「毎日のSNS投稿用の画像作成に時間がかかりすぎる」
「ブログのアイキャッチ画像を一つ一つ作るのが大変」
「商品画像のバリエーションを効率的に作りたい」
こんな悩みを抱えているマーケターやコンテンツクリエイターの方は多いのではないでしょうか。
実は、ノーコード自動化ツール「Make」と生成AI(DALL-E 3やMidjourney)を連携させることで、これらの作業を驚くほど効率化できます。
本記事では、実際に私が構築した自動化システムの事例を交えながら、具体的な設定方法から運用のコツまで、余すところなくお伝えします。
読み終わる頃には、あなたもコンテンツ制作の自動化システムを構築できるようになっているはずです。
なぜ今、Makeと生成AIの連携が注目されているのか
2025年現在、コンテンツ制作の現場では「量」と「質」の両立が求められています。SNSの投稿頻度は年々増加し、1日に複数回の投稿が当たり前になりました。同時に、ユーザーの目も肥えており、質の低いコンテンツはすぐにスルーされてしまいます。
従来の制作フローでは、デザイナーが1枚1枚手作業で画像を作成していました。クオリティは高いものの、制作に1枚あたり30分〜1時間かかることも珍しくありません。月間100枚の画像が必要な場合、最大100時間もの工数が発生する計算になります。
一方、生成AIを使えば、テキストプロンプトから数秒で高品質な画像を生成できます。しかし、毎回手動でプロンプトを入力し、生成された画像をダウンロードして、適切な場所に保存する作業は意外と手間がかかります。
ここで登場するのが、Makeによる自動化です。Makeを使えば、以下のような完全自動化されたワークフローを構築できます:
- Googleスプレッドシートに記載されたテキストから自動でプロンプトを生成
- DALL-E 3やMidjourneyのAPIを通じて画像を自動生成
- 生成された画像を自動でGoogle DriveやDropboxに保存
- SlackやDiscordに完了通知を送信
実際に私がこのシステムを導入したクライアントでは、月間の画像制作時間が100時間から5時間に短縮されました。95%の工数削減という驚異的な成果です。
Makeと生成AIを連携させる具体的な手順
ここからは、実際にMakeとDALL-E 3を連携させる手順を、スクリーンショットを交えながら詳しく解説していきます。Midjourneyとの連携方法も後半で説明します。
事前準備:必要なアカウントとAPIキーの取得
まず、以下のアカウントとAPIキーを準備します:
- Makeアカウント:こちらから無料で作成できます
- OpenAI APIキー:DALL-E 3を使用する場合に必要(月額約20ドル〜)
- Midjourney有料プラン:APIアクセスには月額30ドル以上のプランが必要
OpenAI APIキーの取得手順:
- OpenAIの公式サイトにアクセスし、アカウントを作成
- ダッシュボードから「API Keys」を選択
- 「Create new secret key」をクリックしてAPIキーを生成
- 生成されたキーを安全な場所に保存(再表示はできません)
ステップ1:Makeでシナリオを作成する
Makeにログインしたら、新しいシナリオを作成します。今回は「Googleスプレッドシートのデータから自動で画像を生成し、Google Driveに保存する」というワークフローを構築します。
シナリオの基本構成は以下の通りです:
- トリガーモジュール:Googleスプレッドシートの新規行を監視
- プロンプト生成モジュール:テンプレートに基づいてプロンプトを作成
- 画像生成モジュール:OpenAI(DALL-E 3)で画像を生成
- 保存モジュール:生成された画像をGoogle Driveに保存
- 通知モジュール:完了通知をSlackに送信
ステップ2:Googleスプレッドシートの設定
まず、画像生成の指示を管理するGoogleスプレッドシートを作成します。以下のような列構成にすると管理しやすいです:
- A列:画像ID(連番)
- B列:画像のタイトル
- C列:画像の説明文
- D列:スタイル指定(例:photorealistic, anime style, watercolor)
- E列:生成ステータス(未処理/処理中/完了)
- F列:生成された画像のURL
Makeの「Google Sheets」モジュールを追加し、「Watch New Rows」を選択します。接続設定で先ほど作成したスプレッドシートを指定し、監視する範囲を設定します。
ステップ3:プロンプトの自動生成
次に、スプレッドシートのデータを基にDALL-E 3用のプロンプトを生成します。「Tools」モジュールから「Set Variable」を選択し、以下のようなプロンプトテンプレートを作成します:
{{2.B列}} - {{2.C列}}, style: {{2.D列}}, high quality, detailed, professional photography
プロンプトエンジニアリングのコツ:
- 具体的な描写を心がける(「美しい風景」より「朝日に照らされた富士山と桜」)
- ネガティブプロンプトも活用する(「low quality, blurry, distorted」など)
- アスペクト比を指定する(「16:9 aspect ratio」など)
- 参考にしたいアーティストやスタイルを明記する
ステップ4:OpenAI(DALL-E 3)での画像生成
「OpenAI」モジュールを追加し、「Create an Image」アクションを選択します。接続設定でAPIキーを入力し、以下のパラメータを設定します:
- Prompt:ステップ3で作成した変数を指定
- Model:dall-e-3を選択
- Size:1024×1024、1024×1792、1792×1024から選択
- Quality:standardまたはhd(hdは2倍の料金)
- Response format:urlを選択
エラーハンドリングも重要です。「Error handler」を追加し、API制限やネットワークエラーに対応できるようにしましょう。リトライ回数は3回、間隔は10秒程度が適切です。
ステップ5:生成画像の保存と管理
「Google Drive」モジュールを追加し、「Upload a File」を選択します。以下の設定を行います:
- File URL:OpenAIモジュールから返された画像URL
- File Name:{{2.A列}}_{{2.B列}}.png
- Folder:事前に作成した保存用フォルダを指定
さらに、生成が完了したらスプレッドシートを更新します。「Google Sheets」モジュールで「Update a Row」を選択し、E列を「完了」、F列に画像URLを記録します。
Midjourneyとの連携方法
Midjourneyは公式APIを提供していませんが、サードパーティサービスを介して連携できます。主な選択肢は以下の通りです:
1. Midjourney API(非公式)
「UseAPI.net」や「Replicate」などのサービスが、Midjourney互換のAPIを提供しています。料金は月額50ドル程度から始まり、生成枚数に応じて課金されます。
Makeでの設定手順:
- 「HTTP」モジュールを追加し、「Make a request」を選択
- APIエンドポイントとヘッダー情報を設定
- JSONボディにプロンプトやパラメータを記述
- レスポンスから画像URLを抽出
2. Discord Bot経由での自動化
より高度な方法として、Discord Botを作成してMidjourneyと連携する方法があります。PythonやNode.jsでBotを開発し、MakeのWebhookと連携させます。
必要な技術スタック:
- Discord.js または discord.py
- Express.js(Webhook受信用)
- ngrok(ローカル開発時のトンネリング)
実践的な活用事例と成果
ここでは、実際に私が構築したシステムの事例を3つ紹介します。
事例1:ECサイトの商品画像自動生成
あるアパレルECサイトでは、新商品の登録時に複数アングルの商品画像が必要でした。従来は1商品あたり8枚の画像を撮影・編集していましたが、以下のワークフローを構築しました:
- 商品情報(色、素材、デザイン)をスプレッドシートに入力
- Makeが自動で8種類のプロンプトを生成(正面、背面、側面、着用イメージなど)
- DALL-E 3で各アングルの画像を生成
- Shopifyに自動アップロード
結果:1商品あたりの画像準備時間が2時間から5分に短縮。月間40商品を扱うため、月76時間の工数削減を実現しました。
事例2:SNS投稿画像の大量生成
某メディア企業では、Instagram、Twitter、Facebookに1日3回投稿していました。各SNSで最適なアスペクト比が異なるため、同じコンテンツでも3種類の画像が必要でした。
構築したシステム:
- 記事タイトルと要約をRSSフィードから自動取得
- SNSごとに最適化されたプロンプトを生成
- 各プラットフォーム用の画像を自動生成(正方形、16:9、9:16)
- Buffer APIを通じて投稿をスケジュール
成果:デザイナーの作業時間が週20時間から週2時間に削減。空いた時間でより戦略的なクリエイティブ業務に注力できるようになりました。
事例3:教育コンテンツのイラスト自動生成
オンライン学習プラットフォームでは、レッスンごとに説明用のイラストが必要でした。特に理科や社会の教材では、複雑な概念を視覚化する必要がありました。
実装した機能:
- レッスンプランから重要概念を抽出
- 教育的に適切なイラストプロンプトを生成
- 一貫性のあるイラストスタイルで画像生成
- LMSに自動アップロードし、適切なレッスンに紐付け
効果:コンテンツ制作速度が3倍に向上。生徒の理解度テストのスコアも平均15%向上しました。
よくあるトラブルと解決方法
Makeと生成AIの連携を始めると、いくつかの課題に直面することがあります。ここでは、よくあるトラブルとその解決方法を紹介します。
1. API制限によるエラー
問題:OpenAI APIには分あたりのリクエスト制限があり、大量の画像を生成しようとするとエラーが発生します。
解決策:
- Makeの「Sleep」モジュールを使って、リクエスト間に60秒の待機時間を設定
- 「Queue」機能を使って、処理を分散させる
- OpenAIのTier(利用レベル)を上げて制限を緩和
2. プロンプトが意図した画像を生成しない
問題:日本語のプロンプトや曖昧な表現では、期待した画像が生成されないことがあります。
解決策:
- DeepLやGoogle翻訳APIを組み込んで、日本語を英語に自動翻訳
- プロンプトテンプレートを作成し、成功パターンを蓄積
- ネガティブプロンプトを活用して、不要な要素を除外
3. 生成コストの管理
問題:DALL-E 3のHD画質は1枚あたり約0.08ドル。大量生成するとコストが膨らみます。
解決策:
- 用途に応じて画質を使い分ける(SNS用はstandard、印刷用はHD)
- Makeで月間の生成数をカウントし、上限に達したらアラート
- 不要な再生成を防ぐため、生成前にプロンプトをプレビュー
Make×生成AIをさらに活用するための応用テクニック
基本的な連携ができるようになったら、以下の応用テクニックでさらに高度な自動化を実現できます。
1. A/Bテストの自動化
複数のプロンプトバリエーションを自動生成し、パフォーマンスを比較します:
- 同じコンテンツで異なるスタイルの画像を生成
- Google AnalyticsやFacebook Pixel APIでエンゲージメントを測定
- 最も効果的なスタイルを自動で選択
2. ChatGPTとの組み合わせ
テキストコンテンツと画像を同時に生成する統合ワークフロー:
- ChatGPTでブログ記事を生成
- 記事の要約から画像プロンプトを自動作成
- DALL-E 3でアイキャッチ画像を生成
3. 動的パーソナライゼーション
ユーザーデータに基づいて個別の画像を生成:
- CRMデータから顧客の好みを取得
- パーソナライズされたプロンプトを生成
- メールマーケティングツールと連携して配信
これらの応用テクニックについてさらに詳しく知りたい方は、Make完全ガイド記事もぜひご覧ください。Makeの基本機能から高度な使い方まで、体系的に解説しています。
まとめ:今すぐ始められる第一歩
Makeと生成AIの連携は、コンテンツ制作の概念を根本から変える可能性を秘めています。本記事で紹介した手法を使えば、制作時間を大幅に削減しながら、より多くの価値あるコンテンツを生み出せるようになります。
まずは小さく始めることが大切です。以下のステップで、今日から自動化への第一歩を踏み出しましょう:
- Makeの無料アカウントを作成する(月1,000オペレーションまで無料)
- OpenAI APIキーを取得し、5ドル分のクレジットをチャージ
- 本記事で紹介した「スプレッドシート→画像生成→保存」の基本フローを構築
- 10枚程度の画像を試験的に生成してみる
- 結果を検証し、プロンプトやワークフローを改善
自動化は一度構築すれば、24時間365日働き続けてくれる優秀なアシスタントになります。最初の設定には時間がかかるかもしれませんが、その投資は必ず大きなリターンとなって返ってきます。
さらに、Makeには画像生成以外にも無限の可能性があります。データベース連携、メール自動化、SNS管理など、あらゆる業務を自動化できます。Make完全ガイド記事では、これらの機能についても詳しく解説していますので、ぜひ次のステップとして活用してください。
コンテンツ制作の自動化は、もはや「できたらいいな」ではなく「やらなければ競争に負ける」時代になりました。この記事が、あなたの自動化journey の第一歩となることを願っています。