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AI利用状況を完全可視化!Geminiの監査ログがAPIと調査ツールで取得可能に

出典: Google Workspace Updates Blog
元記事の投稿日: 2025年7月1日

組織にAIアシスタント「Gemini」を導入した管理者やDX推進担当者の皆様。
こんな疑問や課題をお持ちではないでしょうか?
「社員は本当にAIを活用してくれているのだろうか?」
「どの部署で、どんな機能が一番使われているんだろう?」
「AIの投資対効果(ROI)を、具体的なデータで示したい」
「感覚ではなく、データに基づいて、もっと効果的な利用促進策を打ちたい」

本日ご紹介するのは、こうしたAI導入後の「活用・定着フェーズ」における、すべての悩みに応える待望のアップデートです。

何が変わった?Geminiの「利用履歴」が詳細に追跡可能に

今回のアップデートにより、組織内のユーザーがGoogle Workspaceの各アプリでGeminiをどのように利用したか、その詳細な監査ログが取得できるようになりました。

これにより、これまでブラックボックスだったAIの利用実態が完全に可視化されます。この監査ログには、主に以下の3つの方法でアクセスできます。

  1. Reporting API (Admin SDK): 開発者やデータアナリストが、他のシステムと連携させたり、独自のダッシュボードを作成したりするための最も柔軟な方法です。

  2. セキュリティ調査ツール(上位プラン向け): 管理コンソールから、GUIで直感的にログを検索・調査できる強力なツールです。

  3. 監査と調査ツール: すべてのプランで利用可能で、基本的なアクティビティのレビューを行えます。

どんな情報がわかる?「誰が・いつ・どこで・何を」

この監査ログから、具体的にどのような情報が得られるのでしょうか。技術的な知識がない方にも分かりやすく言えば、「誰が、いつ、どのアプリで、どんな風にAIを使ったか」が一目瞭然になります。

  • 誰が: 利用したユーザーのメールアドレス

  • いつ: 利用した日時(タイムスタンプ)

  • どのアプリで: Gmail, ドキュメント, スプレッドシート, Chat など

  • どんな機能を使ったか: 「文章作成支援」「画像の背景を削除」「会話を要約」といった、具体的な機能名

  • どんな操作をしたか: Geminiによって支援された、あるいは開始された具体的なアクション

例えば、「営業部のAさんが、昨日の午後3時にGmailで『メール作成支援』機能を使って、顧客への返信メールを作成した」といったレベルの詳細な利用履歴を、データとして把握できるようになります。

日本の管理者・推進担当者にとっての4つの大きなメリット

この「AI利用の可視化」は、組織のAI活用を次のステージへと押し上げる、計り知れない価値を持ちます。

1. AI活用の実態把握とROIの可視化
どの部署が積極的にAIを活用しているか、どのアプリのどの機能が人気なのかを、具体的な数値で把握できます。これにより、「AI導入への投資が、実際にどれだけの生産性向上に繋がっているのか」をデータに基づいて説明できるようになります。

2. 効果的な研修と利用促進策の立案
「特定の部署では、スプレッドシートでのAI活用が進んでいない」「ドキュメントの要約機能の利用率が低い」といった課題をデータから発見できます。これにより、全社一律の研修ではなく、特定の部署や機能に的を絞った、より効果的なハンズオンセミナーやマニュアル作成といった施策を打つことが可能になります。

3. 「パワーユーザー」の発掘とナレッジ共有
ログを分析すれば、AIを非常にうまく使いこなしている「パワーユーザー」や「社内チャンピオン」を簡単に見つけ出すことができます。彼らがどのようにAIを活用しているのかをヒアリングし、そのノウハウやベストプラクティスを社内勉強会などで共有すれば、組織全体のAIリテラシーを底上げすることができます。

4. セキュリティとコンプライアンスの強化
管理コンソールの調査ツールを使えば、Geminiの利用状況をレビューし、意図しない利用や潜在的なセキュリティリスクがないかを監視できます。AIの利便性を享受しつつ、ガバナンスを維持するための重要な手段となります。

利用を開始するには

この機能は管理者向けのものであり、一般のユーザーに影響はありません。

  • APIを利用する場合:
    開発者向けのAPIドキュメントを参照して、必要なデータを抽出するプログラムを作成します。BIツールと連携させ、独自のダッシュボードを構築することも可能です。

  • 調査ツールを利用する場合:
    管理コンソールにログインし、「セキュリティ調査ツール」または「監査と調査ツール」から、データソースとして「Gemini for Workspaceの監査ログ」を選択して調査を開始します。

  • 対象プラン:

    • Reporting API監査と調査ツールは、すべてのGoogle Workspaceプランで利用できます。

    • より高度なセキュリティ調査ツールは、Enterprise Standard/Plus, Education Standard/Plusといった上位プランで利用可能です。

まとめ

今回のGemini監査ログの提供開始は、AI導入が「とりあえず入れてみる」という段階から、「データに基づいて活用を最大化する」という、より成熟した段階へと移行したことを象徴するアップデートです。

これまで「感覚」や「アンケート」に頼らざるを得なかったAIの利用実態を、「ファクト(事実)」として捉える。この新しい武器を手に入れたことで、管理者の皆様は、より戦略的かつ効果的に、組織のAI活用を推進していくことができるようになるでしょう。