クラウド会計ソフトの便利さは知っているけれど、大切なお金の情報をインターネット上に預けるのは少し不安…。
そう感じている個人事業主やフリーランスの方は、決して少なくありません。
実際に、経理の手間を大幅に削減できる魅力的なツールである一方、「もし情報が漏れたらどうしよう？」という懸念が、導入の最後の壁になっているケースは多いでしょう。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するために、クラウド会計ソフトのセキュリティ対策について徹底的に掘り下げていきます。
安全なソフトを見分けるための具体的なチェックポイントから、提供事業者がどのような対策を講じているのかまで、専門的な内容を分かりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、安心してクラウド会計ソフトを選ぶための知識が身につき、自信を持って経理業務のDX（デジタルトランスフォーメーション）へ一歩踏み出せるはずです。
なぜ今、クラウド会計ソフトのセキュリティが重要視されるのか？
そもそも、なぜこれほどまでにクラウド会計ソフトのセキュリティが重要なのでしょうか。その理由は、会計ソフトが扱う情報が、事業の根幹をなす極めて機密性の高いデータだからにほかなりません。
売上や経費、利益といった経営状況はもちろん、取引先の情報やあなた自身の個人情報まで、すべてが一元管理されています。もしこれらの情報が外部に漏洩すれば、その損害は計り知れません。例えば、経営状況が競合に知られてしまったり、取引先に迷惑をかけて信用を失ったりする可能性があります。最悪の場合、個人情報が悪用され、直接的な金銭被害につながるリスクも考えられます。
「それなら、昔ながらのインストール型ソフトの方が安全なのでは？」と思うかもしれません。確かに、インターネットに直接繋がっていない分、外部からのサイバー攻撃のリスクは低いように見えます。しかし、インストール型には別のリスクが存在します。それは、物理的な盗難やPCの故障、ウイルス感染によるデータ消失です。PCが壊れてしまえば、長年蓄積してきた会計データが一瞬で消えてしまう恐れがあり、バックアップを取っていなければ復旧は困難です。
一方で、クラウド会計ソフトは、データの管理をセキュリティの専門家集団に委ねるという考え方です。信頼できる事業者は、24時間365日体制でシステムを監視し、最新の脅威からデータを守るための投資を惜しみません。これは、個人が自力で同等レベルのセキュリティ環境を構築するよりも、はるかに安全で効率的と言えるでしょう。つまり、クラウド会計ソフトを選ぶことは、「自分で守る」から「プロに守ってもらう」へのシフトであり、現代のビジネス環境において、より合理的で安全な選択肢となりつつあるのです。
【必見】安全なクラウド会計ソフトを見分ける5つのチェックポイント
「プロに守ってもらう」ことの重要性は分かりましたが、では、どの事業者が「信頼できるプロ」なのでしょうか。ここでは、安全なクラウド会計ソフトを選ぶために、必ず確認すべき5つの具体的なポイントを解説します。これらの基準を知っておけば、数あるサービスの中から安心して使えるものを見分けられるようになります。
1. 通信が暗号化されているか（SSL/TLS）
まず基本中の基本として、データの送受信時に通信が暗号化されているかを確認しましょう。これは、ブラウザのアドレスバーを見れば簡単に判断できます。URLが「http://」ではなく「https://」で始まっていれば、SSL/TLSという技術によって通信が暗号化されている証拠です。これにより、第三者が通信内容を盗み見る「盗聴」を防ぐことができます。2025年10月現在、主要なクラウド会計ソフトでSSL/TLSに対応していないサービスは皆無と言えますが、必ず確認する癖をつけましょう。
2. データ自体が暗号化されて保存されているか
通信だけでなく、サーバーに保存されているデータ自体が暗号化されているかも重要なポイントです。万が一、サーバーへ不正に侵入されたとしても、データが暗号化されていれば、意味のある情報として読み取られることを防げます。これは、金庫にお金を入れるだけでなく、そのお金自体にも鍵をかけておくような二重の対策です。公式サイトのセキュリティポリシーなどで、「データの暗号化保存」について明記されているかを確認しましょう。
3. 不正アクセスを防ぐ仕組みがあるか（2段階認証）
IDとパスワードの組み合わせだけでは、万全とは言えません。パスワードが流出してしまえば、誰でも簡単にログインできてしまいます。そこで重要になるのが「2段階認証（多要素認証）」です。これは、ID/パスワード入力に加えて、スマートフォンアプリやSMSで送られてくる確認コードの入力を求めることで、本人以外が不正にログインすることを防ぐ仕組みです。セキュリティを重視するなら、2段階認証に対応しているサービスを選ぶことを強く推奨します。
4. 国際的なセキュリティ認証を取得しているか
事業者が「うちは安全です」と主張するだけでなく、その安全性が客観的に証明されているかは非常に重要です。その指標となるのが、第三者機関によるセキュリティ認証です。代表的なものに、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC 27001（ISMS認証）」や、国内のプライバシーマーク制度（Pマーク）があります。これらの認証を取得している事業者は、情報管理体制が厳格な基準を満たしていることの証明となり、高い信頼性があると言えます。
5. 運用会社の信頼性と実績
最後に、そのサービスを誰が運営しているのかも確認しましょう。長年の運用実績があるか、上場企業やそのグループ会社が運営しているか、といった点は、信頼性を判断する上での大きな材料となります。信頼できる企業は、セキュリティインシデントが事業に与えるダメージの大きさを熟知しているため、セキュリティ対策にも相応の投資を行っているのが一般的です。企業の公式サイトで会社概要や沿革を確認し、安定した経営基盤を持つ信頼できる企業かどうかを見極めましょう。
主要クラウド会計ソフトのセキュリティ体制と選び方の視点
ここまで解説してきた5つのチェックポイントを踏まえ、具体的にクラウド会計ソフトを見ていきましょう。数あるソフトの中でも、特に多くの個人事業主に利用されているのが「マネーフォワード クラウド確定申告」です。
では、マネーフォワード クラウド確定申告は、セキュリティの観点から見てどうなのでしょうか。
結論から言うと、金融機関レベルの非常に強固なセキュリティ体制を構築しており、安心して利用できるサービスの一つです。具体的には、これまで挙げたチェックポイントを高いレベルで満たしています。
- 通信とデータの暗号化: もちろん、すべての通信はSSL/TLSにより暗号化されています。さらに、サーバーに保存されるデータも暗号化されており、二重の防御策が取られています。
- 不正アクセス対策: ログイン時のIPアドレス制限や、推測されにくいパスワードの設定を推奨しているほか、もちろん2段階認証にも対応しています。
- 第三者認証: プライバシーマーク（Pマーク）や、情報セキュリティの国際規格である「ISO/IEC 27001」を取得済みです。これは、厳格な基準で情報管理体制が運用されていることの客観的な証明です。
- 運用会社の信頼性: 運営会社である株式会社マネーフォワードは、東証プライム市場に上場している企業であり、社会的な信用度も非常に高いと言えます。
このように、マネーフォワード クラウド確定申告は、事業者が提供するセキュリティ対策としては最高水準にあると言っても過言ではありません。
しかし、ここで一つ独自の視点として重要なことをお伝えします。それは、「どんなに強固なシステムも、使う側の意識が低ければ意味がない」ということです。例えば、推測しやすいパスワード（「password」や「12345678」など）を使ったり、複数のサービスで同じパスワードを使い回したり、公共のフリーWi-Fiで安易にログインしたりすれば、せっかくのセキュリティ機能も台無しです。ソフト提供会社の対策を信頼すると同時に、利用者自身もパスワード管理を徹底し、2段階認証を設定するといった自衛策を講じることが、本当の意味で情報を守ることに繋がります。
セキュリティ対策が万全なソフトの中でも、どれが自分に合うか迷うこともあるでしょう。実は、機能や料金、サポート体制も重要な選択基準です。より詳しい比較や、あなたの事業規模やITリテラシーに合わせた最適なソフトの選び方については、別の記事で詳しく解説しています。ぜひそちらも参考にしてみてください。
【完全ガイド】マネーフォワード クラウド確定申告とは？使い方・評判・料金まで個人事業主向けに徹底解説
まとめ：賢い選択で、安全かつ効率的な経理を実現しよう
この記事では、クラウド会計ソフトのセキュリティに関する不安を解消するため、その重要性から安全なソフトを見分けるための具体的なチェックポイントまでを詳しく解説しました。
大切なポイントを振り返ってみましょう。
- クラウド会計ソフトは、会計データという事業の重要情報を扱うため、セキュリティが極めて重要。
- 安全なソフトは、「通信の暗号化」「データの暗号化」「2段階認証」「国際認証の取得」「運営会社の信頼性」の5つのポイントで判断できる。
- 事業者の対策だけでなく、利用者自身のパスワード管理やセキュリティ意識も同じくらい重要。
クラウド会計ソフトのセキュリティは、もはや「不安要素」ではなく、「比較検討すべき性能の一つ」に変わりました。この記事で紹介した知識を活用すれば、あなたはもう漠然とした不安に惑わされることなく、自信を持って自社に最適なツールを選べるはずです。
安全なクラウド会計ソフトを導入することは、単に情報を守るだけでなく、日々の経理業務を劇的に効率化し、あなたが本来集中すべきビジネスのコア業務に時間を使うための第一歩です。例えば、この記事でも紹介した「マネーフォワード クラウド確定申告」は、強固なセキュリティと直感的な使いやすさを両立しており、初めての方にもおすすめです。