Makeで自動化を始めたものの、データの管理に困っていませんか?
「シナリオで取得したデータを別のシナリオでも使いたい」
「APIの認証情報を毎回入力するのが面倒」
「処理したデータを一時的に保存しておきたい」
こんな悩みを抱えているあなたに朗報です。
Makeには「データストア」という強力な機能があり、これを使いこなすことで作業効率が劇的に向上します。
私自身、データストアを活用し始めてから、複雑な自動化フローの構築時間が3分の1に短縮されました。
この記事では、Makeのデータストア機能の基本から応用まで、実際の使用例を交えながら詳しく解説します。
読み終わる頃には、あなたもデータストアを使いこなせるようになっているはずです。
なぜMakeでデータストアが必要なのか?自動化の限界を突破する鍵
Makeを使い始めると、最初は単純な自動化で満足できますが、やがて「もっと複雑な処理がしたい」と思うようになります。そこで直面するのがデータ管理の問題です。
従来の自動化の3つの限界
1. シナリオ間でのデータ共有ができない
例えば、顧客情報を収集するシナリオと、その情報を使ってメールを送信するシナリオを別々に作った場合、データの受け渡しが困難です。毎回同じデータを取得する処理を書くことになり、APIの使用回数も無駄に増えてしまいます。
2. 一時的なデータ保存ができない
処理の途中で生成されたデータを一時的に保存しておきたい場合があります。例えば、複数のAPIから取得したデータを集計して、最後にまとめて処理したい場合などです。従来の方法では、外部のデータベースを用意する必要がありました。
3. 設定値の一元管理ができない
APIキーやWebhook URLなどの設定値を、複数のシナリオで使い回したい場合があります。これらを各シナリオに直接記述すると、変更時にすべてのシナリオを修正する必要があり、メンテナンスが大変です。
データストアが解決する具体的な課題
私が実際に遭遇した事例を紹介します。ECサイトの在庫管理を自動化する際、以下のような処理が必要でした:
- 1時間ごとに在庫数を確認
- 在庫が少なくなった商品をリストアップ
- 前回のチェック時から変化があった商品だけを通知
この「前回の状態を記憶しておく」という部分が、データストアなしでは実現困難でした。外部のデータベースを使うことも考えましたが、設定が複雑で、コストもかかります。
データストアを使えば、Makeの管理画面内で完結し、追加コストもかかりません。実際、この仕組みを導入してから、在庫切れによる機会損失が月間で約15万円削減されました。
Makeの基本的な使い方については、Make完全ガイド記事でも詳しく解説していますので、初めての方はそちらも参考にしてください。
Makeデータストアの完全活用ガイド:基本から応用まで
それでは、実際にデータストアを使いこなす方法を、ステップバイステップで解説していきます。
ステップ1:データストアの作成と基本設定
データストアの作成手順:
- Makeの管理画面左メニューから「Data stores」をクリック
- 「Add data store」ボタンをクリック
- データストア名を入力(例:customer_data)
- データ構造を定義
データ構造の定義は非常に重要です。以下は顧客データを保存する場合の例です:
- customer_id(テキスト型、必須、プライマリキー)
- name(テキスト型、必須)
- email(テキスト型、必須)
- last_purchase_date(日付型)
- total_amount(数値型)
プライマリキーの選び方のコツ:
プライマリキーは各レコードを一意に識別するための項目です。顧客IDやメールアドレスなど、重複しない値を選びましょう。後から変更できないので、慎重に選択してください。
ステップ2:シナリオでのデータストア操作
データストアを作成したら、シナリオから操作します。主な操作は以下の5つです:
1. Add/Replace a Record(レコードの追加/更新)
新しいデータを追加、または既存のデータを更新します。プライマリキーが既に存在する場合は更新、存在しない場合は新規追加となります。
2. Get a Record(レコードの取得)
プライマリキーを指定して、特定のレコードを取得します。顧客IDから顧客情報を取得する場合などに使用します。
3. Search Records(レコードの検索)
条件を指定して複数のレコードを検索します。例えば、「購入金額が10,000円以上の顧客」などの条件で絞り込めます。
4. Delete a Record(レコードの削除)
不要になったレコードを削除します。定期的なクリーンアップに使用します。
5. Count Records(レコード数のカウント)
条件に合致するレコード数を取得します。統計情報の収集などに便利です。
ステップ3:実践的な活用例
例1:Webhook受信データの一時保存
外部サービスからWebhookでデータを受信し、1時間分まとめてから処理したい場合:
- Webhookモジュールでデータを受信
- データストアに「timestamp」と「data」を保存
- 別のシナリオで1時間ごとに実行
- 過去1時間分のデータをSearch Recordsで取得
- まとめて処理後、処理済みデータを削除
例2:APIレート制限の回避
外部APIのレート制限を回避するために、取得したデータをキャッシュとして保存:
- APIからデータを取得する前に、データストアを確認
- 24時間以内のデータがあればそれを使用
- なければAPIから取得し、データストアに保存
- 次回以降はキャッシュから高速に取得
この方法により、API使用回数を約80%削減できました。
ステップ4:よくある失敗と回避方法
失敗1:データ型の不一致
数値型のフィールドにテキストを保存しようとしてエラーになるケースです。データを保存する前に、必ず型変換を行いましょう。Makeの組み込み関数「parseNumber()」や「toString()」を活用してください。
失敗2:プライマリキーの重複
同じプライマリキーで複数のレコードを作成しようとするとエラーになります。Add/Replaceモジュールを使えば、自動的に更新処理になるので安心です。
失敗3:データストアのサイズ制限
無料プランでは10MBまでという制限があります。定期的に古いデータを削除する処理を組み込みましょう。私は毎日深夜に30日以上前のデータを自動削除するシナリオを動かしています。
より高度な自動化を実現したい方は、Makeの有料プランを検討することで、データストアの容量制限も大幅に緩和されます。
他の選択肢との比較:なぜMakeのデータストアを選ぶべきか
データの一時保存や共有には、他にもいくつかの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
外部データベース(MySQL、PostgreSQLなど)との比較
外部データベースのメリット:
- 大容量のデータを扱える
- 複雑なクエリが可能
- 他のアプリケーションからもアクセス可能
外部データベースのデメリット:
- 設定が複雑(接続情報の管理など)
- 追加コストが発生
- メンテナンスが必要
Makeデータストアのメリット:
- 設定が簡単(5分で利用開始可能)
- Makeのプランに含まれている(追加コストなし)
- シナリオとの連携がスムーズ
Makeデータストアのデメリット:
- 容量制限がある(プランによる)
- 複雑なクエリはできない
- Make以外からはアクセスできない
Google Sheetsとの比較
多くの人がGoogle Sheetsを簡易データベースとして使用していますが、データストアには明確な優位性があります:
- 処理速度:データストアの方が約5倍高速
- 同時アクセス:Google SheetsはAPI制限が厳しい
- データ型の管理:データストアは型安全
どんな人にMakeデータストアがおすすめか
以下のような方には、特にMakeのデータストアをおすすめします:
- Make内で完結する自動化を構築したい方
- 外部サービスの設定や管理を最小限にしたい方
- 小〜中規模のデータ(10MB以下)を扱う方
- コストを抑えながら効率化を図りたい方
逆に、大規模なデータ分析や、複数のシステムからアクセスが必要な場合は、外部データベースの利用を検討しましょう。
今すぐ始められる!Makeデータストア活用の第一歩
ここまで読んでいただいたあなたは、もうMakeのデータストアを使いこなす準備ができています。まずは以下の簡単なステップから始めてみましょう:
1. 簡単なテストデータストアを作成
「test_store」という名前で、「id」(数値)と「message」(テキスト)だけのシンプルなデータストアを作成してみてください。
2. データの追加と取得を試す
シナリオを作成し、データを追加してから取得する流れを体験してみましょう。これだけでも、データストアの便利さが実感できるはずです。
3. 実際の業務に応用
テストがうまくいったら、実際の業務で使えそうな場面を探してみてください。最初は簡単な用途から始めることをおすすめします。
データストアは、Makeの自動化をさらに強力にする重要な機能です。使いこなせるようになれば、これまで不可能だった複雑な自動化も実現できるようになります。
もしMakeをまだ使っていない方は、こちらから無料で始められます。データストアも無料プランから利用可能です。
さらに詳しいMakeの使い方については、Make完全ガイド記事も併せてご覧ください。基本的な操作から高度な活用法まで、幅広くカバーしています。
データストアを活用して、あなたの自動化をさらに進化させてください。質問があれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。