Google Workspaceのアカウント、従業員は業務のためだけに使っていますか。
例えば、会社のGoogleドライブに個人の写真を大量にバックアップしたり、会社のGmailアドレスで私的なウェブサービスに登録したり…。
便利さゆえに、つい公私の区別が曖昧になりがちですが、これは企業にとって大きなリスクをはらんでいます。
私も多くのお客様に、「会社から付与されたアカウントと、そこで扱われるデータは、全て会社の重要資産です」と強くお伝えし、私的利用を防ぐためのルール作りと設定をご支援しています。
この記事では、なぜ従業員によるアカウントの私的利用を防ぐべきなのか、その理由と、Google Workspaceの管理機能を使って実現する具体的なガバナンス設定について解説します。
【ご注意】この記事の情報は2025年7月時点のものです。Google Workspaceの機能や管理コンソールの設定項目は変更される可能性があります。また、利用規程の策定にあたっては、法的な観点から弁護士や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
なぜアカウントの「私的利用」が危険なのか?5つのリスク
従業員に悪気はなくても、会社のアカウントを私的に利用することは、以下のような深刻なリスクに繋がる可能性があります。
- 情報漏洩リスク: 私的なメールのやり取りや、セキュリティの甘い外部サービスとの連携を通じて、会社の機密情報や顧客情報が意図せず漏洩する危険性があります。
- データ所有権の曖昧化と損失: 退職時に、ドライブ内のデータが業務ファイルなのか私物なのか区別がつかなくなり、重要な業務データが引き継がれなかったり、逆に会社が従業員の個人データを保持し続けてしまったりする問題が発生します。
- セキュリティ脆弱性の増大: 私的な目的で様々なWebサイトに登録したり、安全性が確認されていないアプリと連携したりすることで、フィッシング詐欺やマルウェア感染の標的となり、アカウント乗っ取りのリスクが高まります。
- ライセンス・ストレージコストの増大: 個人的な写真や動画、ファイルなどが会社のストレージ容量を圧迫し、無駄なコスト増加の原因となります。
- 法的・コンプライアンスリスク: 万が一、法的な調査(eDiscovery)が必要になった際に、私的な通信内容までが開示対象となり、プライバシーの問題や法的なトラブルに発展する可能性があります。
これらのリスクから会社を守るため、明確なガバナンス(統制)が必要不可欠です。
私的利用を防ぐためのガバナンス設定と運用のステップ
Google Workspaceの機能を活用し、技術的な制御と組織的なルール作りを組み合わせることで、効果的なガバナンスを実現できます。
ステップ1:利用規程(ポリシー)を策定し、明確に周知する
これが全ての土台です。まず、Google Workspaceアカウントの利用に関する明確な社内ポリシーを策定します。
- 目的の明確化: 「Google Workspaceアカウントは、会社の業務を遂行するために貸与されるものであり、業務目的以外での利用は原則として禁止する」と明記します。
- 禁止事項の具体例: 私的なメールのやり取り、個人的なファイルの保存、私的なSNSやWebサービスへの登録、業務に関係のないアプリとの連携などを具体的に示します。
- 周知と同意: 作成したポリシーは、Googleサイトなどで作成した社内ポータルに掲載し、全従業員に周知します。入社時には、このポリシーへの同意を必須のプロセスとします(Googleフォームで同意書を取得するのも有効です)。
ステップ2:共有設定を制限し、データ漏洩の出口を塞ぐ
管理コンソールから、Googleドライブの共有設定を制限することで、意図しない情報漏洩を防ぎます。
- [アプリ] > [Google Workspace] > [ドライブとドキュメント] > [共有設定] に進みます。
- 組織外との共有について、「オフ」または「ホワイトリストに登録したドメインのみ許可」に設定することを検討します。
- 「リンクを知っている全員」への共有を、組織内で許可するかどうかを慎重に判断します。多くの場合、これは禁止するのが安全です。
ステップ3:サードパーティ製アプリへのアクセスを管理する
従業員が、安全性の確認されていない外部のアプリに、会社のGoogleアカウントで安易にログイン(連携)するのを防ぎます。
- [セキュリティ] > [アクセスとデータ管理] > [APIの制御] に進みます。
- 「未設定のサードパーティ アプリ」の設定で、「ユーザーにサードパーティ アプリへのアクセスを許可しない」を選択するか、「信頼できるアプリ」をリスト化して、それ以外へのアクセスをブロックする設定を検討します。
ステップ4:デバイス管理(MDM)で公私を分離する
特に私物端末の業務利用(BYOD)を許可している場合に有効です。
- Google Workspaceのモバイルデバイス管理(MDM)機能を有効にし、Android端末では「仕事用プロファイル」を作成させます。
- 仕事用プロファイル内では、会社の管理下にあるGoogle Workspaceアプリのみが動作し、個人領域とは完全に分離されます。これにより、個人利用のアプリから会社のデータにアクセスすることを防ぎます。
ステップ5:監査ログで利用状況を定期的に確認する
管理者は、管理コンソールの「監査ログ」で、従業員の活動(ログイン状況、ファイル共有、メール送受信など)を確認できます。全従業員の活動を常に監視するのは現実的ではありませんが、
- 不審なログイン(深夜、海外からなど)がないか
- 大量のデータが外部に共有・ダウンロードされていないか
といった異常な兆候を定期的にチェックすることで、ポリシー違反やセキュリティリスクの早期発見に繋がります。
【私の視点】性善説と性悪説のバランス、そして「代替案」の提示
従業員をガチガチに縛るだけのルールは、時に生産性を下げ、反発を招きます。私がお客様にご提案する際に心がけているのは、統制と利便性のバランスです。
- 「禁止」だけでなく「なぜダメなのか」を丁寧に伝える教育が最も重要: ポリシーを周知する際、「〇〇は禁止です」とだけ伝えるのではなく、「会社の情報資産と、皆さん自身を守るために、このルールが必要です」と、その背景にあるリスクと目的を丁寧に説明することが、従業員の理解と協力を得る上で不可欠です。
- 100%の監視は不可能だし、すべきではない: 監査ログは強力ですが、従業員の全ての行動を監視するのは現実的ではありませんし、信頼関係を損ないます。目的は「従業員の監視」ではなく、「組織としての重大なリスクの早期発見」です。このスタンスを明確にすることが大切です。
- 便利な「代替案」を会社として提供する: 従業員がシャドーITに走るのは、多くの場合「公式ツールが使いにくいから」です。例えば、「大容量ファイルの共有に個人のストレージサービスを使っている」という実態があれば、「共有ドライブを使えばもっと安全で便利ですよ」と使い方をレクチャーするなど、Workspace内の便利な機能を積極的に周知し、代替案を示すことで、私的利用の動機そのものを減らしていくアプローチが効果的です。
- ポリシーは「入社時」に説明し、同意を得るのが鉄則: ルールは後から追加すると反発が出やすいものです。新しい従業員が入社する際に、オンボーディングプロセスの一環として、アカウントの利用ポリシーをしっかりと説明し、同意書にサインしてもらうフローを確立しましょう。
私がお手伝いしたある企業では、私的利用に関するポリシーを策定した後、その内容を分かりやすいマンガ形式の資料にして社内ポータルに掲載したところ、従業員の理解が非常に進んだ、という例がありました。伝え方の工夫も大切ですね。
まとめ:明確なルールと設定で、会社の重要資産を守る
Google Workspaceアカウントは、従業員個人のものではなく、会社の重要な情報資産への「鍵」です。その鍵を適切に管理し、業務目的のみに利用してもらうためのガバナンス体制を構築することは、現代の企業にとって必須のセキュリティ対策と言えます。
明確なポリシーの策定と周知、Google Workspaceの管理機能を活用した技術的な制御、そして従業員への継続的な教育。この3つを組み合わせることで、情報漏洩リスクを低減し、全社で統一された安全なIT利用環境を実現できます。
このように、Google Workspaceは従業員の生産性を高めるだけでなく、企業の重要な情報資産を守るための強力なガバナンス機能を提供します。この信頼できるビジネス基盤を、お得なプロモーションコードで導入しませんか?
当サイトでは、Google Workspaceの新規契約時に利用料金が最初の3ヶ月間15%OFFになるプロモーションコードを無料でご紹介しています。
▼ 安全なITガバナンス基盤を、お得なコストで!
Google Workspace プロモーションコード【最新2025年版】15%割引クーポン無料配布中
この記事が、あなたの会社の情報セキュリティ体制とガバナンス強化の一助となれば幸いです。