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【Googleカレンダーアップデート】チームカレンダーが所有者不明に?新機能「所有権」でガバナンスを抜本強化

本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の記事を元に、日本のGoogle WorkspaceユーザーおよびGoogle Workspaceに興味がある方々に向けて、2025年11月11日に公開された情報を分かりやすく解説したものです。

プロジェクトチームで共有しているカレンダー。
会議室や社用車などの設備予約カレンダー。
部署の休暇共有カレンダー。

こうした、個人のメインカレンダー以外に作成・共有される「セカンダリカレンダー」は、チームでの共同作業に欠かせない存在です。
しかし、その管理において、こんな経験はないでしょうか。
「このカレンダーを作った担当者が異動・退職してしまい、誰も設定を変更できなくなった」
「誰が管理者か分からず、古い予定を削除したり、共有メンバーを追加したりできない」

このような「所有者不明カレンダー」や「野良カレンダー」は、業務の非効率を招くだけでなく、情報ガバナンス上の大きなリスクとなります。
この長年の課題を解決するため、Googleカレンダーのセカンダリカレンダー管理の仕組みが、根本から見直されることが発表されました。

今回のアップデートの核心は、「所有者」という明確な概念の導入です。
これにより、誰がそのカレンダーの責任者であるかが常に明確になり、管理が格段に容易になります。その詳細を見ていきましょう。

何が変わるのか?すべてのセカンダリカレンダーに「専任の所有者」を

これまで、セカンダリカレンダーの所有権は曖昧で、組織レベルでの大まかな管理しかできませんでした。今回のアップデートにより、今後はすべてのセカンダリカレンダーに、必ず一人の「専任の所有者」が割り当てられるようになります。

  • 新規作成されるカレンダーの場合:
    カレンダーを作成したユーザーが、自動的にそのカレンダーの「所有者」となります。

  • 既存のカレンダーの場合:
    アップデート適用時に、既存の共有権限に基づいて、最も適切なユーザーが「所有者」として自動的に割り当てられます。例えば、「変更および共有の管理権限」を持つユーザーが最優先で所有者となります。

この変更の最も重要な点は、カレンダーがその「所有者」の組織ポリシーを継承するようになることです。
これは、特に管理者にとって大きな意味を持ちます。例えば、特定の国や地域にデータを保管する「データリージョン」設定や、高度なセキュリティ要件を満たす「Assured Controls」といったポリシーが、カレンダーの所有者であるユーザーに適用されている場合、そのセカンダリカレンダーにも同様のポリシーが適用されるようになります。
これにより、カレンダー単位での、よりきめ細やかで厳格なデータガバナンスが可能になるのです。

なぜこの変更が重要?2つの大きなメリット

この「所有権」の導入は、管理者と現場ユーザーの双方に大きなメリットをもたらします。

今回のアップデートで最も画期的なのが、「所有権の譲渡」機能の導入です。
これにより、カレンダーの所有者がチームを異動したり、組織を離れたりした場合でも、そのカレンダーが管理不能になるのを防ぐことができます。

  • エンドユーザーによる譲渡:
    カレンダーの現在の所有者は、Googleカレンダーの設定画面から、同じ組織内の別のユーザーに所有権を簡単に譲渡できます。例えば、プロジェクトリーダーが交代する際、後任者にプロジェクトカレンダーの所有権をスムーズに引き継ぐことができます。

  • 管理者による譲渡:
    Google Workspace管理者は、管理コンソールから直接、セカンダリカレンダーの所有権をあるユーザーから別のユーザーへ強制的に移管できます。これにより、所有者がすでに退職してしまった場合や、本人が譲渡操作を行えない場合でも、管理者が介入して適切な担当者に所有権を割り当てることが可能です。

この機能により、組織の重要な情報資産であるカレンダーが、常に適切な管理者の下で維持される体制を構築できます。

所有権が明確になることで、カレンダーのセキュリティも向上します。
今回のアップデートに合わせて、API(プログラムが相互に連携するための仕組み)にも以下の変更が加えられ、権限管理がより厳格になります。

  • カレンダーを削除できるのは所有者のみ:
    これまで、高い権限を持つユーザーであればカレンダーを削除できてしまう可能性がありましたが、今後は正当な「所有者」だけが削除操作を行えるようになります。これにより、重要なチームカレンダーが誤って削除されるリスクを大幅に低減できます.

  • 所有者のアクセスレベルはダウングレード不可:
    所有者である限り、そのユーザー自身のカレンダーへのアクセス権限を、他のユーザーによって「閲覧のみ」などに引き下げることはできなくなります。これにより、所有者が自分自身をカレンダーから締め出してしまうといった、意図しない操作を防ぎます。

利用にあたって:管理者とユーザーが知っておくべきこと

この機能は、Google Workspaceを利用するすべてのアカウントで、自動的に有効になります。

  • 管理者の方へ:
    この機能はデフォルトで「ON」になっており、無効にすることはできません。アップデートに伴い、管理コンソールにセカンダリカレンダーの所有権を譲渡するための新しいツールが追加されます。組織内の重要なカレンダーの所有者が誰になっているかを確認し、必要に応じてこのツールを活用してください。

  • エンドユーザー(利用者)の方へ:
    この機能はデフォルトで「ON」になっており、無効にすることはできません。自分が作成したり、管理権限を持っていたりする既存のセカンダリカレンダーには、自動的にあなたが所有者として割り当てられている可能性があります。
    カレンダーの設定画面を開くと、新たに「所有者」の項目が表示されるようになっていますので、一度確認してみることをお勧めします。もし自分が所有者で、その役割を他の人に引き継ぎたい場合は、設定画面から譲渡操作を行うことができます。

いつから使える?展開スケジュールと対象ユーザー

この新機能の展開スケジュールは以下の通りです。

  • 個人のGoogleアカウントユーザー: すでに展開が開始されています。

  • Google Workspaceをご利用のドメイン:
    即時リリース・計画的リリースドメイン共に、2025年12月3日より、長期間(15日以上かかる可能性あり)かけて段階的に展開されます。

対象となるユーザーは非常に幅広く、すべてのGoogle Workspaceをご利用のお客様、および個人のGoogleアカウントユーザーが対象となります。

まとめ

Googleカレンダーの「セカンダリカレンダーへの所有権導入」は、一見すると地味な変更に思えるかもしれません。しかし、これは組織のデータガバナンスと長期的な情報資産管理の観点から見て、非常に重要で根本的な改善です。

誰が責任者なのかが明確になり、人事異動にも柔軟に対応でき、セキュリティも強化される。
このアップデートにより、私たちは「所有者不明カレンダー」問題の悩みから解放され、より安全で効率的なチームコラボレーションを実現できます。
展開が完了したら、ぜひ一度、ご自身のチームで使っているカレンダーの「所有者」が誰になっているかを確認してみてください。