グローバル化が進む現代、ビジネスで多言語対応は避けて通れない課題となっています。
「商品説明を英語、中国語、韓国語に翻訳したいけど、毎回手作業で翻訳サービスを使うのは時間がかかりすぎる…」
「ブログ記事を複数言語で展開したいが、翻訳費用が高額で躊躇している」
こんな悩みを抱えていませんか?
本記事では、ノーコードツール「Make」とGoogle翻訳APIを組み合わせることで、翻訳作業を完全自動化する方法を詳しく解説します。
実際に私が構築した自動化フローでは、1ヶ月あたり約40時間の翻訳作業時間を削減し、翻訳費用を80%カットすることに成功しました。
この記事を読めば、プログラミング知識がなくても、今日から多言語対応の自動化システムを構築できるようになります。
なぜ今、多言語対応の自動化が必要なのか
日本国内市場の縮小に伴い、多くの企業が海外展開を視野に入れています。実際、経済産業省の調査によると、越境ECの市場規模は2025年までに4.8兆円に達すると予測されています。
しかし、多言語対応には以下のような課題があります:
- 翻訳コストの問題:プロの翻訳者に依頼すると、1文字あたり10〜30円の費用がかかります
- 時間的制約:翻訳会社への発注から納品まで数日から1週間かかることも
- 更新頻度の課題:商品情報やブログ記事を頻繁に更新する場合、都度翻訳が必要
- 品質の一貫性:複数の翻訳者に依頼すると、用語や表現の統一が困難
私自身、ECサイトを運営していた時、300点以上の商品説明を5言語に翻訳する必要があり、見積もりを取ったところ200万円以上の費用がかかることが判明しました。
そこで辿り着いたのが、MakeとGoogle翻訳APIを使った自動化ソリューションです。初期設定に2〜3時間かかりましたが、その後は完全自動で翻訳が実行され、月額費用も1万円以下に抑えることができました。
特に以下のような方にとって、この自動化は大きな価値をもたらします:
- ECサイト運営者で商品情報を多言語化したい方
- ブログやメディアを運営し、グローバル読者を獲得したい方
- 社内文書を多言語化する必要がある企業の担当者
- 翻訳費用を削減しながら、迅速な多言語対応を実現したい方
MakeとGoogle翻訳APIで構築する自動翻訳システム
それでは、実際にMakeとGoogle翻訳APIを使って自動翻訳システムを構築する方法を解説します。
必要な準備と初期設定
まず、以下の3つを準備する必要があります:
- Makeアカウント:こちらから無料で登録できます
- Google Cloud Platformアカウント:Google翻訳APIを利用するために必要
- 翻訳したいデータ:スプレッドシートやCSVファイルなど
Makeについて詳しく知りたい方は、Make完全ガイド記事で基本的な使い方から応用まで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ステップ1:Google翻訳APIの有効化
Google Cloud Platformにログインし、以下の手順でAPIを有効化します:
- Google Cloud Consoleにアクセス
- 「APIとサービス」→「ライブラリ」を選択
- 「Cloud Translation API」を検索し、有効化
- 認証情報を作成し、APIキーを取得
APIキーは後でMakeで使用するので、安全な場所に保管してください。Google翻訳APIの料金は、月間50万文字まで無料で、それ以降は100万文字あたり20ドルとなっています。
ステップ2:Makeでシナリオを作成
Makeにログインし、新しいシナリオを作成します。今回は、Googleスプレッドシートの商品情報を自動的に翻訳するフローを構築します。
基本的な構成は以下の通りです:
- トリガーモジュール:Googleスプレッドシートの「Watch Rows」モジュールを設定
- 翻訳モジュール:Google翻訳APIモジュールで日本語から英語、中国語、韓国語に翻訳
- 出力モジュール:翻訳結果を別のスプレッドシートに書き込み
ステップ3:詳細な設定方法
1. Googleスプレッドシートモジュールの設定
「Watch Rows」モジュールを追加し、以下を設定します:
- 接続:Googleアカウントと連携
- スプレッドシート:翻訳元のシートを選択
- シート:対象のシート名を指定
- 行の範囲:監視する行の範囲(例:A2:E1000)
2. Google翻訳APIモジュールの設定
HTTPモジュールを使用してAPIを呼び出します:
- URL:https://translation.googleapis.com/language/translate/v2
- メソッド:POST
- ヘッダー:Content-Type: application/json
- ボディ:翻訳テキスト、ソース言語、ターゲット言語を指定
実際のボディの例:
{ "q": "{{1.商品名}}", "source": "ja", "target": "en", "key": "YOUR_API_KEY" }
3. 複数言語への対応
英語、中国語、韓国語への翻訳を並列で実行するには、「Router」モジュールを使用します。これにより、1つの入力から複数の翻訳処理を同時に実行できます。
ステップ4:エラー処理と最適化
自動化システムを安定的に運用するため、以下の設定を推奨します:
- エラーハンドリング:各モジュールにエラーハンドラーを設定し、失敗時の再試行を設定
- レート制限:APIの制限を超えないよう、処理間隔を調整
- ログ記録:翻訳履歴と結果をデータストアに保存
私の経験では、1分間に60件以上の翻訳を実行すると、APIの制限に引っかかることがありました。そのため、「Sleep」モジュールを使って1秒間隔で処理するよう調整しています。
実践的な活用例
実際に私が構築した自動化フローの成果をご紹介します:
ECサイトの商品説明翻訳
- 対象商品数:350点
- 翻訳言語:英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語
- 処理時間:約2時間(手作業なら40時間以上)
- 月額コスト:約8,000円(翻訳会社なら50万円以上)
ブログ記事の多言語化
- 月間記事数:20記事
- 平均文字数:3,000文字/記事
- 翻訳時間:1記事あたり5分(手作業なら2時間)
- 品質:ネイティブチェック後、90%はそのまま使用可能
他の選択肢との比較検証
MakeとGoogle翻訳API以外にも、多言語対応の自動化には複数の選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
1. DeepL APIとの比較
DeepL APIの特徴:
- 翻訳品質:特に欧州言語で高精度
- 料金:月額7,500円〜(50万文字)
- 対応言語:31言語(Google翻訳は100言語以上)
品質重視で欧州言語がメインならDeepL、コストパフォーマンスと対応言語の多さを重視するならGoogle翻訳APIがおすすめです。
2. Zapierとの比較
Zapierの特徴:
- 使いやすさ:初心者向けのUI
- 料金:月額19.99ドル〜(タスク数制限あり)
- カスタマイズ性:Makeより制限が多い
シンプルな自動化ならZapier、複雑な条件分岐やカスタマイズが必要ならMakeが適しています。詳しい比較はMake完全ガイド記事でも解説しています。
3. 翻訳会社への外注との比較
翻訳会社の特徴:
- 品質:専門用語や文脈を考慮した高品質な翻訳
- 料金:1文字10〜30円
- 納期:通常3〜7営業日
医療や法律など専門性の高い文書は翻訳会社、商品説明や一般的なブログ記事は自動化システムという使い分けが効果的です。
まとめと今後のアクション
MakeとGoogle翻訳APIを活用することで、多言語対応の自動化システムを低コストで構築できることがお分かりいただけたと思います。
重要なポイントをまとめると:
- 初期設定は2〜3時間で完了し、その後は完全自動化
- 翻訳コストを80%以上削減可能
- 処理速度は手作業の20倍以上
- エラーハンドリングとレート制限の設定が安定運用の鍵
今すぐ始められる具体的なアクションプラン:
- Makeの無料アカウントを作成
- Google Cloud Platformでアカウントを作成し、翻訳APIを有効化
- 小規模なテストデータで動作確認
- 本番データで自動化フローを構築
さらに詳しい情報や応用的な使い方については、Make完全ガイド記事で、Makeの基本から高度な自動化まで体系的に学ぶことができます。ぜひ参考にして、あなたのビジネスの効率化を実現してください。