フリーランスのデザイナーやイラストレーターとして独立を決意したあなた。
開業届の「事業内容」欄を前に、何を書けばいいのか悩んでいませんか?
「グラフィックデザインだけじゃなくてWebデザインもやるし…」「イラストだけじゃなくて漫画も描くけど…」といった複数の業務を行う場合、どう記載すればいいのか迷ってしまうのは当然です。
この記事では、デザイナー・イラストレーター向けに、税務署に受理されやすく、かつ将来の事業展開も見据えた事業内容の書き方を、具体的な記入例とともに詳しく解説します。
読み終わる頃には、自信を持って開業届を提出できるようになるでしょう。
デザイナー・イラストレーターが開業届の事業内容で悩む理由
開業届の事業内容欄は、一見シンプルな記入項目に見えます。しかし、クリエイティブ職の方々にとっては、意外と頭を悩ませる項目です。その理由を詳しく見ていきましょう。
業務範囲が幅広く、一言でまとめにくい
デザイナーやイラストレーターの仕事は、非常に多岐にわたります。例えば、グラフィックデザイナーの場合、ロゴデザイン、名刺デザイン、パンフレット制作、Web素材作成など、様々な業務を手がけることが一般的です。イラストレーターも同様に、書籍の挿絵、広告用イラスト、キャラクターデザイン、漫画制作など、幅広い分野で活動します。
これらすべてを開業届の限られたスペースに記載するのは困難です。かといって、「デザイン業」や「イラスト業」とだけ書くのも、具体性に欠けるのではないかと不安になります。
将来の事業展開を見据えた記載の必要性
開業時点では主にグラフィックデザインを中心に活動していても、将来的にはWebデザインや動画編集にも事業を拡大したいと考えている方も多いでしょう。開業届に記載した事業内容と異なる仕事を受注した場合、税務上の問題が生じないか心配になるのも無理はありません。
実際、税務署では事業内容の記載について厳格な規定はありませんが、あまりにも記載内容と実際の業務がかけ離れていると、後々説明を求められる可能性もあります。そのため、現在の業務だけでなく、将来の展開も視野に入れた記載が重要になってきます。
税務署に受理されやすい表現がわからない
クリエイティブな表現に慣れている方でも、公的書類となると話は別です。「アートディレクション」「ビジュアルコミュニケーション」といった業界用語を使うべきか、それとも一般的な表現にとどめるべきか、判断に迷うことも少なくありません。
また、個人事業主として開業する際は、【開業準備ガイド】個人事業主になるには?無料の「マネーフォワード クラウド開業届」で書類作成から提出まで完全サポート!を参考にすることで、開業手続き全体の流れを把握できます。
デザイナー・イラストレーター向け事業内容の書き方と具体例
それでは、実際にどのように事業内容を記載すればよいのか、職種別に具体例を見ていきましょう。ポイントは、具体的でありながら柔軟性を持たせることです。
グラフィックデザイナーの記入例
基本的な記載例:
「グラフィックデザイン業(印刷物・Web素材のデザイン制作)」
より詳細な記載例:
「グラフィックデザイン業(企業ロゴ、名刺、パンフレット、ポスター等の印刷物およびWeb用画像素材のデザイン・制作)」
将来の展開を見据えた記載例:
「デザイン業(グラフィックデザイン、Webデザイン、UI/UXデザイン、その他各種デザイン制作および関連するコンサルティング業務)」
この記載方法のメリットは、現在の主力業務を明確にしながら、将来的な業務拡大にも対応できる点です。「その他各種デザイン制作」という表現を入れることで、新しいデザイン分野への進出も可能になります。
イラストレーターの記入例
基本的な記載例:
「イラスト制作業(書籍・雑誌・広告用イラストの制作)」
より詳細な記載例:
「イラスト制作業(出版物挿絵、広告用イラスト、キャラクターデザイン、漫画制作、デジタルイラスト制作)」
将来の展開を見据えた記載例:
「イラスト・デザイン業(各種イラスト制作、キャラクターデザイン、漫画制作、グラフィックデザイン、およびこれらに付随する著作権管理業務)」
イラストレーターの場合、著作権管理も重要な業務の一つです。将来的にライセンス収入を得る可能性も考慮し、「著作権管理業務」を含めておくと良いでしょう。
Webデザイナーの記入例
基本的な記載例:
「Webデザイン業(ウェブサイトのデザイン・制作)」
より詳細な記載例:
「Webデザイン・制作業(企業サイト、ECサイト、ランディングページのデザイン・コーディング・保守管理)」
将来の展開を見据えた記載例:
「Web制作・デザイン業(Webサイトデザイン、UI/UXデザイン、フロントエンド開発、Webマーケティング支援、およびこれらに関連するコンサルティング業務)」
複数の業務を行う場合の記載方法
デザインとイラストの両方を手がける方や、写真撮影も行う方など、複数の専門分野を持つ方は以下のような記載が適しています。
例1:デザイン+イラスト
「デザイン・イラスト制作業(グラフィックデザイン、イラスト制作、キャラクターデザイン、およびこれらを活用した各種制作物の企画・制作)」
例2:デザイン+写真
「ビジュアルコンテンツ制作業(グラフィックデザイン、写真撮影・編集、画像加工、およびこれらを組み合わせた広告・販促物の制作)」
例3:総合的なクリエイティブ業務
「クリエイティブ制作業(デザイン、イラスト、写真、動画等の各種ビジュアルコンテンツの企画・制作・ディレクション)」
記載時の注意点とコツ
事業内容を記載する際は、以下の点に注意しましょう。
- 具体性と柔軟性のバランス:あまりに限定的な記載は避け、ある程度の幅を持たせる
- 専門用語の使い方:一般的に理解される範囲で専門用語を使用する
- 括弧書きの活用:メインの業種名の後に括弧で具体例を示すと分かりやすい
- 「等」「その他」の使用:列挙した後に「等」を付けることで、記載以外の業務も含められる
- 関連業務の包含:「およびこれらに関連する業務」という表現で周辺業務もカバー
また、マネーフォワード クラウド開業届を利用すれば、業種選択や事業内容の入力もガイドに従って簡単に行えます。
開業届の事業内容記載方法の比較
ここでは、事業内容の記載方法について、いくつかのパターンを比較してみましょう。それぞれのメリット・デメリットを理解することで、自分に最適な記載方法を選択できます。
シンプル記載 vs 詳細記載
シンプル記載の例:「デザイン業」
- メリット:簡潔で分かりやすい、幅広い業務に対応可能
- デメリット:具体性に欠ける、専門性が伝わりにくい
- おすすめの人:業務内容が頻繁に変わる可能性がある方
詳細記載の例:「グラフィックデザイン業(企業CI、ロゴマーク、名刺、会社案内、商品パッケージ、ポスター、チラシ、Web用バナー等のデザイン制作)」
- メリット:専門性が明確、信頼性が高い
- デメリット:記載以外の業務を行いにくい印象を与える可能性
- おすすめの人:特定分野に特化して活動する方
単一業種記載 vs 複合業種記載
単一業種記載の例:「イラスト制作業」
- メリット:専門性が明確、ブランディングしやすい
- デメリット:業務の幅を狭める可能性
- おすすめの人:特定分野のスペシャリストを目指す方
複合業種記載の例:「デザイン・イラスト・コンテンツ制作業」
- メリット:様々な案件に対応可能、収入源を多様化できる
- デメリット:専門性が曖昧になる可能性
- おすすめの人:マルチに活動したい方、まだ専門分野を絞り込めていない方
記載方法による税務上の影響
基本的に、開業届の事業内容の記載方法によって、税務上の取り扱いが大きく変わることはありません。ただし、以下の点には注意が必要です。
- 記載した事業内容と実際の売上の内容があまりにも異なる場合、税務調査時に説明を求められる可能性がある
- 事業内容によって適用される経費の範囲が判断されることがある
- 将来的に法人化する際、定款の事業目的を決める参考になる
そのため、現実的で、かつある程度の幅を持たせた記載が望ましいと言えるでしょう。
まとめ:自信を持って開業届を提出するために
デザイナーやイラストレーターの事業内容記載は、専門性を示しながらも、将来の可能性を狭めない表現を心がけることが大切です。本記事で紹介した記入例を参考に、自分の業務内容に合わせてカスタマイズしてください。
開業届の提出は、フリーランスとしての第一歩です。事業内容の記載に悩む時間を最小限にして、本業であるクリエイティブ活動に集中できるよう、マネーフォワード クラウド開業届のような便利なツールを活用することをおすすめします。
今すぐ行動を起こし、プロフェッショナルなクリエイターとしての新たなスタートを切りましょう。開業届の提出後は、確定申告の準備も忘れずに。クリエイティブな仕事に専念できる環境を整えて、素晴らしい作品を世に送り出してください。