出典: Google Workspace Updates Blog
元記事の投稿日: 2025年7月14日
多くの企業が、デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、ファイル共有やコラボレーションの基盤をMicrosoft SharePointからGoogle Workspaceへと移行しています。
しかし、その過程で最も大きな壁となるのが、「SharePointに蓄積された膨大なファイルの、安全かつ確実な移行」です。
これまでは、専門のサードパーティ製ツールを利用したり、複雑な手作業を行ったりする必要があり、移行プロジェクトの大きな負担となっていました。
本日ご紹介するのは、そんな管理者の方々にとって、まさに朗報となるアップデートです。
何が変わった?Google公式の「データ移行サービス」がSharePointに対応
今年初めにベータ版として発表されていた、Microsoft SharePoint OnlineからGoogle Driveへファイルを移行する機能が、このたび正式に一般提供開始となりました。
これにより、管理者はGoogle Workspaceの管理コンソールに標準で備わっている「新しいデータ移行サービス」を使って、SharePointからの“お引越し”を、簡単かつ安全に進めることができるようになります。
【移行できるもの】
この公式ツールを使えば、SharePoint Onlineのサイトから、以下の情報をGoogle Driveの共有ドライブへと移行できます。
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ドキュメントライブラリ
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フォルダ構造
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ファイル本体
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関連付けられたアクセス権限(パーミッション)
特に、複雑なフォルダ階層や、ファイル・フォルダごとに細かく設定されたアクセス権限まで引き継げる点は、移行後のスムーズな業務継続において非常に重要です。
管理者にとっての具体的なメリット
これまで移行作業に頭を悩ませてきた管理者にとって、この公式ツールの登場は、計り知れないメリットをもたらします。
1. シンプルで直感的な操作
管理コンソール内に統合された、新しい洗練されたインターフェースを通じて、迷うことなく移行プロジェクトを設定・実行できます。これまでのように、外部ツールの使い方を新たに習得したり、複雑な設定を行ったりする必要はありません。
2. 移行状況の完全な可視化
移行の進捗状況を、サイト数やファイル数(移行済み/スキップ済み)といった具体的な数値で、リアルタイムに把握できます。また、移行レポートをエクスポートして、エラーが発生したファイルの原因を調査したり、トラブルシューティングに役立てたりすることも可能です。移行プロセスがブラックボックス化する心配がありません。
3. 差分更新によるスムーズな移行
大規模な移行は、一度に完了させることが難しい場合があります。このツールは、**差分更新(デルタアップデート)**に対応しているため、最初の移行後にSharePoint側で新たに追加・更新されたファイルだけを、後から効率的に移行することができます。これにより、業務への影響を最小限に抑えながら、段階的な移行を進めることが可能です。
4. コストとリスクの削減
高価なサードパーティ製の移行ツールを別途購入する必要がなくなるため、移行プロジェクト全体のコストを削減できます。また、Googleの公式ツールであるという安心感は、セキュリティやデータ損失のリスクに対する懸念を大きく軽減します。
移行プロセスの概要と注意点
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移行先:
SharePoint Onlineのサイトは、Google Driveの共有ドライブに移行されます。 -
一度に移行できるサイト数:
一度の移行ジョブで、最大100のSharePoint Onlineサイトを移行できます。 -
実行できる管理者:
この機能を利用できるのは、組織の特権管理者です。 -
設定場所:
管理コンソールの [メニュー] > [アカウント] > [データのインポートとエクスポート] > [データ移行(新規)] からアクセスします。
まとめ
Google Workspaceのデータ移行サービスがSharePoint Onlineに正式対応したことは、多くの企業にとって、Google Workspaceへの移行のハードルを大きく下げる、画期的な出来事です。
複雑でコストのかかる移行作業から解放され、より多くの企業が、Google Workspaceが提供するモダンでセキュアなコラボレーション環境へと、スムーズに移行できるようになります。
現在SharePointを利用していて、Google Workspaceへの移行を検討している、あるいは躊躇していた企業にとって、今がまさに絶好のタイミングと言えるでしょう。