本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の記事を元に、日本のGoogle WorkspaceユーザーおよびGoogle Workspaceに興味がある方々に向けて、2025年11月13日に公開された情報を分かりやすく解説したものです。
イベントの参加登録、顧客満足度アンケート、社内研修の理解度テスト…。
私たちの業務に欠かせないGoogleフォームですが、その作成には意外と手間がかかります。
質問項目を一から考え、回答形式を選択し、選択肢を一つ一つ入力していく…。
この地道な作業に、もどかしさを感じた経験はないでしょうか。
もし、あなたが作りたいフォームのイメージを、簡単な言葉で伝えるだけで、AIがその意図を汲み取り、ものの数秒でフォームのドラフトを完成させてくれたとしたら?
今年初めに発表され、大きな話題を呼んだGoogleフォームのGemini連携機能「フォームを作成(Help me create)」。
これまで英語環境でのみ利用可能だったこの革新的な機能が、ついに日本語を含む7つの言語に新たに対応したことが発表されました。
これは、日本のGoogle Workspaceユーザーにとって、まさに待望のアップデートです。
フォーム作成という定型業務のあり方を根底から覆し、私たちの生産性を劇的に向上させる可能性を秘めています。
今回は、日本語に対応した「フォームを作成」機能がどのようなものなのか、そして私たちの働き方をどのように変えるのか、その全貌を詳しく解説していきます。
何が変わるのか?AIによるフォーム作成機能「フォームを作成」とは
まず、「フォームを作成」機能がどのようなものかを改めてご紹介します。
これは、Googleフォームの作成画面に組み込まれた、Googleの最先端AI「Gemini」を活用した機能です。
ユーザーは、作りたいフォームの内容を自然な文章(プロンプト)で入力するだけで、AIがその指示を解釈し、適切な質問項目、回答形式、選択肢を備えたフォームのたたき台を自動で生成してくれます。
例えば、
「来月開催する社内忘年会の出欠確認フォームを作成して。参加可否、アレルギーの有無、余興への参加希望を質問項目に入れてください。」
と入力するだけで、AIはこれらの要件を満たしたフォームを瞬時に作成します。
もちろん、生成されたフォームはあくまでドラフトなので、ユーザーはその後、自由に質問を追加・編集したり、デザインをカスタマイズしたりすることが可能です。
これにより、フォーム作成の「ゼロからイチ」を生み出す最も時間のかかるプロセスを、AIに完全に任せることができるのです。
今回のアップデートの核心:待望の「日本語対応」がもたらす革命
これまで、この強力な機能を利用するには、指示を英語で入力する必要がありました。しかし、今回のアップデートで日本語に正式対応したことにより、日本のユーザーは、普段使っている自然な日本語でAIに指示を出すことができるようになります。
この変化は、単なる言語対応以上の大きな意味を持ちます。
英語で指示を考えるという心理的なハードルがなくなり、誰もが気軽に、そして直感的にAIの力を借りられるようになります。これにより、日本国内でのAI活用が一気に加速することは間違いありません。
もう一つの強力な武器:「既存ファイル参照」で作成がさらに高度に
この機能の真価は、単にプロンプトからフォームを作るだけではありません。もう一つの強力な機能が「既存ファイルからのフォーム生成」です。
これは、AIにGoogle Drive内にあるドキュメント、スプレッドシート、スライド、さらにはPDFファイルの内容を読み込ませ、その文脈に基づいてフォームを自動生成させるというものです。
この「ファイル参照」機能が日本語対応したことで、活用の幅は無限に広がります。具体的なビジネスシーンで見ていきましょう。
あなたは、Googleドキュメントで詳細なイベント企画書を作成しました。イベント名、開催日時、場所、参加費、プログラム内容などがすべて記載されています。
従来であれば、この企画書の内容を見ながら、フォームに情報を一つ一つ手作業で転記する必要がありました。
これからは、AIにこう指示するだけです。
「このイベント企画書(ファイルを指定)に基づいて、参加申し込みフォームを作成してください。」
Geminiは企画書の内容を瞬時に理解し、イベント名や日時といった基本情報をフォームのタイトルや説明文に自動で反映。さらに、参加費の有無から支払いに関する質問項目を追加したり、プログラム内容から興味のあるセッションを選択させたりといった、企画書の内容に即した適切な質問項目を自動で生成してくれます。
面倒な転記作業は、もはや過去のものになります。
あなたは、Googleスライドで作成した新人研修の資料を持っています。
これまでは、研修後にその内容に基づいた理解度テストやフィードバックアンケートを一から作成していました。
これからは、AIにこう指示します。
「この研修資料(ファイルを指定)の内容に基づいた、10問の選択式理解度テストを作成してください。また、研修内容に関する満足度アンケートも追加してください。」
Geminiは、スライドの各ページの内容を分析し、重要なキーワードや概念を抽出して、それに基づいた設問と選択肢を自動で生成します。研修の目的やゴールに沿った、質の高いテスト問題を短時間で用意することが可能になります。
あなたの手元には、新製品の仕様が詳細に書かれたPDFファイルがあります。この新製品を使った顧客から、具体的なフィードバックを集めたいと考えています。
AIにこう指示してみましょう。
「この製品仕様書(ファイルを指定)を基に、顧客向けのフィードバックフォームを作成して。特に『〇〇機能』の使いやすさと、『△△機能』の満足度について、5段階評価で質問してください。」
GeminiはPDFの内容を解析し、製品の主要な機能や特徴を把握。指示された特定の機能に関する質問はもちろん、仕様書全体からフィードバックを求めるべき重要なポイントを推測し、網羅的なアンケート項目を提案してくれます。
どうやって始める?管理者とユーザー向けのポイント
この革新的な機能を利用するためには、いくつかの前提条件があります。
管理者の方へ
組織内のユーザーがこの機能(およびサイドパネルのGemini)を利用できるようにするには、管理コンソールで「スマート機能とパーソナライズ」の設定が有効になっている必要があります。組織のポリシーに合わせて、ユーザーがこれらのAI機能を利用できる状態になっているかをご確認ください。エンドユーザー(利用者)の方へ
管理者によって機能が有効化されていれば、Googleフォームの作成画面に「フォームを作成」といったボタンやメニューが表示されます。そこから、作りたいフォームの指示を入力したり、参照したいファイルを指定したりするだけで、すぐにAIによるフォーム作成を始めることができます。
いつから使える?展開スケジュールと対象プラン
この新機能は、以下のスケジュールで順次展開されます。
即時リリースドメイン: 2025年11月12日より段階的に展開(機能の表示に最大15日かかる場合があります)
計画的リリースドメイン: 2025年11月26日より段階的に展開(機能の表示に最大15日かかる場合があります)
利用可能なGoogle Workspaceプランおよびアドオンは以下の通りです。
Business Standard, Business Plus
Enterprise Standard, Enterprise Plus
Google AI Pro for Education
その他、Gemini Business/Enterpriseアドオンや、個人向けAI有料プラン
Business Starterなどのプランは対象外となりますので、自社の契約プランをご確認ください。
まとめ
GoogleフォームのAI機能「フォームを作成」の日本語対応は、日本のすべてのGoogle Workspaceユーザーにとって、生産性向上に向けた大きな一歩です。
これまで人間が時間をかけて行っていたフォーム作成という定型業務をAIに任せることで、私たちはアンケート結果の分析や、イベント企画のブラッシュアップといった、より本質的で創造的な業務に多くの時間を割くことができるようになります。
日本語で、そして既存の資料を活用して、誰もが簡単に高度なフォームを作成できる時代の到来です。ぜひこの新機能を活用して、日々の業務をさらにスマートで効率的なものに変えていってください。
