本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年9月2日に作成されました。
教育現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進されている、教育委員会のITご担当者様、そして学校のICT支援員や先生方、こんにちは。
AIの活用は、個別最適化された学習の実現や、教員の業務負担軽減など、教育の未来を切り拓くための、極めて重要な鍵となっています。
昨年、Googleは、その最先端AIの力を教育現場にもたらすため、「Gemini Education」と「Gemini Education Premium」という、2つの有料アドオンの提供を開始しました。
しかし、その一方で、「2つのプランの違いが少し分かりにくい…」「どちらを導入するのが、我々の学校にとって最適なのか…」「もっとシンプルに、Googleの最高のAIを教育に活用できないものか…」といった、プラン選択に関する悩みや、よりシンプルな提供形態を望む声があったのも事実です。
この度、Googleは、そうした教育現場の声に応え、AI活用の選択肢を、より分かりやすく、そしてより価値のあるものへと進化させる、重要なプランの刷新を発表しました。
今回は、これからの教育向けAI活用の新しいスタンダードとなる、新サブスクリプション「Google AI Pro for Education」への統合について、その全貌と、既存の契約者様にとっての大きなメリットを、詳しく解説していきます。
これまでの課題:2つの選択肢と、その複雑さ
これまで、Google Workspace for Educationで高度なAI機能を利用するには、2つの有料アドオンが存在しました。
Gemini Education:
Workspaceアプリ内でのGemini利用など、基本的なAI機能を提供するスタンダードなプラン。Gemini Education Premium:
上記に加え、MeetでのAIによるメモ作成・要約機能や、より高度なAIモデルへのアクセス、AIを活用したセキュリティ機能など、すべての先進的な機能を含む最上位プラン。
この2段階のプランは、教育機関の予算やニーズに応じて選択肢を提供するものでしたが、同時に、「どの機能がどちらのプランに含まれているのか」を正確に把握し、最適なプランを選択することが、管理者にとって一つの負担となっていました。
何が変わったのか?:シンプルで、よりパワフルな単一プランへ
今回のアップデートの核心は、この2つのプランが、新しく「Google AI Pro for Education」という、単一のアドオンサブスクリプションに統合・簡素化された、という点にあります。
そして、最も重要なポイントは、この新しい「Google AI Pro for Education」には、これまで最上位プランであった「Gemini Education Premium」に含まれていた、すべての先進的な機能が、標準で搭載されているという点です。
これにより、教育機関の管理者は、もはや複雑な機能比較やプラン選択に悩む必要はなくなります。「Google AI Pro for Education」を選択するだけで、Googleが提供する最高のAI機能を、余すところなく教育現場で活用できる、シンプルで明快な環境が整ったのです。
「Google AI Pro for Education」で何ができるのか?(主な機能の再確認)
新しい単一プランに統合されたことで、これまで最上位プランでしか利用できなかった、以下のような強力なAI機能が、すべてのAIアドオン契約者に提供されることになります。
Google MeetでのAIアシスタント機能:
AIによるメモ作成と要約:
会議や授業の内容を、AIが自動で議事録として記録し、要約を作成。教員は、板書やメモ取りの負担から解放され、生徒との対話やファシリテーションに集中できます。会議の欠席者も、AIが生成した要約で、議論の要点を瞬時に把握できます。
Gemini for Education & NotebookLMでのプレミアム機能:
高度なAIモデルへのアクセス:
より高性能なAIモデルを利用できるようになり、生徒の探究学習におけるリサーチや、教員の教材研究、論文作成などを、さらに高いレベルでサポートします。複雑な質問に対する回答の精度も向上します。
AIを活用した、よりプロアクティブなセキュリティ:
AI強化型データ損失防止(DLP):
AIが、機密性の高い情報(生徒の個人情報など)の流出リスクを、より賢く、そしてプロアクティブに検知・防止します。教員や生徒が、意図せず重要な情報を不適切な形で共有しようとした際に、AIがそれを未然に防ぎ、学校全体のセキュリティ体制を強化します。
これらの高度な機能が、これからは、単一の分かりやすいプランの下で、すべてのユーザーに提供されるのです。
【最重要】既存ユーザーへの影響は?あなたの契約はどうなる?
今回のプラン刷新において、現在「Gemini Education」または「Gemini Education Premium」を契約中の教育機関の皆様が、最も気になる点でしょう。ご安心ください。今回の変更は、すべての既存契約者にとって、プラスになることしかありません。
ケース1:「Gemini Education」(下位プラン)を現在ご契約中の皆様へ
これが、今回のアップデートにおける、最大の朗報です。
結論から言うと、あなたの組織は、実質的に「無料アップグレード」を受けることになります。
機能のアップグレード:
発表があった時点から、追加料金は一切なしで、これまで「Gemini Education Premium」でしか利用できなかった、すべての先進的な機能(MeetでのAIメモ作成・要約、AI強化型DLPなど)が、あなたの組織のユーザーに、自動的に解放されます。契約の移行:
そして、あなたの組織の次回の契約更新のタイミングで、サブスクリプションの名称が、自動的に新しい「Google AI Pro for Education」へと変更されます。
つまり、これまでスタンダードプランの料金で、今日からは最上位プランの全機能が使えるようになる、ということです。管理者として、何か特別な操作を行う必要は一切ありません。
ケース2:「Gemini Education Premium」(上位プラン)を現在ご契約中の皆様へ
あなたの組織では、すでに最高のAI機能をすべてご利用いただいているため、機能面での immediate(即時の)な変更はありません。これまで通り、すべての先進的な機能を引き続きお使いいただけます。
そして、次回の契約更新のタイミングで、あなたの組織のサブスクリプションは、新しい「Google AI Pro for Education」へと、シームレスに移行されます。
これから導入を検討されている、新しいお客様へ
本日(記事公開日)より、「Gemini Education」および「Gemini Education Premium」アドオンは、新規での販売を終了しました。
これからGoogle Workspace for EducationでAI機能の導入を検討される場合は、新しい「Google AI Pro for Education」をご購入いただくことになります。これにより、プラン選択で迷うことなく、常に最高のAI機能をご利用いただけます。
まとめ
今回のGoogle Workspace for Education向けAIアドオンの刷新は、Googleが、教育現場におけるAI活用の普及を、さらに力強く推進していくという、明確な意志の表れです。
「プランを簡素化」し、「提供する価値を最大化」することで、AI活用のハードルを下げ、あらゆる教育機関が、その恩恵を、より手軽に、そして公平に受けられるようにする。
このユーザー本位の変更は、教員の働き方改革を加速させ、生徒一人ひとりの学びを深化させる、大きな一歩となるでしょう。
管理者として、何か特別な対応は必要ありません。ただ、あなたの組織で、これまで以上に多くのAI機能が利用可能になったことを、ぜひ校内の先生方や職員の皆様に周知していただき、新しい教育の可能性を、共に探求していただければと思います。