本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年9月16日に作成されました。
Google Workspaceをお使いの皆さん、こんにちは。
チームのコラボレーションを加速させる「Google Chat」。
そのChatの能力を、さらに拡張してくれるのが、Google Workspace Marketplaceで提供されている、様々な「Chatアプリ」の存在です。
投票を作成する「Polly」、タスクを管理する「Asana」、ビデオ会議を始める「Zoom」。これらの便利なアプリをChatに連携させることで、私たちの働き方は、より効率的で、ダイナミックなものになります。
しかし、その一方で、これらの便利なChatアプリを「使う」という、ごく当たり前の行為の前に、多くの人が、ある「見えない壁」や「地味な手間」に、直面していました。
「Aプロジェクトのスペースで、投票アプリを使いたい。よし、まずは、このスペースに、アプリをインストールして…」
「次に、Bプロジェクトのスペースでも、同じ投票アプリを使いたい。えっと、また、このスペースにも、同じアプリを、もう一度インストールしないといけないのか…」
「新しく立ち上がった、Cプロジェクトのグループチャットでも…ああ、もう面倒だ!」
このように、これまでのGoogle Chatでは、アプリを利用したい「すべての会話(スペース、グループチャット、ダイレクトメッセージ)」の一つひとつに対して、ユーザーが、手動で、同じアプリを、繰り返しインストールする必要がありました。
この「会話ごとの、手動インストール」というプロセスは、Chatアプリの利用における、大きな、そして根本的な障壁でした。
この度、その長年の「壁」を、完全に取り払う、待望のアップデートが発表されました。今回は、Chatアプリの利用体験を、根底から変革する、「アプリの自動インストール」機能について、詳しく解説していきます。
新機能の核心:あなたの”意図”を汲み取り、アプリが自動でついてくる
今回のアップデートの核心は、非常にシンプルでありながら、その効果は絶大です。
それは、「ユーザーが、一度Chatアプリをインストールすれば、その後、他の新しい会話でそのアプリを使おうとした際に、その会話に、アプリが自動的に追加(インストール)されるようになった」という点です。
あなたのChatアプリ体験は、こう変わる
これまでの体験 (Before):
アプリを使いたい会話が10個あれば、10回のインストール作業が必要でした。新しい体験 (After):
最初の1回だけ、インストール作業を行えば、あとは、あなたがそのアプリを「使いたい」と思った瞬間に、システムがあなたの意-図を汲み取り、必要な場所に、自動でアプリを連れてきてくれます。
具体的な例で見てみましょう
あなたが、チームのランチの場所を決めるために、投票アプリ「Poll」を使いたいとします。
最初の出会い(1回目のインストール):
まず、Aさんとのダイレクトメッセージで、「今日のランチ、何がいい?」と、初めて投票アプリを使おうとします。この時、システムはあなたに、Pollアプリをインストールするよう促します。あなたは、これを許可します。2回目以降は、もう”顔パス”
次に、あなたは、プロジェクトチームのスペースで、「次回の打ち上げの場所は、どこがいい?」と、再び投票アプリを使おうとします。
すると、どうでしょう。もう、インストールを求める画面は表示されません。あなたが「投票を作成」というアクションを開始した瞬間に、Pollアプリは、そのスペースに、まるで最初からそこにいたかのように、自動的に追加され、あなたは、すぐに投票の作成を始めることができるのです。
この「自動インストール」機能は、スペースだけでなく、グループチャ-ットや、他の人とのダイレクトメッセージなど、あらゆる種類の会話で機能します。
もう、私たちは、アプリを使うたびに、「この会話に、あのアプリは入っていたかな?」と、心配する必要はありません。一度仲間になったアプリは、あなたがそれを必要とする限り、いつでも、どこへでも、自動でついてきてくれる、頼もしいパートナーになるのです。
なぜこれが重要なのか?組織のDXを加速させる3つのメリット
この「アプリの自動インストール」は、単なるユーザーの利便性向上に留まりません。組織全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を、静かに、しかし確実に、加速させる力を持っています。
メリット1:アプリ利用の「心理的ハードル」をゼロにする
人間は、ほんの少しでも「面倒」だと感じると、その行動をためらってしまう生き物です。「会話ごとにインストールが必要」という小さな手間は、私たちが思っている以上に、新しいツールの利用を妨げる、大きな心理的ハードルとなっていました。
この障壁が取り払われることで、社員は、より気軽に、そして積極的に、業務に役立つ様々なChatアプリを試すようになります。これにより、組織内に、新しいツールを活用して、生産性を向上させようという、前向きな文化が醸成されます。
メリット2:アプリ開発者とエコシステムの活性化
Chatアプリを開発するデベロッパーにとっても、これは大きな朗報です。
ユーザーが、より簡単に、そして継続的に、自分たちのアプリを使ってくれるようになることで、アプリの利用率(アクティブ率)が向上します。これにより、開発者は、より多くのユーザーからのフィードバックを得て、さらに便利なアプリを開発しようというモチ-ベーションが高まります。
ユーザーが使いやすくなる → 利用者が増える → 開発者がより良いアプリを作る → さらに利用者が増える。
この健全なサイクルが、Google WorkspaceのChatアプリエコシステム全体を、より豊かで、活発なものへと、進化させていきます。
メリット3:管理者によるガバナンスとの両立
「便利になるのはいいけど、社員が勝手に、セキュリティの低いアプリを、どんどん使うようになったら困る…」
セキュリティを管理する立場の方は、そう心配になるかもしれません。ご安心ください。
この「自動インストール」機能は、管理者が設定した、既存のセキュリティポリシーの範囲内で、安全に動作します。
管理者は、これまで通り、コントロール可能:
管理者は、Google Workspaceの管理コンソールから、「社員に、どのアプリのインストールを許可するか」を、これまで通り、厳格に管理できます。「すべてのアプリを許可」「特定のアプリのみを許可」「すべてのアプリを禁止」といった、柔軟なポリシー設定が可能です。ユーザーは、許可された範囲内で、自由に:
ユーザーは、管理者が許可したアプリのリストの中からのみ、アプリをインストールできます。そして、その「一度許可されたアプリ」に対してのみ、「自動インストール」の恩恵を受けることができます。管理者による「一括インストール」も、さらに強力に:
また、管理者が「このAsana連携アプリは、全社員が使うべきだ」と判断した場合、管理者権限で、全ユーザーに対して、そのアプリを一括でインストールすることもできます。この場合、ユーザーは、最初の1回の手動インストールすら不要で、最初から、すべての会話で、そのアプリを、自動的に利用できる状態になります。
このように、ユーザーの利便性と、管理者のガバナンスは、決してトレードオフの関係ではなく、見事に両立されているのです。
利用開始にあたって(全ユーザー・管理者・開発者向け情報)
管理者・ユーザー向けの情報:
この機能は、す-でに利用可能です。特別な設定は不要で、自動的に新しい挙動が適用されます。開発者向けの情報:
あなたの既存のChatアプリを、この「自動インストール」機能に対応させるために、開発者側で、何らかのコードの変更を行う必要は、一切ありません。利用可能なユーザー:
この改善は、すべてのGoogle Workspace顧客、Workspace Individual契約者、そして個人のGoogleアカウントを持つユーザーが対象です。
まとめ
今回ご紹介した、Google Chatアプリの「自動インストール」機能。
それは、私たちが、テクノロジーを「使役する」ための、煩わしいお作法から、私たちを解放してくれる、非常に重要な一歩です。
アプリは、もはや、私たちが一つひとつ、部屋に招き入れる、お客様ではありません。
一度仲間になれば、私たちの意図を汲み取り、必要な時に、必要な場所に、影のように寄り添ってくれる、賢いパートナーへと、そのあり方を変えたのです。
ぜひ、この新しい、ストレスフリーなChatアプリ体験を、あなたの日々のコラボレーションで、ご活用ください。