。しかし、適切な管理体制がないと、同じバグが繰り返し発生したり、対応漏れが起きたりして、プロジェクト全体の品質低下につながってしまいます。

この記事では、バグ管理表（BTS：Bug Tracking System）の基本から、効率的な作り方、そして実際に使えるおすすめのツールまで、バグ管理に関する全てを詳しく解説します。

バグ管理表（BTS）とは？基本を理解しよう

バグ管理表（BTS）とは、ソフトウェア開発やシステム運用で発生するバグ（不具合）を一元的に管理するためのシステムや仕組みのことです。

単なる「バグのリスト」ではなく、以下のような情報を体系的に管理します：

• バグの発生日時と発見者
• バグの内容と再現方法
• 優先度と重要度
• 担当者と進捗状況
• 修正内容と完了日
• テスト結果と承認状況

これらの情報を適切に管理することで、チーム全体でバグの状況を共有し、効率的に問題解決を進めることができます。

なぜバグ管理表が必要なのか？5つのメリット

1. バグの見える化による対応漏れ防止

口頭やメールだけでバグ報告をしていると、どうしても対応漏れが発生します。バグ管理表を使えば、全てのバグが一覧で確認でき、未対応のものが一目で分かります。

2. 優先順位の明確化

全てのバグを同時に修正することは不可能です。バグ管理表では重要度や影響範囲を記録することで、どのバグから対応すべきかが明確になります。

3. 進捗状況の共有

「このバグ、もう直った？」という確認の手間がなくなります。チーム全員が同じ情報を見ることができるため、コミュニケーションコストが大幅に削減されます。

4. ナレッジの蓄積

過去に発生したバグの情報が蓄積されることで、類似のバグが発生した際の対応が迅速になります。また、頻発するバグの傾向を分析することで、根本的な改善につなげることもできます。

5. 品質向上への貢献

バグの発生傾向や修正にかかった時間などのデータを分析することで、開発プロセスの改善点が見えてきます。長期的な品質向上に貢献します。

エクセルで始める！基本的なバグ管理表の作り方

まずは手軽に始められるエクセルを使ったバグ管理表の作り方を解説します。小規模なプロジェクトや、初めてバグ管理を導入する場合におすすめです。

必須項目の設定

エクセルでバグ管理表を作る際は、以下の項目を列として設定しましょう：

エクセル管理のコツ

エクセルでバグ管理表を運用する際のポイントをいくつか紹介します：

1. フィルター機能の活用：ステータスや担当者でフィルターをかけられるようにしておくと、必要な情報をすぐに見つけられます。
2. 条件付き書式の設定：優先度が「高」のものは赤色にするなど、視覚的に分かりやすくしましょう。
3. 定期的なバックアップ：エクセルファイルは破損のリスクがあるため、定期的にバックアップを取ることが重要です。
4. 更新ルールの明確化：誰がいつ更新するかのルールを決めておかないと、情報が古いままになってしまいます。

エクセル管理の限界と専門ツールの必要性

エクセルでのバグ管理は手軽に始められる反面、プロジェクトが大きくなると以下のような問題が発生します：

同時編集の問題

複数人が同時に編集すると、ファイルがロックされたり、変更内容が失われたりする可能性があります。チーム開発では致命的な問題になりかねません。

履歴管理の困難さ

「いつ誰がどの項目を変更したか」という履歴を追うことが難しく、問題が発生した際の原因究明に時間がかかります。

通知機能の欠如

新しいバグが登録されたり、自分が担当になったりしても、エクセルでは自動通知ができません。定期的にファイルを確認する必要があり、対応が遅れる原因になります。

検索性の低さ

バグの数が増えてくると、目的の情報を見つけるのに時間がかかります。特に過去のバグを参照したい場合、エクセルの検索機能では限界があります。

これらの問題を解決するために、専門のバグ管理ツールの導入を検討する必要があります。

バグ管理ツールを選ぶ際の7つのポイント

数多くあるバグ管理ツールの中から、自社に最適なものを選ぶためのポイントを解説します。

1. チームの規模に合っているか

5人のチームと50人のチームでは、必要な機能が大きく異なります。現在の規模だけでなく、将来的な拡張性も考慮して選びましょう。

2. 使いやすさ

高機能でも使いにくいツールは、結局使われなくなってしまいます。無料トライアルなどを活用して、実際の操作感を確認することが重要です。

3. 他ツールとの連携

GitやSlackなど、すでに使用している開発ツールと連携できるかどうかは重要なポイントです。連携により、作業効率が大幅に向上します。

4. カスタマイズ性

プロジェクトによって管理したい項目は異なります。フィールドの追加や、ワークフローのカスタマイズができるツールを選びましょう。

5. セキュリティ

バグ情報には機密情報が含まれることもあります。適切なアクセス制御や、データの暗号化などのセキュリティ機能を確認しましょう。

6. サポート体制

問題が発生した際のサポート体制も重要です。日本語でのサポートがあるか、レスポンスは迅速かなどを確認しましょう。

7. コスト

初期費用だけでなく、ランニングコストも含めて検討が必要です。ユーザー数によって料金が変わるツールが多いため、将来的なコストも試算しておきましょう。

おすすめのバグ管理ツール5選

ここからは、実際に多くの企業で使われているバグ管理ツールを紹介します。それぞれの特徴を理解して、自社に最適なツールを選びましょう。

1. Backlog（バックログ）

Backlogは、日本発のプロジェクト管理ツールで、バグ管理機能も充実しています。直感的なインターフェースと日本語での手厚いサポートが特徴です。

主な特徴：

• 課題管理機能でバグを一元管理
• ガントチャートで進捗を視覚化
• Git連携でコードとバグを紐付け
• Wiki機能でナレッジを蓄積
• スマートフォンアプリで外出先からも確認可能

特に日本企業での導入実績が多く、日本の開発現場に最適化されています。プロジェクト管理全般をカバーできるため、バグ管理だけでなく、タスク管理や進捗管理も同時に行えます。

詳しい機能や料金については、Backlog完全ガイド記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2. Jira（ジラ）

Atlassian社が提供する世界的に有名なプロジェクト管理ツールです。アジャイル開発に特化した機能が充実しています。

主な特徴：

• 高度なワークフローのカスタマイズ
• 豊富なレポート機能
• 多数のサードパーティ連携

大規模プロジェクトや複雑なワークフローが必要な場合に適していますが、初心者には少し難しく感じるかもしれません。

3. Redmine（レッドマイン）

オープンソースのプロジェクト管理ツールで、無料で利用できます。カスタマイズ性が高く、多くの企業で採用されています。

主な特徴：

• 完全無料で利用可能
• プラグインによる機能拡張
• 自社サーバーでの運用が可能

ただし、インストールや運用には技術的な知識が必要で、サポートも基本的にコミュニティベースとなります。

4. GitHub Issues

GitHubを使用している開発チームなら、GitHub Issuesも選択肢の一つです。コード管理と一体化したバグ管理が可能です。

主な特徴：

• プルリクエストとの連携
• ラベルによる分類
• マイルストーン管理

開発者にとっては使いやすいですが、非エンジニアのメンバーには少しハードルが高いかもしれません。

5. Bugzilla（バグジラ）

Mozilla Foundationが開発したオープンソースのバグ管理システムです。歴史が長く、安定性に定評があります。

主な特徴：

• 詳細な検索機能
• メール通知機能
• 高度なセキュリティ設定

専門的なバグ管理に特化していますが、UIが古く、学習コストが高いという面もあります。

バグ管理を成功させるための5つのベストプラクティス

ツールを導入しただけでは、効果的なバグ管理はできません。以下のベストプラクティスを実践することで、チーム全体の生産性を向上させることができます。

1. 明確な記載ルールの設定

バグ報告の品質がバラバラだと、対応に時間がかかってしまいます。以下のような記載ルールを設定しましょう：

• タイトルは具体的に（NG：エラーが出る　OK：ログイン時にパスワード入力でエラー）
• 再現手順は番号付きリストで記載
• 期待される動作と実際の動作を明記
• スクリーンショットやエラーログを添付

2. 優先度の基準を明確化

「高」「中」「低」だけでは、人によって判断が異なります。以下のような具体的な基準を設けましょう：

• 緊急：サービスが停止する、データが失われる
• 高：主要機能が使えない、多数のユーザーに影響
• 中：代替手段がある、一部のユーザーに影響
• 低：見た目の問題、将来的な改善事項

3. 定期的なレビューの実施

週次や月次でバグの状況をレビューする時間を設けましょう。長期間放置されているバグや、優先度の見直しが必要なものを洗い出すことができます。

4. クローズ条件の明確化

「修正した」だけでバグをクローズしてはいけません。以下のプロセスを経てクローズすることで、品質を担保できます：

1. 開発者が修正を完了
2. テスト担当者が動作確認
3. 報告者が最終確認
4. 承認を得てクローズ

5. ナレッジの活用

過去のバグ情報は貴重な資産です。類似のバグが発生した際に参照できるよう、解決方法や原因を詳しく記録しておきましょう。また、よくあるバグについてはFAQやWikiにまとめておくと、チーム全体の効率が向上します。

まとめ：効果的なバグ管理で開発効率を大幅アップ

バグ管理は、単なる「不具合の記録」ではありません。適切に運用することで、以下のような効果が期待できます：

• 開発スピードの向上
• 品質の安定化
• チームコミュニケーションの改善
• 顧客満足度の向上

まずはエクセルから始めても構いませんが、チームが成長し、プロジェクトが大きくなってきたら、専門のバグ管理ツールの導入を検討しましょう。

特に、日本の開発現場に最適化されたツールを探している方には、Backlogがおすすめです。バグ管理だけでなく、プロジェクト管理全般をカバーできる機能が揃っており、30日間の無料トライアルで実際の使い心地を確認できます。

効果的なバグ管理体制を構築して、より良い開発環境を実現しましょう。バグ管理ツールの導入は、チームの生産性向上への第一歩です。