本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年7月29日に作成されました。
Google Workspaceを管理されている皆様、こんにちは。
日々の運用において、セキュリティの維持やコンプライアンスの確保、そして万が一のトラブル発生時の原因究明に「監査ログ」が果たす役割は非常に大きいですね。
「いつ」「誰が」「どの設定を」「どのように変更したか」を正確に追跡できることは、安定したサービス運用の生命線とも言えます。
この度、Google Meet ハードウェアの管理に関連する監査ログの仕様に、管理者にとって重要な変更が行われることが発表されました。
今回の変更は、特に会議室などに設置されたGoogle Meet ハードウェアデバイスを管理している情報システム部門のご担当者様には、ぜひご確認いただきたい内容です。
本記事では、この変更が具体的にどのようなもので、管理者は何を把握しておくべきなのかを詳しく、分かりやすく解説していきます。
何が変わるのか?監査ログの記録場所が変更されます
今回のアップデートの核心は、「特定のGoogle Meet ハードウェア設定に関する監査ログが記録される場所(イベント名)が変更される」という点です。
これまで、これらの設定変更ログは、「Chromebox for meetings」という、現在では使われなくなった古い製品名を含むイベント名の下に記録されていました。今回の変更は、これを現在の製品体系に合わせた、より分かりやすいイベント名に整理し直すものです。
具体的には、以下のように変更されます。
変更前の記録場所:
イベント > Chromebox for meetings device setting change
変更後の新しい記録場所:
イベント > Change Application Setting (アプリケーション設定の変更)
イベント > Create Application Setting (アプリケーション設定の作成)
イベント > Delete Application Setting (アプリケーション設定の削除)
このように、操作内容に応じて「変更」「作成」「削除」と、より具体的に分類されたイベント名の下にログが記録されるようになります。これにより、管理者はどのような操作が行われたかを、より直感的に、そして正確に把握できるようになります。
この変更は、Googleが製品体験を継続的に改善し、管理コンソールの表記を現状に合わせて最適化していく取り組みの一環です。
どの設定が対象?具体的な変更項目リスト
では、具体的にどの設定のログが新しい場所に移動するのでしょうか。対象となるのは、Google Meet ハードウェアの管理において頻繁に利用される、以下の設定項目です。
デバイス設定 (Device Settings):
会議室デバイスの基本的な動作を制御する設定です。これらの設定が変更された際のログが対象となります。
リリースチャンネル (Release channel):
デバイスのソフトウェアアップデートを、安定版と先行リリース版のどちらで受け取るかを設定する項目です。このチャンネル設定の変更履歴が新しいログに記録されます。
ディスプレイの省電力設定 (Display power saving):
会議室のディスプレイを、非使用時に自動でオフにするかどうかを設定する項目です。省エネ設定の変更履歴が対象です。
ホーム画面 (Home screen):
デバイス起動時に表示されるホーム画面のカスタマイズ(背景画像など)に関する設定です。この設定の変更も追跡されます。
電話の発信 (Call phones):
Meet ハードウェアデバイスから電話番号へ発信する機能を有効にするかどうかの設定です。この重要な機能の有効/無効の変更が記録されます。
アラート設定 (Alerts):
デバイスに問題が発生した際に、誰に通知を送るかを定義する設定です。
アラートの受信者 (Alert recipients):
デバイスのオフライン通知など、各種アラートを受け取るメールアドレスの追加や削除といった変更履歴が、新しいログの対象となります。
これらの設定は、いずれも会議室デバイスの安定稼働やセキュリティに直結する重要な項目です。これらの変更履歴が、より分かりやすい体系で管理されるようになることは、管理者にとって大きなメリットと言えるでしょう。
管理者が把握すべき移行スケジュールと注意点
今回の仕様変更は、特定のスケジュールに沿って段階的に実施されます。管理者の方は、以下の日付を念頭に置いておく必要があります。
フェーズ1:移行期間の開始
2025年8月7日(日本時間)から:
対象となる設定変更のログが、新しいイベント名(Change/Create/Delete Application Setting)の下に記録され始めます。
ただし、この日から完全移行日までの間は「移行期間」となり、古いイベント名(Chromebox for meetings device setting change)と新しいイベント名の両方に、ログが記録される可能性があります。監査を行う際は、両方の場所を確認する必要が生じる場合がありますのでご注意ください。
フェーズ2:完全移行
2025年8月28日(日本時間)から:
この日以降、対象となる設定変更のログは、古いイベント名(Chromebox for meetings device setting change)には一切記録されなくなります。
すべてのログは、完全に新しいイベント名(Change/Create/Delete Application Setting)の下に一本化されます。したがって、8月28日以降にこれらのログを確認する際は、必ず新しいイベント名を参照する必要があります。
このスケジュールを把握しておくことで、「設定を変更したはずなのにログが見つからない」といった混乱を避けることができます。
この変更によるメリットと管理者が行うべきこと
今回の変更は、管理者にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
分かりやすさの向上:
「Chromebox for meetings」という過去の名称が使われなくなり、現状に即した名称になることで、ログの内容が理解しやすくなります。具体性の向上:
単なる「設定変更」ではなく、「変更」「作成」「削除」と操作が細分化されることで、ログを一目見ただけで、どのような管理操作が行われたかをより正確に把握できます。これは、不正な操作の発見や、意図しない設定変更の原因究明を迅速化します。
管理者にしていただくこと
基本的な対応:
この変更を有効にするために、管理者側で何らかの操作を行う必要はありません。変更は自動的に適用されます。
意識していただくこと:
2025年8月28日以降、対象の設定に関する監査ログを確認する際は、管理コンソールの監査ログセクションで、新しいイベント名(アプリケーション設定の変更 など)を検索・フィルタリングする必要がある、という点を覚えておいてください。
高度な運用をされている管理者への注意点:
もし、監査ログをAPI経由で取得し、外部のSIEM(Security Information and Event Management)ツールなどと連携してセキュリティ監視を行っている場合、注意が必要です。ログのイベント名が変更されるため、連携ツール側の監視ルールや検索クエリを、新しいイベント名に合わせて更新する必要がある可能性があります。該当する運用をされている場合は、社内の担当チームと連携し、事前の準備を進めることをお勧めします。
エンドユーザー(会議室でMeet ハードウェアを利用する一般社員など)への影響は一切ありませんので、ご安心ください。
まとめ
今回は、Google Meet ハードウェアの管理者向けに行われる、監査ログの仕様変更について詳しく解説しました。
最後に、重要なポイントを改めて整理します。
変更内容: Google Meet ハードウェアの特定の設定(リリースチャンネル、省電力設定など)に関する監査ログの記録場所(イベント名)が変更されます。
変更理由: 古い製品名を一掃し、より分かりやすく、具体的なログ体系にするためです。
管理者への影響: 2025年8月28日以降、対象のログは新しいイベント名でのみ記録されます。監査の際は、新しい場所を確認する必要があります。
特に注意すべき点: 外部ツールとログ連携している場合は、監視ルールの更新が必要になる可能性があります。
日々の運用の中では細かな変更に見えるかもしれませんが、こうした改善の積み重ねが、より堅牢で効率的な管理環境を実現します。Google Workspaceは、今後も管理者とユーザー双方にとってより良いサービスとなるよう進化を続けていきます。ぜひ、今回の変更内容を把握し、今後の運用にお役立てください。