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2025年11月25日
業務で動画ファイルを扱う機会は、年々増え続けています。
会議の録画データ、新入社員向けの研修ビデオ、製品のデモンストレーション動画など、Google Driveには日々多くの動画がアップロードされています。
しかし、動画の中身を確認するには再生するしかなく、音が出せない環境では内容が把握できないといった不便さを感じたことはないでしょうか。
あるいは、聴覚に障がいを持つ方への配慮や、アクセシビリティの観点から字幕の付与が必要不可欠であるものの、手作業での文字起こしに膨大な時間を費やしていませんか。
そんな悩みを解決する、待望のアップデートがGoogleから発表されました。
昨年、Google Drive内の英語動画向けにリリースされた「自動字幕生成機能」が、ついに日本語を含む27の言語に対応しました。
これは、日本のGoogle Workspaceユーザーにとって、業務効率を劇的に向上させる非常に大きなニュースです。
本記事では、2025年11月25日に発表されたこの新機能について、その詳細と具体的なメリット、そして利用方法をわかりやすく解説します。
アップデートの概要:英語だけだった機能が、世界中の言語へ
これまで、Google Driveにアップロードされた動画に対して自動で字幕を生成する機能は、英語のみの対応でした。
しかし今回のアップデートにより、その対応言語が一気に拡大されました。
新たに追加されたのは、日本語をはじめ、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語など、計27言語です。
この機能の仕組みは非常にシンプルかつスマートです。
対象となるユーザーがGoogle Driveに動画ファイルをアップロードすると、システムが自動的に動画内の音声言語を検出します。
そして、その言語が今回サポートされた言語(例えば日本語)であれば、AIが自動的に字幕トラックを生成し、動画に付与してくれるのです。
これにより、動画コンテンツはより「アクセシブル(利用しやすい)」で「インクルーシブ(誰もが参加しやすい)」なものへと生まれ変わります。
なぜこの機能が重要なのか? 3つの大きなメリット
この機能拡張は、単に「字幕が出るようになった」という以上の価値をビジネスにもたらします。
アクセシビリティとインクルージョンの向上
最も重要な点は、聴覚に障がいを持つ方や、難聴の方にとって、動画コンテンツが理解しやすくなることです。
また、グローバルチームで働く場合など、第一言語が異なるメンバーにとっても、字幕があることで理解度が格段に上がります。
情報の格差をなくし、チーム全員が同じ情報にアクセスできる環境を整えることは、現代の組織において必須の取り組みです。「音が出せない場所」での視聴が可能に
移動中の電車の中や、静かなオフィス、あるいはカフェなど、音声を再生できない環境で動画内容を確認したいケースは多々あります。
これまではイヤホンを探したり、後回しにしたりしていましたが、自動字幕があれば、ミュートのままでも内容を把握できます。
「あ、この動画の内容なんだっけ?」と少し確認したい時などに、場所を選ばずに視聴できる利便性は計り知れません。業務効率化とコスト削減
これまで、研修動画などに字幕を付けるためには、担当者が時間をかけて文字起こしをするか、外部の業者に委託する必要がありました。
これには多大な時間とコストがかかっていました。
Google Driveにアップロードするだけで、AIが高い精度で字幕を生成してくれるようになれば、これらの作業コストはほぼゼロになります。
浮いた時間を、よりクリエイティブな業務に充てることができるようになります。
新たに対応した言語リスト
今回サポートが追加された言語は以下の通りです。
ビジネスで主要な多くの言語が網羅されています。
日本語
アラビア語
チェコ語
オランダ語
フィリピン語
フィンランド語
フランス語
ドイツ語
ギリシャ語
ヘブライ語
ヒンディー語
ハンガリー語
インドネシア語
イタリア語
韓国語
マレー語
ノルウェー語
ポーランド語
ポルトガル語
ルーマニア語
ロシア語
スペイン語
スウェーデン語
タイ語
トルコ語
ウクライナ語
ベトナム語
なお、中国語への対応も「近日中(coming soon)」とアナウンスされています。
管理者向け設定:組織でのコントロール方法
この機能は、Google Workspaceの管理者にとっても導入しやすい設計になっています。
デフォルトで有効(ON)
この機能拡張は、対象となるすべての組織でデフォルトで「有効」になります。
管理者が特別な操作をしなくても、ユーザーが動画をアップロードすれば自動的に字幕生成が始まります。
(※すでに自動字幕生成に関する設定を行っている場合は、その既存設定が尊重されます)柔軟な制御が可能
管理者は、組織のポリシーに合わせて、ドメイン全体、組織部門(OU)、またはグループ単位でこの機能を制御できます。
設定オプションは以下の通りです。自動生成(デフォルト): ユーザーがアップロードした際に自動的に字幕を生成する。
オンデマンド: 機能自体は有効にするが、自動生成はせず、ユーザーが個別に字幕生成をリクエストした時のみ生成する。
無効: 自動字幕生成機能を完全にオフにする。
ストレージ容量やコンプライアンスの観点から自動生成を抑制したい場合は、「オンデマンド」設定への変更を検討しても良いでしょう。
エンドユーザー向け利用方法:字幕の生成手順
ユーザー側での利用方法は非常に簡単です。
組織で「自動生成」が有効になっている場合:
特別な操作は必要ありません。
動画をGoogle Driveにアップロードするだけで、しばらくすると自動的に日本語(または対応言語)の字幕が生成されます。
「オンデマンド(リクエスト制)」の場合、または個人アカウントの場合:
自動で字幕がつかない場合や、過去にアップロードした動画に字幕を付けたい場合は、手動で生成をリクエストできます。
Google Drive上で対象の動画ファイルを右クリックします。
メニューから [字幕トラックを管理] を選択します。
[新しい字幕トラックを追加] をクリックし、自動生成を選択します。
これにより、AIが動画を解析し、字幕を作成してくれます。
展開スケジュールと対象ユーザー
展開スケジュール:
本機能は「Available now」、つまり即時利用可能です。
すでにお手元のGoogle Workspace環境で利用できるようになっているはずです。
利用可能なユーザー:
この機能の素晴らしい点は、対象ユーザーが非常に幅広いことです。
すべてのGoogle Workspaceをご利用のお客様
Google Workspace Individualをご契約のお客様
個人のGoogleアカウントをご利用のユーザー
企業ユーザーだけでなく、個人のGmailアカウントでGoogle Driveを使っている方も、この便利な機能を利用できます。
まとめ:動画活用のハードルが下がる大きな一歩
Google Driveの自動字幕生成機能が日本語に対応したことは、日本のビジネスシーンにおける動画活用のハードルを大きく下げるものです。
「動画は情報量が多いが、検索性が低く、閲覧環境を選ぶ」という従来のデメリットが、この機能によって解消されつつあります。
会議録画のアーカイブ化、マニュアルの動画化、社内広報のビデオメッセージなど、動画コンテンツの価値がこれまで以上に高まることは間違いありません。
特別な追加料金なしで利用できるこの機能。
まずは一度、Google Driveにお手持ちの動画をアップロードして、その精度と利便性を体験してみてはいかがでしょうか。
あなたの組織のコミュニケーションが、よりスムーズで豊かなものになるはずです。
