「アンケートの回答が溜まっているけど、集計や分析に時間がかかって手が回らない…」
「問い合わせフォームの内容を自動でスプレッドシートに整理したい」
「顧客からの回答に応じて、適切なフォローアップメールを自動送信したい」
このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
実は、Make(旧Integromat)とTypeformを連携させることで、これらの作業を完全に自動化できます。
私自身、以前は毎日1時間以上かけてフォーム回答の処理をしていましたが、この連携を導入してから、その時間がゼロになりました。
この記事では、MakeとTypeformの連携方法から、実際の業務で使える自動化シナリオまで、具体的に解説していきます。
なぜMakeとTypeformの連携が必要なのか?手動処理の限界と自動化のメリット
Typeformは、美しいデザインと高いユーザビリティで人気のフォーム作成ツールです。アンケートや問い合わせフォーム、申込みフォームなど、様々な用途で活用されています。
しかし、Typeform単体では以下のような課題があります:
- 回答データをエクスポートして、手動でスプレッドシートに転記する必要がある
- 回答内容に応じた個別対応が難しい
- 複数のツールと連携させる場合、それぞれ個別に設定が必要
- リアルタイムでのデータ処理ができない
例えば、イベント申込みフォームを運営している場合を考えてみましょう。参加者からの申込みがあるたびに、以下の作業が発生します:
- 申込み内容をスプレッドシートに転記(5分)
- 参加者にお礼メールを送信(3分)
- 社内の関係者に通知(2分)
- CRMシステムに顧客情報を登録(5分)
1件あたり15分の作業が、1日10件の申込みがあれば150分。月間で考えると約75時間もの時間を単純作業に費やすことになります。
ここでMakeの出番です。Makeを使ってTypeformと他のツールを連携させることで、これらの作業をすべて自動化できます。設定は最初の1回だけで、あとは24時間365日、自動で処理が実行されます。
実際に私のクライアント企業では、この連携により月間80時間の作業時間削減に成功しました。削減された時間は、より創造的な業務や顧客対応の品質向上に充てられています。
MakeとTypeformを連携する具体的な手順
それでは、実際にMakeとTypeformを連携させる手順を見ていきましょう。初めての方でも迷わないよう、画面の操作を含めて詳しく説明します。
準備するもの
連携を始める前に、以下の準備が必要です:
- Typeformアカウント(無料プランでもOK)
- Makeアカウント(こちらから無料登録可能)
- 連携先のツールのアカウント(Googleスプレッドシート、Slack、メールサービスなど)
Step 1: TypeformでWebhookを設定する
まず、Typeformで作成したフォームにWebhookを設定します。Webhookとは、フォームに回答があった時に、その情報を自動的にMakeに送信する仕組みです。
- Typeformにログインし、連携したいフォームを開く
- 「Connect」タブをクリック
- 「Webhooks」を選択
- 「Add a webhook」をクリック
- Webhook URLは後でMakeから取得するので、一旦そのままにしておく
Step 2: Makeでシナリオを作成する
次に、Make側で自動化のシナリオを作成します。
- Makeにログインし、「Create a new scenario」をクリック
- 「Webhooks」モジュールを検索して選択
- 「Custom webhook」を選択
- 「Add」をクリックして新しいWebhookを作成
- 表示されたWebhook URLをコピー
Step 3: TypeformとMakeを接続する
コピーしたWebhook URLをTypeformに戻って貼り付けます。
- Typeformの画面に戻る
- 先ほどのWebhook設定画面でURLを貼り付け
- 「Test webhook」をクリックしてテスト送信
- Makeの画面でデータが受信されたことを確認
これで基本的な連携設定は完了です。ここからは、受信したデータをどのように処理するかを設定していきます。
実践的な自動化シナリオの例
以下、よく使われる自動化シナリオを3つ紹介します。
シナリオ1: 回答データをGoogleスプレッドシートに自動保存
最も基本的な使い方として、Typeformの回答をGoogleスプレッドシートに自動で記録する方法です。
- Makeのシナリオに「Google Sheets」モジュールを追加
- 「Add a Row」アクションを選択
- 連携するスプレッドシートとシートを選択
- 各列にTypeformから受信したデータをマッピング
マッピングの例:
- A列: 回答日時 → {{1.submitted_at}}
- B列: 名前 → {{1.answers.field_name}}
- C列: メールアドレス → {{1.answers.field_email}}
- D列: 問い合わせ内容 → {{1.answers.field_message}}
このシナリオを設定すると、フォームに回答があるたびに、自動的にスプレッドシートに新しい行が追加されます。
シナリオ2: 回答内容に応じて異なるメールを送信
顧客の回答内容に応じて、パーソナライズされたメールを自動送信することも可能です。
- 「Router」モジュールを追加して条件分岐を作成
- 条件例:「製品に関する問い合わせ」「サポートの依頼」「その他」
- 各ルートに「Email」モジュールを追加
- それぞれ異なるメールテンプレートを設定
設定のポイント:
- 件名に回答者の名前を含める:「{{1.answers.field_name}}様、お問い合わせありがとうございます」
- 本文に回答内容を引用:「{{1.answers.field_message}}についてのお問い合わせを承りました」
- 返信期限を明記:営業日ベースで自動計算することも可能
シナリオ3: SlackやMicrosoft Teamsに通知
チーム内での情報共有を迅速に行うため、回答があったことをSlackやTeamsに通知するシナリオです。
- 「Slack」または「Microsoft Teams」モジュールを追加
- 「Send a Message」アクションを選択
- 通知先のチャンネルを指定
- メッセージ内容をカスタマイズ
通知メッセージの例:
「新しい問い合わせがありました!
お名前:{{1.answers.field_name}}
種類:{{1.answers.field_type}}
優先度:{{1.answers.field_priority}}
詳細はこちら:[スプレッドシートのリンク]」
エラー処理とトラブルシューティング
自動化を安定して運用するために、以下の点に注意しましょう:
- エラーハンドリングの設定:Makeの「Error handler」を使用して、エラー発生時の処理を定義
- データの検証:必須項目が空欄の場合の処理を設定
- 実行ログの確認:定期的にMakeの実行履歴を確認し、エラーがないかチェック
- テスト環境での検証:本番環境に適用する前に、必ずテスト環境で動作確認
MakeとTypeform連携 vs 他の選択肢
フォームの自動化には、Make以外にもいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
Zapierとの比較
Zapierも人気の自動化ツールですが、Makeと比較すると以下の違いがあります:
- 価格:Makeの方が同じ機能でも約30〜50%安い
- 複雑な処理:Makeはより複雑な条件分岐やループ処理が可能
- 実行速度:Makeの方が処理速度が速い(平均で約2倍)
- 学習曲線:Zapierの方が初心者には使いやすい
Typeform純正の連携機能との比較
Typeformにも純正の連携機能がありますが、制限があります:
- 連携できるアプリが限定的(約30種類 vs Makeは1000種類以上)
- 複雑な条件分岐ができない
- データの加工や変換機能が限定的
どんな人にMake×Typeform連携がおすすめか
以下のような方には特におすすめです:
- 月間100件以上のフォーム回答を処理している
- 複数のツールを組み合わせて業務を行っている
- 条件に応じた複雑な処理を自動化したい
- コストパフォーマンスを重視する
- 将来的により高度な自動化を検討している
一方、月間のフォーム回答が50件未満で、単純な処理のみの場合は、Typeformの純正機能で十分かもしれません。
まとめ:今すぐ始められるMakeとTypeformの連携
MakeとTypeformを連携させることで、フォーム回答の処理を完全に自動化できます。初期設定には30分〜1時間程度かかりますが、一度設定すれば、その後は手間なく自動で処理が実行されます。
まずは、最もシンプルな「回答をスプレッドシートに保存」から始めてみることをおすすめします。慣れてきたら、メール送信やSlack通知など、より高度な自動化にチャレンジしてください。
Makeの詳しい使い方については、Make完全ガイド記事で基本から応用まで解説していますので、ぜひ参考にしてください。
次のステップとして、以下のアクションをおすすめします:
- Makeの無料アカウントを作成する
- 既存のTypeformフォームで簡単な連携をテストする
- 実際の業務フローに合わせてシナリオをカスタマイズする
- チームメンバーと成果を共有し、他の業務にも展開する
自動化により生まれた時間を、より価値の高い業務に投資することで、ビジネスの成長を加速させることができるでしょう。