「毎日大量のファイルを圧縮して送信する作業に追われている」
「受信したZIPファイルを解凍して、中身を確認する作業が面倒」
「ExcelファイルをPDFに変換する単純作業に時間を取られている」
こんな悩みを抱えていませんか?
私も以前は、クライアントから送られてくる大量の圧縮ファイルの処理に毎日1時間以上を費やしていました。
しかし、Make(旧Integromat)を使い始めてから、これらの作業は完全に自動化され、今では数分の初期設定だけで済むようになりました。
この記事では、Makeを使ったファイル操作の自動化について、実際に私が構築したシナリオを例に、具体的な設定方法から応用テクニックまでを詳しく解説します。
読み終わる頃には、あなたも面倒なファイル操作から解放され、本当に重要な業務に集中できるようになるでしょう。
なぜファイル操作の自動化が必要なのか
現代のビジネスシーンでは、デジタルファイルのやり取りは避けて通れません。しかし、ファイル操作にまつわる作業は想像以上に時間を消費します。
例えば、私が実際に経験したケースでは、毎朝10社のクライアントから送られてくる売上データ(Excel形式)を受け取り、それぞれを圧縮してバックアップサーバーに保存、さらにPDF形式に変換して社内共有フォルダに格納するという作業がありました。この一連の作業には毎日約90分かかっていました。
年間で計算すると、約390時間(16日間)もの時間をファイル操作に費やしていたことになります。これは明らかに生産性の観点から改善が必要な状況でした。
手動ファイル操作の具体的な問題点
- ヒューマンエラーのリスク:疲労や集中力の低下により、ファイルの保存先を間違えたり、変換し忘れたりするミスが発生
- スケーラビリティの欠如:ファイル数が増えると作業時間が比例して増加し、業務が圧迫される
- 即時性の欠如:手動作業では24時間365日の対応は不可能で、休日や深夜の対応が困難
- 付加価値の低い作業:単純作業に時間を取られ、戦略的な業務に注力できない
これらの問題を解決するために、私はMakeの自動化機能を活用することにしました。結果として、90分かかっていた作業が完全自動化され、エラー率もゼロになりました。
Makeでファイル操作を自動化する具体的な方法
それでは、実際にMakeを使ってファイル操作を自動化する方法を、3つの実践的なシナリオを通じて解説します。
シナリオ1:受信したファイルを自動圧縮してバックアップ
最初に紹介するのは、Gmailで受信した添付ファイルを自動的にZIP形式に圧縮し、Google Driveにバックアップするシナリオです。
必要なモジュール:
- Gmail – Watch Emails
- Archive – Create an Archive
- Google Drive – Upload a File
設定手順:
1. Gmailモジュールの設定
「Watch Emails」モジュールを追加し、監視するフォルダを「INBOX」に設定します。フィルター条件として「has:attachment」を入力することで、添付ファイル付きのメールのみを対象にできます。
2. Archiveモジュールの設定
「Create an Archive」モジュールを追加し、アーカイブ形式を「ZIP」に設定します。ファイル名は「{{1.date}}_{{1.from.address}}_backup.zip」のように動的に設定すると、後から探しやすくなります。
3. Google Driveへのアップロード
最後に「Upload a File」モジュールで、作成したZIPファイルを指定のフォルダにアップロードします。フォルダ構造を「/Backups/{{formatDate(1.date; “YYYY/MM”)}}」のように年月別に整理すると管理が楽になります。
このシナリオを実行すると、添付ファイル付きメールを受信するたびに、自動的に圧縮・バックアップが実行されます。私の場合、このシナリオだけで月間約20時間の作業時間を削減できました。
シナリオ2:ZIPファイルの自動解凍と内容確認
次は、特定のフォルダに保存されたZIPファイルを自動的に解凍し、内容をSlackに通知するシナリオです。
必要なモジュール:
- Google Drive – Watch Files in a Folder
- Archive – Extract an Archive
- Tools – Set Variable(複数)
- Slack – Create a Message
設定手順:
1. フォルダ監視の設定
「Watch Files in a Folder」で監視対象フォルダを指定し、ファイルタイプフィルターに「application/zip」を設定します。
2. ZIPファイルの解凍
「Extract an Archive」モジュールで受信したZIPファイルを解凍します。解凍後のファイル情報は配列として取得できます。
3. ファイル情報の整理
「Set Variable」モジュールを使用して、解凍されたファイルの数、種類、合計サイズなどの情報を変数に格納します。
4. Slackへの通知
最後に、整理した情報をSlackに通知します。メッセージには「{{3.fileName}}を解凍しました。ファイル数:{{4.fileCount}}、合計サイズ:{{4.totalSize}}MB」のような形式で情報を含めます。
このシナリオにより、圧縮ファイルの中身を確認する作業が完全に自動化され、重要なファイルの見落としもなくなりました。
シナリオ3:ExcelファイルのPDF自動変換
最後は、ExcelファイルをPDFに自動変換し、関係者にメール送信するシナリオです。
必要なモジュール:
- OneDrive – Watch Files
- CloudConvert – Convert a File
- Gmail – Send an Email
設定手順:
1. Excelファイルの監視
OneDriveの特定フォルダを監視し、新しいExcelファイルが追加されたら処理を開始します。
2. PDF変換の実行
CloudConvertモジュールを使用して、ExcelファイルをPDFに変換します。変換オプションで「ページサイズ」や「向き」を指定できます。
3. メール送信
変換されたPDFファイルを添付して、指定の宛先にメール送信します。件名や本文には元のファイル名や変換日時を含めると管理しやすくなります。
エラー処理と最適化のポイント
自動化シナリオを安定して運用するために、以下の点に注意しましょう:
- エラーハンドリング:各モジュールにエラーハンドラーを設定し、失敗時の再試行やアラート送信を設定
- ファイルサイズの制限:大きすぎるファイルは処理をスキップし、別途通知する仕組みを構築
- 実行頻度の調整:ファイルの受信頻度に応じて、シナリオの実行間隔を最適化
- ログの記録:処理履歴をスプレッドシートに記録し、後から確認できるようにする
他の自動化ツールとの比較
ファイル操作の自動化には、Make以外にもいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
Zapier vs Make
Zapierは使いやすさで優れていますが、ファイル操作に関してはMakeの方が柔軟性が高いです。特に、Makeの「Archive」モジュールは圧縮・解凍の操作が直感的で、複雑な条件分岐も視覚的に設定できます。価格面でも、月間10,000オペレーションまでならMakeの方が約30%安価です。
Power Automate vs Make
Microsoft製品との連携ならPower Automateが強力ですが、Google WorkspaceやSlackなど幅広いサービスとの連携を考えるとMakeに軍配が上がります。また、MakeはMake完全ガイド記事でも解説しているように、ノーコードでの実装が可能なため、技術的なハードルも低いです。
プログラミング(Python等)vs Make
完全なカスタマイズが必要な場合はプログラミングが適していますが、開発・保守のコストを考えるとMakeの方が圧倒的に効率的です。私の経験では、Pythonで3日かかった自動化処理が、Makeでは2時間で実装できました。
まとめ:今すぐ始められるファイル自動化
この記事では、Makeを使ったファイル操作の自動化について、実践的な3つのシナリオを通じて解説しました。圧縮・解凍・変換といった日常的な作業を自動化することで、年間数百時間の時間を節約できます。
まずは、あなたが日々行っているファイル操作の中で、最も時間がかかっている作業を1つ選んで自動化してみてください。Makeの無料プランでも月間1,000オペレーションまで利用可能なので、小規模な自動化から始められます。
自動化の第一歩を踏み出すことで、あなたの業務効率は確実に向上します。そして空いた時間を、より創造的で価値の高い仕事に充てることができるようになるでしょう。
さらに詳しいMakeの使い方については、Make完全ガイド記事で基本から応用まで幅広く解説していますので、ぜひ参考にしてください。