いよいよ個人事業主としての一歩を踏み出すぞ、と意気込んで開業届を書き始めたものの、「給与所得等の源泉徴収税額」という見慣れない項目で手が止まっていませんか。
「これって何を書けばいいの?」
「そもそも自分の場合、書く必要ある?」
「もし間違えたらどうなるんだろう…」
そんな疑問や不安を抱くのは、あなただけではありません。
特に、会社員から独立してフリーランスや個人事業主になる多くの方が、この項目でつまずきがちです。
この記事では、開業届における「源泉徴収税額」とは何なのか、という基本的な知識から、具体的な確認方法、パターン別の書き方まで、初心者が抱える不安を一つひとつ丁寧に解消していきます。
この記事を読み終える頃には、もう迷うことなく開業届を完成させ、個人事業主としてスムーズなスタートを切れるようになっているはずです。
そもそも開業届に記載する「源泉徴収税額」とは?
開業届を作成していて初めて、「給与所得等の源泉徴収税額」という欄の存在に気づいた方も多いでしょう。まずは、この項目が何のためにあり、なぜ記載が求められるのかを理解することから始めましょう。この背景を知るだけで、不安は大きく軽減されます。
なぜ開業届に「過去の給与」の情報を書く必要があるのか?
「これから始める事業の書類なのに、なぜ辞めた会社の給与情報を?」と不思議に思いますよね。これには、日本の所得税の仕組みが関係しています。
会社員の場合、毎月の給与から所得税が天引き(源泉徴収)され、年末に会社が正しい税額を計算して調整(年末調整)してくれます。しかし、年の途中で会社を退職すると、この年末調整が行われません。
そのため、年の途中で退職して個人事業主になった人は、その年に得た「給与所得」と、これから得る「事業所得」を自分で合算して、翌年に確定申告を行う必要があります。
開業届のこの欄は、いわば税務署に対する「私には年末調整が済んでいない給与所得があり、すでにこれだけの税金を納めていますよ」という事前申告のようなものです。必須項目ではありませんが、記載しておくことで、税務署側があなたの所得状況を把握しやすくなり、その後の確定申告に向けたやり取りがスムーズになる可能性があります。
最も重要なのは、確定申告の際に、すでに納めた源泉徴収税額を、最終的に納めるべき所得税額から差し引く(二重課税を防ぐ)ために、この金額を正確に把握しておく必要がある、という点です。開業届への記載は、その第一歩と言えるでしょう。
「源泉徴収税額」はどこを見ればわかる?源泉徴収票のチェックポイント
では、その「源泉徴収税額」はどこで確認すればよいのでしょうか。答えは、退職時に会社から受け取る「源泉徴収票」にあります。
源泉徴収票には様々な情報が記載されていますが、チェックすべきは主に以下の4つの項目です。
- 支払金額: その年に会社から支払われた給与や賞与の総額です。いわゆる年収にあたります。
- 給与所得控除後の金額: 上記の「支払金額」から、給与所得控除という経費のようなものを差し引いた金額です。
- 所得控除の額の合計額: 社会保険料や生命保険料控除など、所得から差し引ける控除の合計額です。
- 源泉徴収税額: これが目的の金額です。すでにあなたが納めた所得税の合計額が記載されています。
開業届の「給与所得等の源泉徴収税額」の欄には、この「源泉徴収税額」に記載されている数字をそのまま転記すればOKです。
もし源泉徴収票を紛失してしまった、あるいはまだ受け取っていないという場合は、速やかに前の勤務先に連絡し、再発行を依頼しましょう。確定申告の際にも必要になる重要な書類なので、必ず手元に保管しておいてください。
【パターン別】「源泉徴収税額」の書き方と注意点
あなたがどのような状況で開業するのかによって、「源泉徴収税額」の欄の書き方は変わってきます。ここでは、代表的な3つのパターンに分けて、具体的な書き方と注意点を解説します。ご自身の状況と照らし合わせて確認してみてください。
パターン1:年の途中で会社を退職して開業する場合
これが最も一般的なケースです。2025年10月に開業するあなたも、もし年内に会社を退職しているのであれば、このパターンに該当します。
書き方:
前述の通り、退職した会社から受け取った源泉徴収票に記載されている「源泉徴収税額」の金額を、開業届の所定の欄にそのまま書き写します。「所得の種類」は「給与」を選択してください。
注意点:
「もし書き間違えたら…」と心配になるかもしれませんが、過度に恐れる必要はありません。開業届のこの欄は、あくまで見込みを申告するものです。最終的な正しい税額は、翌年の確定申告で計算・納税します。万が一、開業届の数字が間違っていても、確定申告で正しく申告すれば何の問題もありません。安心して記入しましょう。
ちなみに、開業届には「事業の所得の見積額」を記入する欄もありますが、こちらは事業開始前で予測が難しいため、ざっくりとした金額で大丈夫です。0円と書いても問題ありません。
パターン2:会社に在籍しながら「副業」として開業する場合
最近増えているのが、会社員としての安定した収入を確保しつつ、副業として個人事業を始めるケースです。
書き方:
この場合、あなたは引き続き会社で年末調整を受けます。そのため、開業届の「給与所得等の源泉徴収税額」の欄は何も書かずに空欄のままで提出します。
注意点:
開業届に記載は不要ですが、税金の申告が全く不要になるわけではありません。副業で得た事業所得(売上から経費を引いた金額)が年間20万円を超えた場合は、別途、自分で確定申告を行う必要があります。会社の年末調整では、副業の所得は計算されないことを覚えておきましょう。
パターン3:前年に所得がなく、今年から初めて事業を始める場合
大学を卒業してすぐに独立する方や、しばらく専業主婦(主夫)だった方が開業するケースです。
書き方:
このパターンでは、そもそも源泉徴収される元となる給与所得がありません。したがって、「給与所得等の源泉徴収税額」の欄は空欄でOKです。何も心配することはありません。
このように、ご自身の状況を正しく把握すれば、迷うことなく記入できる項目です。自分がどのパターンに当てはまるかを確認し、適切に処理しましょう。
開業届の作成、もっと簡単にならない?無料ツールの活用が賢い選択
ここまで「源泉徴収税額」の書き方を解説してきましたが、「やっぱり面倒だな」「他の項目も正しく書けるか不安…」と感じた方もいるのではないでしょうか。実際、開業届には他にも聞き慣れない言葉が多く、初めての方にとってはハードルが高い作業です。
しかし、その面倒な作業に時間を費やすのは非常にもったいないことです。その時間は、事業の計画を練ったり、最初の顧客を獲得するための準備に使ったりするべきだとは思いませんか?
手書き vs ツール作成のメリット・デメリット
開業届の作成方法は、大きく分けて「手書き(または国税庁のサイトでPDFを作成)」と「会計ソフトなどの作成ツール」の2つがあります。
- 手書きのメリット:費用がかからない。
- 手書きのデメリット:専門用語が多くて分かりにくい。どこに何を書けばいいか迷う。書き間違いのリスクがある。提出のために税務署へ行くか、郵送準備をする手間がかかる。
- ツール作成のメリット:質問に答えるだけで自動で書類が完成する。入力ミスや記入漏れを防げる。専門知識がなくても安心。青色申告承認申請書など、他の必要書類も同時に作れる。電子申請に対応している場合も多い。
- ツール作成のデメリット:サービスによっては費用がかかる場合がある。
こうして比較すると、特に初心者にとってはツールを利用するメリットが圧倒的に大きいことがわかります。そして、このデメリットを解消してくれる「完全無料」の便利なツールが存在します。
初心者でも安心!「マネーフォワード クラウド開業届」という選択肢
そこでおすすめしたいのが、マネーフォワード クラウド開業届です。
これは、会計ソフトで有名なマネーフォワードが提供する、開業手続きに特化した無料のサービスです。最大の魅力は、画面の案内に沿って簡単な質問に答えていくだけで、開業届が自動で作成される点です。
今回テーマにしている「源泉徴収税額」のような迷いやすい項目も、「年の途中で会社を退職しましたか?」といった分かりやすい質問形式でガイドしてくれるため、知識がなくても間違う心配がありません。もちろん、青色申告承認申請書や、事業用の銀行口座開設に必要な書類なども、まとめて作成することが可能です。
「でも、結局あとから有料プランに誘導されるんじゃ…」と不安に思うかもしれませんが、この「マネーフォワード クラウド開業届」は、サービス単体として完全に無料で利用できます。開業後の会計ソフトの利用は任意なので、まずは開業手続きだけを無料で済ませたい、という方にもぴったりです。
面倒な書類作成は信頼できるツールに任せて、あなたはもっと重要な事業の準備に集中しませんか?
まとめ:迷う時間はもう終わり!ツールを活用してスムーズな一歩を
今回は、多くの開業準備者がつまずく「源泉徴収税額」について詳しく解説しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- 開業届の「源泉徴収税額」は、年の途中で会社を退職して開業した場合に記載が必要。
- 金額は、退職時に受け取る「源泉徴収票」を見れば正確にわかる。
- この金額は、翌年の確定申告で正しい税額を計算するために重要な情報となる。
- 副業や、前年に所得がない場合は記載不要(空欄)でOK。
開業届の作成は、個人事業主としてのキャリアを築く上でのほんの小さな第一歩にすぎません。このような手続きで悩み、貴重な時間を浪費してしまうのは避けたいところです。
もし、あなたが「開業準備を何から手をつければいいか分からない」「手続き全体を効率よく進めたい」と感じているなら、開業の全体像を網羅したガイド記事もぜひ参考にしてみてください。必要な手続きや準備物が一覧でわかり、安心してスタートを切れるはずです。
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