出典: Google Workspace Updates Blog
元記事の投稿日: 2025年7月2日
役員会議、M&Aに関する極秘の打ち合わせ、あるいは国家の安全保障に関わる議論。
こうした最高レベルの機密性が求められる会議では、「会話の内容が、Googleを含め、誰にも絶対に傍受されない」という保証が不可欠です。
この究極の要求に応えるのが、Google Meetの「クライアントサイド暗号化(CSE)」です。
これまで、この鉄壁のセキュリティで守られた会議に参加するには、個人のPCやスマートフォンを使うしかありませんでした。
しかし、重要な会議ほど、専用の設備が整った「会議室」で行いたいもの。
このジレンマを解決する、待望のアップデートが本日発表されました。
何が変わった?会議室のMeetハードウェアから、直接CSE会議に参加可能に
今回のアップデートにより、ついに会議室に設置されたGoogle Meet ハードウェアデバイスから、直接クライアントサイド暗号化(CSE)された会議に参加できるようになります。
操作は驚くほど簡単かつセキュアです。
会議室のMeet ハードウェアの画面で、参加したいCSE会議を選択します。
画面に、認証を求める指示が表示されます。
参加者(あなた)は、手元のスマートフォンやノートPCを使って、本人認証を行います。
認証が成功すると、その会議の間だけ、「あなた」の権限で、会議室のハードウェアが会議へのアクセスを許可されます。
これにより、会議室という共有のデバイスを使いながらも、個人の厳格な認証に基づいて、最高機密の会議に参加するという、利便性とセキュリティを両立した体験が実現します。
なぜ重要?利便性とセキュリティの「最後のピース」が埋まる
このアップデートは、クライアントサイド暗号化(CSE)を現実に運用する上で、非常に大きな意味を持ちます。
自然な会議体験の実現:
重要な会議を、ノートPCの小さな画面とマイク・スピーカーで行う必要はもうありません。会議室の大型ディスプレイ、高性能なカメラ、クリアな音響設備を使って、本来あるべき快適な会議体験の中で、最高レベルのセキュリティを享受できます。ユーザーのIDに基づいたアクセス制御:
セキュリティの鍵は、会議室がCSE会議に参加できるのではなく、**「認証されたユーザーが、会議室を使ってCSE会議に参加できる」**という点にあります。会議室が事前に招待されている必要はありません。アクセス権限は、あくまで個人のIDに紐づいています。これにより、「誰が、いつ、どの会議室から機密会議に参加したか」という厳格なアクセス管理が可能になります。クライアントサイド暗号化の価値を再確認:
Google Meetは通常でも、転送中・保存中のデータはすべて暗号化されています。クライアントサイド暗号化(CSE)は、それに加えて**「暗号化の鍵」そのものを顧客組織だけが管理する**という、特別なセキュリティ層を追加するものです。すべての映像・音声は、各参加者のブラウザで直接暗号化され、Googleのサーバーですらその内容を解読することはできません。今回のアップデートは、この究極のプライバシー保護を、会議室という物理的な空間にまで拡張するものです。
管理者とユーザー向け:導入のポイント
この高度な機能を利用するためには、いくつかの準備と前提条件があります。
対象プラン:
Google Workspace Enterprise Plus、Education Standard / Plus といった上位プランでのみ利用可能です。管理者側の準備:
CSEを有効にするには、まずGoogle Workspaceを外部のIDプロバイダーと暗号鍵サービス(IdP+鍵サービス)に接続する必要があります。
すでに組織でCSEを設定済みの場合、Meetハードウェア側での追加設定は不要です。
【重要】利用している鍵管理サーバー(KACLS)が、会議室のようなデバイスからの代理参加リクエスト(delegate call)に対応している必要があります。詳細は、ご利用のKACLSベンダーにご確認ください。
ユーザー側の操作:
ユーザーは、通常の会議に参加するのと同じように、会議室のデバイスからミーティングを選択します。あとは画面の指示に従って、手元の個人デバイスで認証を行うだけです。
まとめ
Google Meet ハードウェアのクライアントサイド暗号化(CSE)対応は、これまで両立が難しかった「最高レベルのセキュリティ」と「快適な会議体験」を結びつける、画期的なアップデートです。
機密情報を扱う組織が、妥協することなく、最も自然で生産的な方法でコミュニケーションをとることを可能にします。役員会議室から研究開発の現場まで、この新しい機能が、日本の企業の最も重要な議論を、目に見えない盾となって守ってくれるでしょう。