NPO法人や非営利団体を運営する上で、限られた予算と人員で、いかに活動を効率化し、社会的なインパクトを最大化するかは、常に大きな課題ですよね。
日々のコミュニケーション、情報共有、イベント運営、支援者との関係構築…。
もっとスムーズに行うためのITツールは欲しいけれど、コストが大きな壁になっている、と感じている団体様も多いのではないでしょうか。
そんな想いを抱える日本の非営利団体のために、Googleが提供している非常に強力な支援プログラムがあるのをご存知ですか。
それが「Google for Nonprofits」です。
私も、社会貢献活動を行う多くの団体様からご相談を受けますが、このプログラムの存在を知っているかどうかで、組織のIT活用レベルと活動の幅が劇的に変わるのを目の当たりにしてきました。
この記事では、そのGoogle for Nonprofitsの概要、特にパワフルなGoogle Workspaceの無償提供、そして日本国内での申請方法と具体的な活用事例について、分かりやすく解説します。
【最重要注意点】この記事の情報は2025年7月時点のものです。Google for Nonprofitsの対象条件、提供されるサービス、申請プロセスは変更される可能性があります。必ずGoogle for Nonprofits 公式サイトおよび国内の認定パートナーであるTechSoup Japanのサイトで最新情報を必ずご確認ください。
「Google for Nonprofits」とは?非営利団体向けの強力な支援プログラム
Google for Nonprofitsは、資格要件を満たす非営利団体に対して、Googleの様々な有料ツールを無償または特別割引価格で提供する社会貢献プログラムです。このプログラムを活用することで、団体はITコストを大幅に削減し、その分のリソースを本来のミッション達成のために投下できます。
主に提供されるツール:
- Google Workspace for Nonprofits: 本記事で中心的に解説する、Gmail、カレンダー、ドライブ、Meetなどを含む統合型クラウドツール。多くの機能が無償で利用可能になります。
- Google Ad Grants: Google検索広告を毎月最大1万米ドル分、無料で利用できるプログラム。団体の活動内容や寄付募集の情報を、関心を持つ人々に広く知らせることができます。
- YouTube Nonprofit Program: YouTubeチャンネル上で寄付カードを表示したり、動画の視聴者と繋がりやすくするための特典機能を利用できます。
- Google Earth / Google Maps Platform: 地図情報を活用して、活動内容を視覚的に伝えたり、支援者との繋がりをマッピングしたりするのに役立ちます(利用には別途クレジットが付与される形式など)。
メリット絶大!Google Workspace for Nonprofitsでできること
このプログラムの最大の魅力は、なんといっても「Google Workspace for Nonprofits」が無償で利用できる点です。
これにより、一般企業が有料で利用している以下のような機能が、追加費用なしで使えるようになります。
- 独自ドメインのメールアドレス:
info@your-npo.org
のような、団体のドメインを使ったメールアドレスが利用でき、信頼性が格段に向上します。 - 大容量ストレージ: ユーザーごとに十分な容量のGoogleドライブが提供され、活動記録、写真、資料などを安全に保管・共有できます。
- チームでの共同作業ツール: Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドでのリアルタイム共同編集や、Google Meetでのオンライン会議、Google Chatでのチームコミュニケーションが可能になります。
- 管理コンソール: 管理者がユーザーアカウントやセキュリティを一元管理できます。
- 共有ドライブ: チームや部署でファイルを一元管理できる共有ドライブも利用可能になるため、担当者の変更があってもスムーズな引き継ぎが可能です。(※利用可能なプランによります)
これらの機能により、ボランティアやスタッフ間の連携がスムーズになり、組織運営全体の効率が大きく向上します。
【重要】プログラムの対象となる団体と申請方法
対象団体の条件(日本の場合)
Google for Nonprofitsを利用するには、Googleのパートナーである「TechSoup Japan」によって、非営利団体として認定される必要があります。日本における一般的な対象団体は以下の通りです。
- 特定非営利活動法人(NPO法人)
- 公益社団法人、公益財団法人
- 社会福祉法人
注意:政府機関、病院や医療機関、学校や大学などの教育機関(これらには別途Google for Educationというプログラムがあります)は、通常対象外です。自団体が対象となるか、必ずGoogle for Nonprofitsの資格要件ページやTechSoup Japanのサイトでご確認ください。
申請の3ステップ
申請プロセスは、大きく分けて以下の3ステップで進みます。
- TechSoup Japanへの団体登録と認証:まず、TechSoup JapanのWebサイトで団体登録を行います。団体の登記情報などが必要になります。登録後、TechSoup Japanが団体の非営利活動法人格を認証します。このプロセスには数日〜数週間かかる場合があります。
- Google for Nonprofitsへの申請:TechSoup Japanによる認証が完了すると、団体の認証(またはバリデーション)トークンが発行されます。そのトークンを使って、Google for Nonprofitsの公式サイトから申請を行います。
- 各サービスの有効化(アクティベーション):Google for Nonprofitsへの登録が承認されたら、次に、利用したい各サービス(Google Workspace, Ad Grantsなど)を個別に有効化(アクティベーション)する手続きが必要です。Google Workspaceを有効化する際は、団体の独自ドメインの設定(MXレコード変更など)が必要になります。
NPO法人・非営利団体でのGoogle Workspace活用事例
- 信頼性の向上と窓口の一本化: 独自ドメインメール(例: `info@`, `support@`, `event@`)を使い分けることで、外部からの信頼性を高め、問い合わせ窓口を整理。
- ボランティア・スタッフ管理: Googleグループでボランティア用のメーリングリストを作成。共有カレンダーでイベントスケジュールやスタッフのシフトを管理。
- 活動報告書や助成金申請書の共同作成: Googleドキュメントやスプレッドシートで、複数メンバーが同時に報告書や申請書を共同編集。コメント機能でフィードバックもスムーズに。
- ナレッジ共有と引継ぎの円滑化: 共有ドライブに活動記録、マニュアル、過去のイベント資料などを蓄積。Googleサイトで簡単な活動紹介サイトや会員向けポータルを作成。
- オンラインでの会議・イベント運営: Google Meetで理事会やスタッフミーティング、支援者向けのオンライン報告会などを低コストで実施。録画機能を使えば、参加できなかったメンバーへの共有も簡単。
- 参加申込・アンケートの効率化: Googleフォームでイベントの参加申込やボランティア登録、活動後のアンケートなどを簡単に作成・集計。
【私の視点】NPOがGoogle for Nonprofitsを最大限活かすためのポイント
この素晴らしいプログラムを、ただ導入するだけでなく、活動の力に変えるために、私がいつもお伝えしているポイントです。
- まずは「独自ドメインメール」と「共有ドライブ」の整備から: この二つをしっかり整備するだけでも、組織としての信頼性向上と、情報資産の適切な管理という大きな効果が得られます。これが全ての基本です。
- ボランティアメンバーとの連携にフル活用する: NPOの活動は、多様な関わり方をするボランティアの協力があってこそです。共有カレンダーで活動日を知らせたり、Googleグループで連絡網を作ったり、共有ドライブで資料を共有したりと、ボランティアが活動に参加しやすくなるような情報共有基盤を整えましょう。
- Googleフォームは最強の事務局員と心得よ: イベント申込、ボランティア登録、アンケート、各種問い合わせなど、これまで電話やメール、紙で受け付けていたものを、可能な限りGoogleフォームに置き換えてみてください。集計の手間がゼロになり、担当者の負担が劇的に減ります。
- 忘れずに「Google Ad Grants」も申請する!: Google Workspaceで組織内の体制を整えたら、次は外部への発信です。月最大1万米ドル分の広告費が使えるAd Grantsは、団体の認知度向上、支援者や寄付の獲得に絶大な威力を発揮します。ぜひセットで活用を検討してください。
私がお手伝いしたあるNPO法人様では、Google for Nonprofitsを導入し、フォームでボランティア登録を自動化したことで、担当者の事務作業が週に5時間以上削減され、その時間を本来の活動である支援者とのコミュニケーションに充てられるようになったと、大変喜ばれていました。
まとめ:Google for Nonprofitsで、団体のミッション達成を加速させよう
Google for Nonprofitsは、限られたリソースで社会的なミッションの達成を目指す非営利団体にとって、まさに救世主とも言えるプログラムです。ITインフラにかかるコストと手間を大幅に削減し、組織のコミュニケーションとコラボレーションを活性化させ、より多くのリソースを本来の活動に集中させることを可能にします。
もしあなたの団体が対象となる可能性があれば、申請しない手はありません。ぜひ、このプログラムを活用して、あなたの団体の活動をさらに前進させてください。
なお、Google for Nonprofitsは非常に素晴らしいプログラムですが、残念ながら全ての団体が対象となるわけではありません。また、NPOを支援する中小企業や個人事業主の方も多くいらっしゃるでしょう。
もし、あなたの組織が対象外であった場合や、営利目的の事業でGoogle Workspaceの導入を検討している場合には、初期コストを抑える方法があります。当サイトでは、通常のGoogle Workspaceの有料プランが割引になるプロモーションコードを無料でご紹介しています。
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この記事が、日本で活動する多くの非営利団体の皆様、そしてそれを支える方々の一助となれば幸いです。