「業務を自動化したいけれど、MakeとRPAツールのどちらを選べばいいのか分からない」
「API連携とデスクトップ操作の違いがよく理解できない」
「自社の業務にはどちらの自動化ツールが適しているのだろう」
こんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
私も以前、同じような悩みを抱えていました。
業務効率化のために自動化ツールの導入を検討していた際、MakeとRPAツールの違いがよく分からず、どちらを選ぶべきか判断に迷った経験があります。
この記事では、MakeとRPAツールの本質的な違いを明確にし、それぞれの得意分野と使い分けのポイントを詳しく解説します。
読み終わる頃には、あなたの業務にどちらのツールが適しているか、明確に判断できるようになっているはずです。
MakeとRPAツールの根本的な違いを理解する
まず、MakeとRPAツールの違いを理解するために、それぞれの基本的な特徴を見ていきましょう。
Makeの基本的な仕組み
Makeは、クラウドベースの統合プラットフォームです。異なるWebサービスやアプリケーションをAPI(Application Programming Interface)を通じて接続し、データの受け渡しや処理を自動化します。
例えば、Googleフォームで収集したデータを自動的にスプレッドシートに保存し、さらにそのデータをSlackに通知するといった一連の流れを、プログラミング知識なしで構築できます。
Makeの詳しい機能や使い方については、Make完全ガイド記事で網羅的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
RPAツールの基本的な仕組み
一方、RPA(Robotic Process Automation)ツールは、人間がコンピュータ上で行う操作を記録・再現するソフトウェアロボットです。マウスのクリック、キーボード入力、画面の読み取りなど、デスクトップ上での操作を自動化します。
具体的には、請求書データをExcelから基幹システムに転記する作業や、複数のアプリケーション間でのコピー&ペースト作業などを自動化できます。
動作環境の違い
両者の最も大きな違いは、動作環境にあります。
- Make:クラウド上で動作し、24時間365日稼働可能
- RPAツール:ローカルPC上で動作し、PCの電源が入っている間のみ稼働
この違いにより、それぞれが得意とする業務領域が明確に分かれています。
それぞれの得意分野と具体的な使用例
MakeとRPAツールには、それぞれ明確な得意分野があります。実際の使用例を交えながら、詳しく見ていきましょう。
Makeが得意とする業務
Makeは以下のような業務で真価を発揮します。
1. クラウドサービス間のデータ連携
例えば、ECサイトの注文データをCRMに自動登録し、同時に在庫管理システムを更新する処理などです。私が実際に構築したシステムでは、Shopifyの注文データをGoogleスプレッドシートに記録し、在庫が少なくなったら自動的にSlackに通知する仕組みを作りました。
2. リアルタイムのデータ処理
Webhookを使用して、特定のイベントが発生した瞬間に処理を開始できます。例えば、お問い合わせフォームに入力があった瞬間に、内容に応じて適切な担当者にメールを振り分ける処理などです。
3. 定期的なデータ収集と分析
毎朝9時に複数のマーケティングツールからデータを収集し、レポートを作成してメールで送信するといった定期処理も得意です。
RPAツールが得意とする業務
一方、RPAツールは以下のような業務で力を発揮します。
1. レガシーシステムとの連携
APIが提供されていない古いシステムでも、画面操作を通じて自動化できます。例えば、20年前に開発された社内システムへのデータ入力作業も自動化可能です。
2. 複雑な画面操作を伴う業務
複数のアプリケーションを行き来しながら、データをコピー&ペーストする作業などです。実際に、ある企業では請求書PDFから必要な情報を読み取り、会計システムに転記する作業を自動化し、月間40時間の削減に成功しました。
3. 人間の判断を模倣する処理
画面上の特定の要素を認識し、条件に応じて異なる操作を行うような、より複雑な処理も可能です。
導入時の判断基準と選び方のポイント
では、実際にどちらのツールを選ぶべきか、判断基準を整理してみましょう。
Makeを選ぶべきケース
以下の条件に当てはまる場合は、Makeの導入を検討すべきです。
- 主にクラウドサービス間の連携を自動化したい
- 24時間365日、継続的に処理を実行したい
- 初期投資を抑えて始めたい(無料プランから開始可能)
- プログラミング知識がなくても構築・修正したい
- スケーラビリティを重視する(処理量の増減に柔軟に対応)
実際に、私が支援した中小企業では、月額2,000円程度のコストで、顧客管理から請求書発行まで一連の業務を自動化できました。詳しい料金体系や始め方については、Makeの公式サイトで確認できます。
RPAツールを選ぶべきケース
一方、以下の条件に当てはまる場合は、RPAツールが適しています。
- デスクトップアプリケーションの操作を自動化したい
- APIが提供されていないシステムと連携する必要がある
- 画面認識や画像認識を使った処理が必要
- 既存の業務フローを大きく変更せずに自動化したい
- セキュリティ上、データをクラウドに送信できない
ハイブリッドアプローチの可能性
実は、MakeとRPAツールは競合関係にあるわけではありません。むしろ、両者を組み合わせることで、より強力な自動化システムを構築できます。
例えば、RPAツールでローカルシステムからデータを抽出し、そのデータをMakeを通じてクラウドサービスに連携するといった使い方です。この組み合わせにより、レガシーシステムとモダンなクラウドサービスをシームレスに接続できます。
導入前に確認すべき重要なポイント
どちらのツールを選ぶにせよ、導入前に確認すべき重要なポイントがあります。
コスト面の比較
Makeのコスト構造
- 無料プランから始められる(月1,000オペレーションまで)
- 有料プランは月額9ドルから
- 使用量に応じた従量課金制
- 初期投資がほとんど不要
RPAツールのコスト構造
- ライセンス費用が年間数十万円から数百万円
- 導入時のコンサルティング費用
- 保守・運用費用
- 規模によってはROIが高い
技術的な要件
Makeの技術要件
- インターネット接続環境
- 連携したいサービスのアカウント
- 基本的なIT知識(プログラミング不要)
RPAツールの技術要件
- Windows PCまたはサーバー
- 一定以上のマシンスペック
- ツールごとの専門知識
- 場合によってはプログラミング知識
セキュリティの考慮事項
両ツールともセキュリティは重要な検討事項です。Makeはクラウドサービスであるため、データの暗号化や認証方式を確認する必要があります。一方、RPAツールはローカル環境で動作するため、アクセス権限の管理が重要になります。
成功事例から学ぶ活用のコツ
実際の成功事例から、それぞれのツールの効果的な活用方法を学んでみましょう。
Make活用の成功事例
ある通販企業では、以下のような自動化を実現しました。
- 注文受付(Shopify)→ 在庫確認(Googleスプレッドシート)
- 在庫確認OK → 配送指示(配送管理システムAPI)
- 配送完了 → 顧客へのフォローメール(Gmail)
- 購入7日後 → レビュー依頼メール自動送信
この仕組みにより、注文処理にかかる時間を80%削減し、顧客満足度も向上しました。
RPA活用の成功事例
ある金融機関では、以下の業務をRPAで自動化しました。
- PDFの請求書から必要情報を抽出
- 社内システムに自動入力
- 承認ワークフローの起動
- 処理結果のレポート作成
月間500件以上の請求書処理を自動化し、処理時間を90%削減、ミスもゼロになりました。
まとめ:あなたに最適な自動化ツールを選ぶために
MakeとRPAツールは、それぞれ異なる強みを持つ自動化ツールです。
Makeは、クラウドサービス間の連携に特化し、低コストで始められる点が魅力です。一方、RPAツールは、デスクトップ操作の自動化やレガシーシステムとの連携に優れています。
選択の際は、自社の業務内容、予算、技術力、将来的な拡張性を総合的に判断することが重要です。まずは無料で試せるMakeから始めて、自動化の効果を実感してみるのも良い選択肢でしょう。
業務自動化の第一歩として、Make完全ガイド記事を参考に、簡単な自動化から始めてみてはいかがでしょうか。小さな成功体験が、大きな業務改革への第一歩となるはずです。