毎年右肩上がりに増えている「フードトラック(キッチンカー・移動販売車)」の現状と将来性を考える

「フードトラック」という言葉、日本ではまだあまり馴染みがない言葉だと思います。

フードトラックとは、日本では従来、キッチンカー、移動販売車と呼ばれており、調理設備を備えた車のことを言います。(アメリカでは「フードトラック」の呼び名は一般的で、日本よりも全然一般的に普及しています。)

 

近年、東京都内のオフィス街を中心に盛り上がりを見せているフードトラック(キッチンカー・移動販売車)。

最近ではお昼のランチタイムに東京都内のオフィス街を歩いていると、下の写真のようなフードトラックが数台集まったフードコートのようなスペースを見かけるようになりました。

画像出典) Mellow

 

オフィス街だけでなく、音楽フェスをはじめとしたイベントにもフードトラックはよく出店していて、オシャレな外装のフードトラック、本格的な料理を提供するフードトラックも増えています。

 

東京都福祉保健局の「食品衛生関係事業報告」の調査報告によると、東京都で営業許可を取得したフードトラックの数が毎年右肩上がりに増加傾向にあります。

画像出典)forbesjapan

 

右肩下がりの外食産業において、逆に右肩上がりのフードトラック。

今後注目に値する状況だと思います。

 

そこで今回は、フードトラック(キッチンカー・移動販売車)の現状と将来性について考えをまとめたいと思います。

フードトラックが増加している背景、理由

繰り返しになりますが、外食産業は年々市場規模が減少している右肩下がり、宅配やデパ地下などの持ち帰り惣菜など「中食」と呼ばれる市場にシェアを徐々に奪われている状況です。

 

そのような厳しい外食産業において、東京都のフードトラックの数は先ほどのグラフのとおり、毎年増加傾向にあります。

では、なぜフードトラックが増加傾向にあるのでしょうか。私なりの考えをまとめたいと思います。

 

①SNS、インターネット検索の普及

ごく当たり前になってきているので説明不要かもしれませんが、近年のSNS、インターネット検索の普及によって、飲食店の立地は昔ほど重要ではなくなってきています。

美味しかったり、インスタ映えしたり、紹介したくなるようなお店は店舗立地に関係なく、SNS、Google検索などで見つけてもらうことができる時代です。

フードトラックも同様に、SNSで出店場所の予定を告知したり、SNSやwebサイトなどで気に入ってもらえたお客さんとつながりやすくなっている点が、今までに比べてフードトラックで商売がしやすくなっていると思います。

 

②出店機会の増加

フードトラックのメインの出店場所と言えばオフィス街。

オフィス街に加えて、近年、音楽フェスやマルシェなどのイベントが全国各地で増えており、フードトラックの出店機会は増加傾向にあります。

また、フードトラックの数が増えて、競争が激しくなってくると、美味しい料理を提供するフードトラックが増え、外装がオシャレな車が増えてくるなど、フードトラックの品質レベルが上がってきている点も、出店スペースを提供する側の心理的にも良い影響をもたらしていると思います。

 

③マッチングサービスの登場

フードトラックの運営上1番の懸念点は出店場所探しです。

この課題に取り組むサービス「TLUNCH(トランチ)」が2016年に登場しています。

TLUNCH」は、フードトラックと出店スペースをマッチングするサービスで、2018年4月現在、約370店舗のフードトラック、約60カ所の出店スペースと提携しています。

webサイトベースで、フードトラックと出店スペースをマッチングするwebサイトは今までもありましたが、アプリなどwebサービスとして展開するのは今までなかったと思います。類似サービスもまだないようです。

このような出店場所探しをサポートしてくれるサービスが登場してきた点もフードトラックが増加している後押しになっているのではないでしょうか。

 

④出店したいと思えるような状況になっている

①〜③を踏まえて、単純にフードトラックにチャンスを見出す人、お店、企業が増えているのではないかと思います。

後述しますが、フードトラックは固定店舗の飲食店に比べるとローコストで出店、営業ができて、かつ、売上見込みなど今までよりもチャンスをつかみやすい環境です。

集客するのに、高い家賃や高い広告宣伝費が必要なくなってきている時代において、1,000万円の初期費用をかけて、高い家賃を毎月払わないといけない固定店舗の飲食店を開業するよりも、300万円の初期費用で毎月のランニングコストも安いフードトラックを開業する人が増えることは自然な流れとも思えます。

フードトラックのメリット、デメリット

別記事「飲食店開業の魅力的な新しい選択肢「フードトラック(キッチンカー・移動販売車)」のメリット、デメリット」で、フードトラックのメリット、デメリットについて詳細にまとめていますので、ぜひご覧ください。

 

ここではフードトラックのメリット、デメリットの簡単なまとめを紹介しておきます。

 

<フードトラックの主なメリット>

  1. 開業の初期費用が固定店舗に比べて安く済む(ちなみに廃業時も安く済む)
  2. 店舗家賃など毎月かかるランニングコストも固定店舗に比べて安く済む
  3. 基本はテイクアウトのスタイルであるため人件費を抑えることができる
  4. 人がいる場所に移動して出店できる
  5. フードトラックは席数制限がないので売上上限がない(製造量の限界に応じた売上上限はある)
  6. 外的環境の変化に強い(例えば、固定店舗は移転が大変だけどフードトラックなら移動が簡単。お店の提供ジャンルをガラッと変えることもやりやすい、など。)

 

フードトラックは、従来の飲食店(固定店舗)の開業、営業に比べると、ローコストでスタートすることができます。

また、最大のメリットとして、移動して出店ができるため、人がいる場所を選んで出店できる点があります。

メリット⑤にある大きな売上を狙える点も魅力的、⑥の変化に強い点も近年の流行り廃りのスピードや、人口減少の変化などにも対応しやすいのも、固定店舗と比べると大きなメリットと言えるでしょう。

 

<フードトラックの主なデメリット>

  1. 出店場所が見つからない、競争が激しい
  2. 販売品目、調理など自治体、保健所の制約が多い
  3. 仕込み場所が必要になると家賃など費用が増える

 

メリットだらけのように思えるフードトラックですが、当然デメリットも忘れてはいけません。

前述のフードトラックと出店スペースのマッチングサービスが登場してきてはいますが、現状は少ない出店場所を、毎年増加している多くのフードトラックが競争してパイを取り合っているような状況です。

人が集まり、たくさん売れる実績があるような人気がある出店場所は、出店費用の高騰や、出店審査がある、など出店のハードルが高いという状況も容易に想像できます。

固定店舗と同じく、他のフードトラックにはない魅力がないとフードトラック業界で生き残っていくことは難しいでしょう。

フードトラックの将来性

最後にフードトラックの将来性について、考えをまとめておきたいと思います。

 

日本の少子高齢化、地方から都市への人の移動が集中する、等の外部環境も考慮すると、従来の飲食店のように、日本全国にフードトラックが普及する未来は想像しにくいですが、現在のフードトラック市場規模からすると、徐々に拡大していくと予想しています。

外食産業の市場規模は今の流れのまま縮小していくと思うので、従来の固定店舗の飲食店が減り、フードトラックが増えるようなイメージです。

 

前述の「フードトラックが増加している背景、理由」で説明したように、インターネットをはじめ、ITテクノロジーのおかげで、

これからの外食は、ランチやディナーを飲食店に行って食事する、だけでなく、UberEATSといったフードデリバリーのように「食事が必要な場所に届く」、今回のフードトラックのように「飲食店が必要な場所に来る」という流れに進んでいくのではないと思っています。

 

もちろん、食は多様化、個人個人にカスタマイズされていく側面がありますので、固定店舗の飲食店がなくなるとも思えません。

要は、特別な時には固定店舗の飲食店に、普通な時にはフードデリバリーで自宅やオフィスに届けてもらう、フードトラックに自宅やオフィスの近くに来てもらう、といった使い分けが進むのではないでしょうか。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

 

フードトラックは、基本テイクアウトスタイルであるので、フードデリバリーと相性が抜群にいいと思っています。

例えば、先ほど紹介したフードトラックの出店サポートサービス「TLUNCH」を利用してオフィス街のスペースに出店しつつ、UberEATSも登録しておいてデリバリーも同時対応する(配達はUberEATSがやってくれるので)、みたいな。

 

今後もフードトラックの動向をチェックしていきたいと思っています。

 

余談ですが、フードトラックを描いた映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(元一流レストランのシェフが小さな息子と一緒にキューバサンドイッチのフードトラックを始めて人生の再起を目指すストーリー)はフードトラックに興味がある人にはとても面白い映画だと思うのでオススメです。

 

以上、「毎年右肩上がりに増えている「フードトラック(キッチンカー・移動販売車)」の現状と将来性を考える」でした!

それではまた!

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