本記事はGoogle Workspace Updatesブログ（ https://workspaceupdates.googleblog.com/ ）の情報を基に、2025年9月17日に作成されました。
Google Meetでのオンライン会議は、今や私たちの働き方に欠かせないものとなりました。
しかし、その一方で、会議中に、こんな「困りごと」や「不安」を感じたことはありませんか。
「急な電話で、5分ほど席を外してしまった…その間に、一体どんな話が進んでいたんだろう？」
「議論が白熱していて、話の流れが速すぎる。今、誰が、何について話しているのか、正確に追いつけない…」
「この会議で決まった『やること』って、結局何だったっけ？重要な決定事項を、聞き逃してしまったかもしれない…」
会議という、リアルタイムで情報が飛び交う空間では、ほんの少しの集中力の途切れや、一時的な離席が、致命的な情報の見逃しにつながるリスクが、常に存在していました。
もし、あなたの隣に、会議のすべてを記憶し、あなたのどんな質問にも、即座に、そして正確に答えてくれる、超優秀な「パーソナル議事録係」が、常に座っていてくれるとしたら。
あなたの会議への参加スタイル、そして、その成果は、どのように変わるでしょうか。
この度、その未来を実現する、まさに革命的な新機能が、Google Meetに搭載されることが発表されました。今回は、あなたの会議体験を、根底から変革する、パーソナルミーティングアシスタント「Ask Gemini in Meet」について、その驚くべき能力と、利用する上での重要な注意点を、詳しく解説していきます。
新機能の核心：会議中に、いつでもAIに「質問」できる
今回のアップデートの核心は、非常にシンプルでありながら、そのインパクトは絶大です。
それは、「Google Meetの会議中に、参加者一人ひとりが、AI『Gemini』に対して、その会議の内容に関する質問を、プライベートなチャット形式で、いつでもできるようになる」という点にあります。
これは、会議の参加者全員が見る、通常のチャットとは全く異なります。あなたとAIだけの、1対1の秘密の対話です。あなたがAIに何を質問し、AIがどう答えたかは、他のどの参加者にも、一切見られることはありません。
具体的に、どんな「魔法」が使えるのか？
では、このあなただけのAI秘書、「Ask Gemini in Meet」は、具体的にどのような魔法を見せてくれるのでしょうか。
1. 途中参加でも、もう怖くない！「ここまでのあらすじ」を瞬時にキャッチアップ
課題:
前の会議が長引いて、5分遅刻してしまった。すでに議論は始まっているが、何の話をしているのか、さっぱり分からない。Ask Geminiで解決:
あなたは、プライベートチャットで、Geminiにこう尋ねます。「私が参加するまでの、会議の要約を教えて」
すると、Geminiは、あなたが参加する前の議論のキャプション（文字起こし）を基に、「ここまでは、来期の予算配分について議論されており、主にA案とB案が検討されています」といった、簡潔なあらすじを、あなただけのために、瞬時に生成してくれます。
（注：この機能は、あなたが参加する前に、誰かが「メモを作成（Take Notes for Me）」機能をオンにしていた場合に、最大限の効果を発揮します）
2. 議論の迷子にならない！「今、何の話？」をいつでも確認
課題:
専門用語が飛び交い、議論が複雑化。少し集中力が途切れた隙に、話の文脈を見失ってしまった。Ask Geminiで解決:
「今、話されている内容を、要約して」あるいは、「先ほど、田中さんが発言した内容の要点を、もう一度教えて」と、AIに質問。Geminiが、直近の議論の流れを、あなたのために整理してくれます。
3. 会議の成果を、絶対に見逃さない！「重要事項」をその場で抽出
課題:
会議の終盤。様々な意見が出たが、結局、何が「決定事項」で、誰が担当する「アクションアイテム」なのか、記憶が曖昧だ。Ask Geminiで解決:
会議の最中、あるいは終了直前に、「この会議で決まった、重要なポイントと、アクションアイテムを、リストアップして」と指示。Geminiが、これまでの議論全体の中から、重要なキーワードを抽出し、会議の成果を、あなたのために、構造化してまとめてくれます。
AIは、どこから情報を得ているのか？
この賢いAIは、その答えを、以下の3つの情報源から、総合的に導き出しています。
会議のキャプション:
リアルタイムで生成される、会議の文字起こしデータ。あなたのGoogle Workspace上の情報:
あなたがアクセス権を持つ、Googleドキュメント、スプレッドシート、Gmailなどの関連情報。公開情報:
Google検索を通じてアクセスできる、一般的なウェブサイトの情報。
【最重要】プライバシーとデータ保護に関する、知っておくべきこと
このように非常に強力な機能ですが、AIが会議の内容を扱う以上、プライバシーに関する懸念を持つ方もいるでしょう。Googleは、この点について、非常に明確なルールを定めています。
あなたとAIの対話は、完全にプライベート:
あなたがAIに何を質問したか、AIがどう答えたかは、他の誰にも見えません。会議終了後、データは一切保存されない:
最も重要な点です。会議のキャプションや、その他の会議データは、会議が終了した時点で、完全に消去されます。「Ask Gemini in Meet」を利用したからといって、会議の記録が、どこかに保存されることは、一切ありません。
利用開始にあたっての、重要な注意点と設定
対象エディション:
現時点では、「Google Workspace Business Plus」のお客様を対象に、提供が開始されます。Enterpriseプランなど、他のエディションへの展開は、2025年後半から2026年初頭に予定されています。管理者向けの設定:
この機能は、デフォルトで「オン」になります。管理者は、管理コンソールから、組織全体、OU、またはグループ単位で、この機能のオン/オフを制御できます。会議の主催者による制御:
会議の主催者（および共同主催者）は、会議ごと-に、この「Ask Gemini in Meet」機能を、すべての参加者に対して、オフにする権限を持ちます。機密性の高い会議などでは、主催者の判断で、機能を無効化できます。参加者への通知:
この機能が有効になっている会議に参加するすべてのユーザーには、「この会議では、Ask Geminiが有効です」という、同意を求めるバナーが表示されます。透明性が、しっかりと確保されています。
まとめ
今回ご紹介した、「Ask Gemini in Meet」。
これは、オンライン会議という、リアルタイムで情報が流れ去っていく、はかない空間に、「記憶」と「検索性」という、新しい次元をもたらす、革命的なアップデートです。
すべての参加者が、自分だけのAI秘書を伴って、会議に参加する。
誰もが、情報の見逃しや、認識のズレといった不安から解放され、より本質的な、創造的な対話に、集中することができる。
そんな、未来の会議の姿が、今、現実のものとなろうとしています。
Google Workspaceが切り拓く、新しいコラボレーションの形に、ぜひご期待ください。