本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年8月7日に作成されました。
Google Meetでの会議中、こんな経験はありませんか。
「白熱した議論の末、たくさんの『やること』が決まったはずなのに、会議が終わった瞬間、誰が何をいつまでにやるのか、正確に思い出せない…」
「議事録係として会議に参加したけど、議論に集中するあまり、重要な決定事項や担当者を書き留めそびれてしまった…」
「会議は終わった。さあ、次は誰に何を確認すればいいんだっけ…?」
会議の目的は、議論することそのものではなく、次のアクション(行動)を決めることです。しかし、会議後のフォローアップが曖昧になり、重要なタスクが宙に浮いてしまう…というのは、多くの組織が抱える共通の課題です。
今年、Google Meetに搭載されたAI議事録作成機能「メモを作成(Take notes for me)」は、こうした課題を解決する画期的な機能として登場しました。そしてこの度、この機能が日本のユーザーにとって、さらに強力で、かけがえのないアシスタントへと進化を遂げる、待望のアップデートが発表されました。
ついに、日本語の会話から「次のステップ」をAIが自動で認識し、リストアップしてくれる機能が利用可能になります。今回は、あなたの会議後の業務を劇的に変える、この重要な機能強化について詳しく解説します。
そもそも「メモを作成」機能とは?AIがあなたの書記になる
今回のアップデートの凄さを理解するために、まずは「メモを作成」機能の基本をおさらいしましょう。
「メモを作成」は、Google Meetの会議中にボタンをクリックするだけで、AIが会議の会話内容を自動で書き起こし、要約し、Googleドキュメント形式の議事録を作成してくれる機能です。
単なる文字起こしではありません。AIが会話の文脈を理解し、議論の要点や決定事項をスマートにまとめてくれるため、人間が議事録を作成する手間を大幅に削減できます。会議参加者は、メモを取る作業から解放され、議論そのものに100%集中することができるのです。
今回のアップデートの核心:「次のステップ」を日本語で自動抽出!
この便利な「メモを作成」機能には、特に強力な「次のステップを提案(suggested next steps)」というセクションがありました。これは、会議中に「〇〇さんが、△△を、金曜日までにやります」といった、具体的なアクションアイテム(宿題)に関する発言をAIが自動で認識し、議事録内に「次のステップ」としてリストアップしてくれる機能です。
しかし、これまでは、この機能が認識できるのは英語の会話のみでした。日本のユーザーにとっては、非常に便利な機能でありながら、その真価を十分に発揮できない「絵に描いた餅」のような状態でした。
今回のアップデートで、この長年の壁がついに取り払われます。
「次のステップを提案」機能が、日本語を含む7つの新しい言語に正式対応しました。
対応言語は以下の通りです。
フランス語
ドイツ語
イタリア語
日本語
韓国語
ポルトガル語
スペイン語
これにより、日本のユーザーが日本語で会議を行っている際に、
「では、この件については、田中さんが来週の月曜までにA社に見積もりを依頼してください」
「次のアクションとして、鈴木さんが今日の夕方までに、この資料をチーム全員に共有する、ということでよろしいでしょうか」
といった発言をすると、AIがそれを「次のステップ」や「フォローアップ項目」「アクションアイテム」として正確に認識。会議終了後に生成される議事録ドキュメントに、以下のような形で自動的に整理・記載してくれるのです。
議事録ドキュメント(例)
会議の要約
(AIが生成した会議全体のサマリー)
次のステップを提案
田中さんが、来週の月曜までにA社に見積もりを依頼する。
鈴木さんが、今日の夕方までに資料をチーム全員に共有する。
もう、会議後に「あれ、誰が担当だっけ?」と記憶を辿ったり、録画を見返したりする必要はありません。AIが自動で作成した「ToDoリスト」を確認するだけで、会議後のアクションを、誰一人として見逃すことなく、スムーズに開始できるのです。
なぜこれが重要なのか?組織の生産性を向上させる3つの絶大な効果
この機能が日本語に対応したことは、日本の組織にとって、単なる利便性の向上以上の、大きな価値をもたらします。
効果1:会議の「実行力」が劇的に向上する
会議で決まったことが実行されない最大の原因は、「誰が」「何を」「いつまでに」やるのかが曖昧になることです。この機能は、その曖昧さを完全に排除します。
会議の参加者全員が、共通の「次のステップ」リストを共有することで、責任の所在が明確になり、タスクの実行漏れや遅延が劇的に減少します。これにより、会議が単なる「話し合いの場」から、着実に物事を前に進める「意思決定と実行のエンジン」へと変わります。
効果2:議事録作成の負担をゼロに近づける
従来、議事録の作成は、担当者にとって大きな負担でした。特に、アクションアイテムを正確に聞き取り、整理する作業は神経を使います。
この機能により、議事録作成の最も重要な部分が自動化されるため、担当者の負担はほぼゼロに近づきます。これにより、組織全体で議事録作成にかかっていた膨大な時間を、より生産的な活動に振り向けることが可能になります。
効果3:会議文化そのものを変革する
「次のステップ」が常に明確になることで、会議での会話も自然と具体的で、行動指向のものに変わっていきます。
「検討します」といった曖.昧な言葉ではなく、「では、私が〇〇をします」といった、具体的なアクションにつながる発言が促されるようになります。AIによる可視化が、結果的に、組織全体の会議文化をより生産的で、前向きなものへと変革していく効果も期待できます。
利用開始にあたって(管理者・ユーザー向け情報)
この便利な機能を利用するための情報を整理しておきましょう。
対象エディション:
「メモを作成」機能は、多くの中規模・大規模ビジネス向けプランや、教育機関向けのGeminiアドオンで利用可能です。Business Standard, Business Plus
Enterprise Standard, Enterprise Plus
Gemini Education / Education Premium アドオン をご利用のお客様など
管理者向けの情報:
ユーザーがこの機能を利用できるようにするには、管理コンソールで「Google MeetのAIにユーザーのメモを作成させる」設定を許可する必要があります。詳細はヘルプセンターでご確認ください。ユーザー向けの情報:
会議中に「メモを作成」機能を開始するだけです。特別な設定は必要ありません。日本語で会話されたアクションアイテムが、自動的に認識され、議事録に記録されます。ロールアウト(展開)について:
この機能の展開は、2025年8月7日から順次開始されます。すべてのユーザーの環境で利用可能になるまでには、15日以上かかる可能性がある「拡張ロールアウト」となっていますので、機能が表示されるまでしばらくお待ちください。
まとめ
Google Meetの「メモを作成」機能における、「次のステップ」の日本語対応。これは、日本のGoogle Workspaceユーザーにとって、長らく待ち望まれていたアップデートです。
AIが会議の書記となり、最も重要な「やることリスト」を自動で整理してくれる。この強力なアシスタントの登場により、私たちの会議のあり方、そして会議後の働き方は、根底から変わる可能性があります。
もう、会議後のタスク管理で悩む必要はありません。AIに任せて、あなたはもっと創造的で本質的な仕事に集中してください。Google Workspaceは、これからも言語の壁を越え、すべてのユーザーの生産性を向上させるために進化を続けていきます。ぜひ、この進化したAI議事録作成機能を、あなたの日々の会議でご活用ください。