出典: Google Workspace Updates Blog
元記事の投稿日: 2025年7月2日
現場主導で業務アプリを内製できるノーコードツール「AppSheet」。
その手軽さと強力さから、多くの企業でDX推進の切り札として活用が進んでいます。
しかし、利用が広がるにつれて、管理者の方々は新たな課題に直面しているのではないでしょうか。
「一体、社内の誰が、どのライセンスを使っているのか?」
「購入したライセンス数を超えていないか、コスト管理が煩雑だ」
「高機能なEnterpriseライセンスを、特定の部門だけで使わせたい」
本日ご紹介するのは、そんなAppSheetのライセンス管理にまつわる悩みを一掃する、管理者待望のアップデートです。
何が変わった?3つの新機能でライセンス管理を完全コントロール
今回のアップデートの柱は、AppSheet管理コンソールに追加された、以下の3つの新機能です。
1. ライセンスの見える化:「ライセンスページ」の新設
これまで分散していて分かりづらかったライセンス情報が、新設された**「ライセンスページ」**に集約されます。このページでは、以下の情報を一目で確認できます。
購入したライセンス数
割り当て済みのライセンス数
実際に使用されたライセンス数
さらに、誰が、どのアプリを利用したことによってライセンスが消費されたのか、その理由までドリルダウンして追跡できます。これにより、**「幽霊ライセンス(割り当てられているが使われていない)」**や、意図しないライセンス消費を正確に把握し、コストの最適化に繋げることが可能になります。
2. リスクの早期発見:「ライセンス警告」機能
今後は、購入したライセンス数を超過して利用した場合や、上位ライセンスを持つユーザーが作成したアプリを、下位ライセンスのユーザーに共有した場合などに、AppSheet管理コンソールに警告バナーが表示されるようになります。
【重要】課金への影響と注意点
この警告が表示されても、直ちに超過分の料金が請求されることはありません。 AppSheetのライセンスは、利用量ベースではなく、あくまで事前に契約した数に基づくサブスクリプションです。
しかし、この警告は「ライセンス契約違反の状態にある」という重要なシグナルです。複数ヶ月にわたって違反状態が解決されない場合、ユーザーのアクセスが制限される可能性があるため、管理者は警告が表示されたら速やかに対処する必要があります。
3. ガバナンスの強化:「グループ単位」でのライセンス割り当て(Enterprise Plus向け)
AppSheetで最も高機能な「Enterprise Plus」ライセンス。これまでは、購入するとドメイン内の全ユーザーが利用可能な「プールライセンス」として扱われていました。
今回のアップデートで、この強力なライセンスを、特定のGoogleグループに所属するメンバーだけに限定して利用させることが可能になります。
例えば、「DX推進部」というGoogleグループを作成し、そのグループにEnterprise Plusライセンスを割り当てれば、部署に所属するメンバーだけが高機能なアプリを作成・利用できるようになります。これにより、ライセンスコストを必要な部署に集中させ、組織全体のガバナンスを強化することができます。
日本の管理者にとっての具体的なメリット
これらの新機能は、日本の企業におけるIT資産管理とセキュリティポリシーの運用に、大きなメリットをもたらします。
コスト管理の精度向上とTCO削減:
ライセンスの使用状況を正確に可視化することで、無駄なコストを削減。警告機能により、予期せぬライセンス違反によるリスクを未然に防ぎ、IT資産の投資対効果(ROI)を最大化します。職務分掌と権限管理の徹底:
特にEnterprise Plusのグループ割り当て機能は、「必要な人に、必要な権限だけを」というゼロトラストの考え方を、AppSheetのライセンス管理にも適用するものです。部署や役割に応じて利用できる機能を制限することで、より安全なアプリ開発・運用環境を構築できます。コンプライアンス遵守:
ライセンス契約を遵守していることを明確に把握・管理できるため、ソフトウェア資産管理(SAM)の観点からも、コンプライアンスを徹底することができます。
まとめ
今回のAppSheet管理コンソールのアップデートは、AppSheetの活用が「導入期」から「拡大・定着期」へと進んだ企業にとって、まさに待望の機能と言えるでしょう。
「見える化」「早期発見」「ガバナンス強化」という3つの武器を手に入れたことで、管理者の皆様は、もはやライセンス管理の煩雑さに頭を悩ませる必要はありません。自信を持ってAppSheetの全社展開を推進し、現場主導のDXをさらに加速させていきましょう。