毎月の給与計算と経理処理に追われていませんか?
給与明細の作成、振込データの準備、そして会計ソフトへの仕訳入力。
これらの作業に月末から月初にかけて、何時間も費やしている経理担当者の方は多いのではないでしょうか。
私も以前は、給与ソフトと会計ソフトが別々だったため、データの二重入力や転記ミスに悩まされていました。
しかし、マネーフォワード クラウド会計とクラウド給与を連携させることで、これらの問題は一気に解決しました。
本記事では、両サービスの連携方法から実際の活用事例まで、4年間の運用経験を基に詳しく解説します。
給与計算と会計処理の分断がもたらす3つの大きな問題
多くの企業では、給与計算と会計処理が別々のシステムで管理されています。この分断は、経理業務に大きな負担をもたらしています。
1. データの二重入力による作業時間の増大
給与計算ソフトで算出した給与総額、社会保険料、源泉所得税などの数値を、再度会計ソフトに手入力する必要があります。従業員50名規模の企業では、この作業だけで月に3〜4時間かかることも珍しくありません。
2. 転記ミスによる修正作業の発生
手作業での転記は、どんなに注意していてもミスが発生します。実際、私が担当していた企業では、月に1〜2件の転記ミスが発生し、その都度修正作業に30分〜1時間を要していました。年間で見ると、12〜24時間もの時間をミスの修正に費やしていた計算になります。
3. リアルタイムでの経営数値把握の困難
給与データの会計反映が遅れると、正確な月次決算が遅れます。経営判断に必要な人件費率や労働分配率などの重要指標も、タイムリーに把握できません。特に成長期のスタートアップや中小企業にとって、この遅れは致命的な経営判断の遅れにつながる可能性があります。
これらの問題は、単なる作業効率の問題ではありません。経理担当者の残業増加、ミスによる信頼性の低下、そして何より経営判断の遅れという、企業の成長を阻害する要因となっているのです。
マネーフォワード クラウド会計とクラウド給与の連携で実現する業務効率化
マネーフォワードのクラウドサービス間連携は、これらの問題を根本から解決します。実際の連携設定から活用方法まで、段階的に解説していきます。
連携設定の具体的な手順
ステップ1:事前準備
- マネーフォワード クラウド会計のアカウント作成(まだの方はこちらの徹底ガイドを参照)
- マネーフォワード クラウド給与のアカウント作成
- 両サービスで同一の事業者IDを使用していることを確認
ステップ2:クラウド給与側での連携設定
- クラウド給与にログイン後、「設定」メニューから「外部連携」を選択
- 「マネーフォワード クラウド会計との連携」をクリック
- 連携する勘定科目の設定(給料手当、法定福利費、預り金など)
- 部門別管理を行う場合は、部門コードの紐付けを設定
ステップ3:連携テストの実施
少額のテストデータで連携を確認することを強く推奨します。実際の給与データを連携する前に、正しく仕訳が作成されるかを必ず確認しましょう。
連携後の業務フローの変化
連携設定が完了すると、給与計算から会計処理までの流れが劇的に変わります。
従来の業務フロー(連携前):
- 給与計算ソフトで給与計算(60分)
- 給与明細の印刷・配布(30分)
- 振込データの作成(20分)
- 給与データを会計ソフトに手入力(40分)
- 仕訳の確認と修正(20分)
合計所要時間:約170分
新しい業務フロー(連携後):
- クラウド給与で給与計算(60分)
- Web給与明細の自動配信(0分)
- 振込データの自動作成(5分)
- 会計データの自動連携(0分)
- 仕訳の確認のみ(10分)
合計所要時間:約75分
実に95分、率にして56%の時間削減を実現できました。
実際の活用事例:A社(従業員80名)のケース
私がコンサルティングを担当したA社では、以下のような成果を上げています。
導入前の課題:
- 給与計算と会計処理に月40時間以上を費やしていた
- 部門別の人件費管理ができていなかった
- 月次決算が翌月15日頃まで確定しなかった
導入後の成果:
- 処理時間が月15時間に短縮(62.5%削減)
- 部門別人件費が自動集計され、各部門長へのフィードバックが可能に
- 月次決算が翌月5営業日で確定するように
特に注目すべきは、単なる時間削減だけでなく、経営管理の質が向上した点です。部門別の労働分配率がリアルタイムで把握できるようになり、適切な人員配置の判断が可能になりました。
連携時の注意点と失敗の回避方法
4年間の運用経験から、以下の点に特に注意が必要です。
1. 勘定科目の設定ミス
最も多い失敗は、給与側と会計側で勘定科目の設定が異なることです。例えば、通勤手当を「給料手当」に含めるか「旅費交通費」として別計上するかは、事前に明確にしておく必要があります。
2. 部門コードの不一致
部門別管理を行う場合、両システムで部門コードを統一する必要があります。後から変更すると過去データとの整合性が取れなくなるため、導入時に慎重に設計しましょう。
3. 締め日の相違
給与締め日と会計の締め日が異なる場合、未払給与の計上タイミングに注意が必要です。月末締めでない場合は、別途調整仕訳が必要になることがあります。
他の給与・会計連携サービスとの比較
マネーフォワード以外にも、給与と会計を連携できるサービスは存在します。主要なサービスとの比較を行いました。
freee人事労務 + freee会計
メリット:
- UIが統一されており、操作性が高い
- 年末調整から確定申告まで一貫して処理可能
デメリット:
- 他社サービスとの連携が限定的
- カスタマイズ性がマネーフォワードに比べて低い
弥生給与 + 弥生会計
メリット:
- 長年の実績があり、安定性が高い
- 税理士・会計士の対応率が高い
デメリット:
- クラウド対応が遅れており、インストール型が中心
- 月額費用が割高(クラウド版の場合)
マネーフォワードを選ぶべき企業の特徴
- 複数拠点や部門別の管理を重視する企業
- 経費精算や請求書管理など、他業務も含めて効率化したい企業
- API連携で独自システムとの接続を検討している企業
- コストパフォーマンスを重視する中小企業
特に、マネーフォワードは他のクラウドサービス(経費精算、請求書、勤怠管理など)との連携が充実しているため、バックオフィス業務全体の効率化を目指す企業には最適です。
まとめ:給与と会計の連携で実現する経理業務の未来
マネーフォワード クラウド会計とクラウド給与の連携は、単なる作業時間の削減以上の価値をもたらします。
本記事で解説した連携により、以下の成果が期待できます:
- 給与計算から会計処理までの時間を50%以上削減
- 転記ミスの完全排除による信頼性の向上
- リアルタイムでの経営数値把握
- 経理担当者がより付加価値の高い業務に注力できる環境
次のステップとして、まずはマネーフォワード クラウド会計の1ヶ月無料トライアルを始めることをお勧めします。実際に触れてみることで、本記事で紹介した効率化の効果を実感できるはずです。
さらに詳しい導入方法や活用テクニックについては、「マネーフォワード クラウド会計」徹底ガイドで包括的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
給与計算と会計処理の統合は、これからの経理業務のスタンダードになります。早期に導入することで、競合他社に対する優位性を確保し、より戦略的な経営判断に集中できる環境を整えましょう。