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個人事業主の節税と退職金づくりに「小規模企業共済」のすすめ

個人事業主として独立して数年。

事業は順調に成長しているものの、ふと老後のことを考えると不安になりませんか?

会社員のような退職金もなければ、厚生年金もない。

かといって、今の税金負担を考えると、なかなか貯蓄に回すお金も作れない…

そんな個人事業主の悩みを一気に解決してくれる制度があります。

それが「小規模企業共済」です。

この記事では、小規模企業共済の仕組みから加入方法、具体的な節税効果まで、実際に加入している私の経験を交えながら詳しく解説します。

読み終わる頃には、あなたも小規模企業共済への加入を真剣に検討したくなるはずです。

個人事業主が直面する「老後資金」と「節税」の二重苦

個人事業主として独立する際、多くの人が開業準備に追われ、老後のことまで考える余裕がないのが現実です。しかし、事業が軌道に乗り始めると、次第に将来への不安が頭をもたげてきます。

会社員との格差は想像以上に大きい

会社員の場合、厚生年金と企業年金を合わせると、月額20万円以上の年金を受け取ることも珍しくありません。一方、個人事業主が加入する国民年金の満額支給額は月額約6.7万円(2024年度)。この差は月額13万円以上にもなります。

さらに、会社員には退職金制度があります。大企業の場合、定年退職時の平均退職金は2,000万円を超えることも。個人事業主にはこうした制度がないため、すべて自分で準備する必要があります。

節税対策の限界

個人事業主の多くは、経費計上による節税対策を行っています。しかし、経費として認められる範囲には限界があり、税務調査のリスクも考慮すると、無理な経費計上は避けたいところです。

また、青色申告特別控除(最大65万円)を活用していても、事業所得が増えれば増えるほど税負担は重くなります。所得税の最高税率は45%、これに住民税10%を加えると、稼いだお金の半分以上が税金として徴収されることになります。

貯蓄と投資のジレンマ

老後資金を準備しようと思っても、高い税金を払った後の手取りから貯蓄や投資に回すのは容易ではありません。特に事業の運転資金も確保しなければならない個人事業主にとって、長期的な資産形成は後回しになりがちです。

小規模企業共済が個人事業主の救世主になる理由

こうした個人事業主の悩みを解決する制度として注目されているのが「小規模企業共済」です。この制度は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する、小規模企業の経営者や個人事業主のための退職金制度です。

小規模企業共済の基本的な仕組み

小規模企業共済は、毎月一定額を掛金として積み立て、廃業時や退職時に共済金として受け取る制度です。掛金は月額1,000円から7万円まで、500円単位で自由に設定できます。

最大の特徴は、掛金の全額が所得控除の対象となることです。つまり、老後資金を積み立てながら、同時に節税効果も得られる一石二鳥の制度なのです。

驚きの節税効果を具体例で検証

実際にどれくらいの節税効果があるのか、具体例で見てみましょう。

【ケース1】課税所得400万円の個人事業主が月額3万円(年額36万円)を掛金とした場合

  • 所得税の節税額:約7.2万円
  • 住民税の節税額:約3.6万円
  • 合計節税額:約10.8万円

つまり、36万円の掛金に対して10.8万円の節税効果があるため、実質的な負担は25.2万円となります。これは約30%の利回りに相当します。

【ケース2】課税所得800万円の個人事業主が月額7万円(年額84万円)を掛金とした場合

  • 所得税の節税額:約27.7万円
  • 住民税の節税額:約8.4万円
  • 合計節税額:約36.1万円

この場合、84万円の掛金に対して36.1万円もの節税効果が得られます。実質的な負担は47.9万円となり、約43%の利回りに相当します。

共済金の受け取り方法も柔軟

小規模企業共済の共済金は、以下のような場合に受け取ることができます。

  • 個人事業を廃業したとき
  • 65歳以上で180か月以上掛金を納付したとき
  • 法人成りしたとき(条件あり)
  • 共済契約者が亡くなったとき

受け取り方法も「一括受取り」「分割受取り」「一括受取りと分割受取りの併用」から選択できます。一括受取りの場合は退職所得扱い、分割受取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなり、いずれも税制上の優遇措置があります。

加入条件と手続きの流れ

小規模企業共済に加入できるのは、以下の条件を満たす方です。

  • 常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主または会社役員
  • 事業に従事する組合員が20人以下の企業組合の役員
  • 常時使用する従業員が20人以下の協業組合の役員
  • 常時使用する従業員が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  • 常時使用する従業員が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員

個人事業主の場合、まずは開業届を提出して事業を開始していることが前提となります。

加入手続きは以下の流れで進めます。

  1. 必要書類の準備
    契約申込書、預金口座振替申出書、確定申告書の控え(事業所得の記載があるもの)、開業届の控えなど
  2. 窓口での申込み
    商工会議所、商工会、青色申告会、中小企業団体中央会、中小企業基盤整備機構の委託団体、金融機関(銀行、信用金庫など)で申込み可能
  3. 審査と契約
    提出書類の審査後、約40日で「小規模企業共済手帳」と「小規模企業共済制度加入者のしおり」が送付されます

知っておきたい注意点とデメリット

小規模企業共済には多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。

1. 元本割れのリスク
掛金納付月数が240か月(20年)未満で任意解約した場合、受け取れる解約手当金は掛金合計額を下回ります。ただし、廃業や死亡による共済金の場合は、納付月数に関わらず掛金を上回る共済金が支払われます。

2. 掛金の変更は年1回まで
掛金の増額・減額は可能ですが、減額は年1回までという制限があります。事業の状況に応じて柔軟に変更したい場合は注意が必要です。

3. 貸付制度の利用には注意
小規模企業共済には、掛金の範囲内で事業資金等の貸付を受けられる制度があります。しかし、貸付を受けている間はその分の共済金が減額されるため、老後資金の準備という本来の目的から外れてしまう可能性があります。

他の制度との比較で見える小規模企業共済の優位性

個人事業主が利用できる老後資金準備の制度は、小規模企業共済以外にもあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)との比較

iDeCoも掛金が全額所得控除となる点では小規模企業共済と同じですが、以下の違いがあります。

  • 掛金上限:iDeCoは月額6.8万円が上限(個人事業主の場合)、小規模企業共済は月額7万円
  • 受給開始年齢:iDeCoは原則60歳から、小規模企業共済は65歳から(ただし廃業時はいつでも可)
  • 運用方法:iDeCoは自分で運用商品を選ぶ必要があるが、小規模企業共済は中小機構が運用
  • 中途解約:iDeCoは原則不可、小規模企業共済は可能(ただし元本割れのリスクあり)

国民年金基金との比較

国民年金基金は、国民年金に上乗せする公的年金制度です。

  • 掛金上限:月額6.8万円(iDeCoと合算)
  • 給付方法:終身年金が基本、小規模企業共済は一時金も選択可
  • 加入後の変更:国民年金基金は加入後の減額・脱退が原則不可、小規模企業共済は可能

付加年金との併用も可能

国民年金の付加年金(月額400円)は、小規模企業共済と併用可能です。付加年金は2年で元が取れる優れた制度なので、併せて加入することをおすすめします。

まとめ:今すぐ小規模企業共済への加入を検討すべき理由

小規模企業共済は、個人事業主にとって「節税」と「老後資金準備」を同時に実現できる最強の制度です。掛金全額が所得控除となることで、実質的に国から補助を受けながら老後資金を積み立てることができます。

特に、課税所得が高い個人事業主ほど節税効果が大きく、年収800万円以上の方なら実質40%以上の利回りに相当する節税効果を得られます。これは、どんな投資商品でも実現困難な高利回りです。

加入手続きも比較的簡単で、最寄りの商工会議所や金融機関で申し込むことができます。必要書類も、開業届と確定申告書の控えがあれば基本的に問題ありません。

ただし、20年未満での任意解約は元本割れのリスクがあるため、無理のない掛金設定から始めることが大切です。月額1,000円から始められるので、まずは少額からスタートし、事業の成長に合わせて増額していくのも良いでしょう。

個人事業主として成功するためには、目先の利益だけでなく、将来への備えも重要です。小規模企業共済への加入は、その第一歩となるはずです。今すぐ資料を取り寄せ、加入に向けた準備を始めてみてはいかがでしょうか。