出典: Google Workspace Updates Blog
元記事の投稿日: 2025年6月30日
生徒たちの学習意欲を引き出す、反転授業用の教材。
複雑な実験の手順を、誰にでも分かりやすく伝える解説動画。
探究学習の成果を、生き生きと発表するためのプレゼンテーション。
教育現場において、「動画」が持つ力はますます大きくなっています。
しかし、その一方で「動画編集は難しそう」「専用ソフトや機材がない」といった理由で、活用に踏み出せない先生方も少なくありませんでした。
本日ご紹介するのは、そんな動画作成のハードルを劇的に下げ、すべての学校で「伝える力」を育むための、画期的なニュースです。
何が変わった?「AIなし版Google Vids」が全プランで利用可能に
これまで、Google Workspace for Educationの上位プラン(Education Plus)限定で提供されていた、AI動画作成ツール「Google Vids」。この便利なツールが、ついにすべてのGoogle Workspace for Educationプラン(Fundamentals, Standard, Plus)で利用可能になりました。
ただし、ここで一つ非常に重要なポイントがあります。今回、標準プラン(Fundamentals, Standard)向けに開放されるのは、AI機能(プロンプトからの動画自動生成など)を含まない、基本機能にフォーカスしたバージョンです。
「なんだ、AIが使えないなら意味がないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。AI機能がなくても、Google Vidsはドキュメントやスライドのように直感的に使え、教育現場のニーズに応える十分すぎるほど強力な動画作成ツールなのです。
AIなしでもここまでできる!Google Vidsの基本機能
専門的な動画編集ソフトの知識は一切不要です。ブラウザ上で、誰もが手軽に質の高い動画を作成できます。
ドキュメント感覚の簡単な操作性:
Googleドキュメントやスライドでお馴染みのインターフェースで、テキスト入力や画像の挿入、レイアウト調整が直感的に行えます。リアルタイム共同編集:
生徒たちがグループで一つの動画プロジェクトに同時に取り組んだり、先生がリアルタイムでフィードバックや修正を加えたりすることが可能です。豊富なテンプレート:
授業計画、研究発表、学校ニュースなど、教育現場でよく使われるシーンを想定したテンプレートが多数用意されており、ゼロから構成を考える手間なく、すぐに動画作成を始められます。動きで魅せる表現力:
オブジェクトに動きをつけるアニメーションや、シーンの切り替えを滑らかにするトランジション、写真に効果を加えるエフェクトなどを、数クリックで簡単に追加できます。安心して使える素材ライブラリ:
著作権を気にせず使える、教育現場にふさわしいロイヤリティフリーの動画、画像、BGM素材が豊富に用意されています。手持ちの資産をフル活用:
もちろん、GoogleドライブやGoogleフォトに保存されている、ご自身の写真や動画、イラストなどを簡単に動画内に取り込むことも可能です。
日本の教育現場での活用アイデア
この手軽で強力な動画ツールは、日本の教育現場の様々なシーンで活躍します。
先生の活用シーン:
反転授業・個別最適化学習: 事前に解説動画を作成し、Classroomで配信。授業時間は演習や対話活動に集中できます。
教材のデジタル化: 理科の実験手順や、体育の実技、家庭科の調理実習など、動きで見せた方が分かりやすい内容を動画教材に。
学校行事の記録・共有: 運動会や文化祭の様子を短い動画にまとめ、保護者向けに共有。
学校からのお知らせ: 学校だよりや保護者会での説明事項を、動画を使ってより分かりやすく伝えます。
生徒の活用シーン:
探究学習・グループ発表: 研究成果やフィールドワークの記録を、スライドだけでなく動画で表現。より伝わるプレゼンテーションを実現します。
デジタルポートフォリオ: 自分の学習の軌跡や作品を、動画として記録・蓄積します。
主体的・対話的で深い学び: グループで一つの動画を共同制作する過程で、コミュニケーション能力や協働する力を育みます。
管理者・先生向け:導入と活用のポイント
管理者の方へ:
Google Vidsは、Google Workspaceの**「コアサービス」**として扱われます。
デフォルトで**「オン」**になっていますが、必要に応じて管理コンソールから無効化することも可能です。
【重要】組織の設定でGoogleドキュメントを「オフ」にしている場合、Vidsも利用できなくなるのでご注意ください。
先生・生徒の皆さんへ:
特別なソフトのインストールは不要です。Chromeなどのブラウザから「Google Vids」を開くだけですぐに使い始められます。
Google for Educationのラーニングセンターには、先生方向けの無料オンライントレーニングコースも用意されています。ぜひ活用して、授業での動画活用をマスターしましょう。
まとめ
Google VidsがすべてのEducationプランに開放されたことは、教育現場における「表現の民主化」を大きく前進させるアップデートです。
AIの力を借りなくても、先生方の工夫と生徒たちの創造性は、このシンプルで強力なツールによって、映像という新たなキャンバスの上で花開くはずです。まずはテンプレートから、短い自己紹介ビデオや授業のダイジェスト作りなど、簡単なところから試してみてはいかがでしょうか。そこから、学びの可能性が無限に広がっていくはずです。