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【セキュリティ管理者必見】Meetのログで暗号化の種類が判別可能に!クライアントサイド暗号化の利用状況を正確に把握

本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年8月7日に作成されました。

Google Workspaceを管理されている皆様、特に組織のセキュリティとコンプライアンスを担うご担当者様、こんにちは。

日々の業務において、オンライン会議のセキュリティを確保することは、最優先事項の一つですね。

特に、経営戦略、M&A情報、未公開の知的財産、患者の医療情報といった、極めて機密性の高い情報を扱う会議では、最高レベルのセキュリティ対策が求められます。

Google Meetでは、その最高レベルの要求に応えるため、「クライアントサイド暗号化(CSE)」という強力な機能を提供しています。しかし、管理者にとっては、ある課題がありました。

「社内の重要会議で、本当にクライアントサイド暗号化が正しく適用されていたのか、客観的な証拠はあるのだろうか?」

「監査の際に、特定の会議がCSEで保護されていたことを、ログで明確に証明できるだろうか?」

これまでは、この「証明」が難しい状況でした。しかし、この度、その長年の課題を解決する、非常に重要で、かつ待望のアップデートが発表されました。

今回は、Google Meetのセキュリティ管理を新たな次元へと引き上げる、監査ログの機能強化について詳しく解説していきます。

今回のアップデートの核心:「暗号化の種類」がログで分かる

今回のアップデートは、一言で言えば、「Google Meetの監査ログに、その通話がどの暗号化方式で保護されていたかを示す、新しいデータフィールドが追加される」というものです。

具体的には、Meetのログイベントに encryption_type という項目が追加されます。この項目には、以下のいずれかの値が記録されます。

  1. 標準のクラウド暗号化 (cloud_encryption):
    これは、Google Meetの標準的な暗号化方式です。通信経路はもちろん、Googleのサーバー上でもデータは暗号化され、非常に高いセキュリティを確保しています。一般的な会議では、この方式で十分に保護されています。

  2. クライアントサイド暗号化 (cse_encryption):
    こちらは、最高レベルの機密性を求める組織向けの、より強固な暗号化方式です。この方式では、暗号化と復号(元に戻すこと)が、ユーザーのPC(クライアント側)でのみ行われます。暗号化の「鍵」は顧客自身が管理する外部のサービスに保管されるため、Google自身でさえも、会議の音声や映像の内容にアクセスすることは原理的に不可能です。

この encryption_type フィールドがログに記録されることで、管理者は、すべての通話がどのレベルのセキュリティで保護されていたかを、事後的に、そして客観的な証拠として、正確に把握できるようになるのです。

なぜこの変更が重要なのか?セキュリティ・コンプライアンス担当者にとっての3つの絶大なメリット

一見すると、ログに一つの項目が追加されただけの地味な変更に見えるかもしれません。しかし、セキュリティとコンプライアンスの観点からは、これは計り知れない価値を持つ、大きな進歩です。

メリット1:セキュリティ・コンプライアンスの「証明力」が格段に向上する
金融、医療、政府機関、法律事務所など、規制や法律によって厳格なデータ保護が義務付けられている業界では、「最高レベルのセキュリティ対策を講じていること」を、監査人や規制当局に対して証明する必要があります。

クライアントサイド暗号化(CSE)は、そのための強力な武器ですが、これまでは「この会議ではCSEを使いました」と口頭で説明したり、設定画面のスクリーンショットといった状況証拠を示したりするしかありませんでした。

今回のアップデートにより、管理者は監査ログという、改ざん不可能な客観的証拠を提示して、「ご覧ください。この日時の経営会議のログには、cse_encryption と明確に記録されています。間違いなく最高レベルのセキュリティで保護されていました」と、揺るぎない形で証明できるようになります。これは、組織の信頼性を担保する上で、非常に大きな意味を持ちます。

メリット2:社内セキュリティポリシーの遵守状況を、正確に監視できる
多くの企業では、「役員が参加する会議では、必ずCSEを有効にすること」「法務部が関わる契約交渉の会議では、CSEを必須とする」といった、独自のセキュリティポリシーを定めています。

しかし、ポリシーを定めるだけでは不十分で、それが実際に守られているかを継続的に監視する必要があります。

今回の新機能を使えば、管理者は定期的にMeetの監査ログを分析し、「CSEが必須とされている会議で、万が一、標準のクラウド暗号化で実施されてしまったケースはないか」といった、ポリシーの逸脱を正確に検出できます。

ポリシー違反を発見した際には、その原因を究明し、対象者への再教育を行うなど、具体的な是正措置を講じることが可能になります。これにより、組織全体のセキュリティ意識とコンプライアンスレベルを、データに基づいて向上させることができます。

メリット3:セキュリティインシデント発生時の、迅速な調査と冷静な対応が可能になる
どんなに注意していても、セキュリティインシデントのリスクをゼロにすることはできません。万が一、「機密情報が漏洩した可能性がある」といった事態が発生した場合、管理者に求められるのは、迅速な状況把握と、正確な影響範囲の特定です。

ここで、encryption_type のログが決定的な役割を果たします。

例えば、ある会議の参加者から情報漏洩が疑われた場合、管理者は直ちにその会議のログを確認します。もし、ログに cse_encryption と記録されていれば、「会議の内容そのものが外部に流出した可能性は極めて低い」と、初動で冷静に判断できます。なぜなら、会議データはGoogleのサーバーでさえ復号できない形で保護されているからです。

これにより、過度なパニックを避け、調査の範囲を限定し、より的確な対応策に集中することが可能になります。リスクの有無を迅速に切り分けられることは、インシデント対応において極めて重要です。

管理者向け:具体的な確認方法と技術的詳細

この新しいログ情報は、以下の方法で確認することができます。

  • Google管理コンソール:

    • 監査と調査ツール: すべてのGoogle Workspaceエディションで利用可能です。ここでMeetのログイベントを検索し、encryption_type の値を確認できます。

    • セキュリティ調査ツール: Enterprise Plusなど、一部の上位エディションで利用可能です。より高度な調査や関連ログとの相関分析ができます。

  • Admin Reports SDK API:
    より高度な運用を行っている組織では、APIを通じてこのログデータをプログラムで取得することも可能です。これにより、SplunkやDatadogといった、組織で利用しているSIEM(Security Information and Event Management)ツールや、独自の監視システムにログデータを自動で取り込み、他のセキュリティログと統合して監視・分析する、といった高度な運用が実現します。

まとめ

今回のGoogle Meet監査ログの機能強化は、セキュリティとコンプライアンスを最前線で支える管理者の方々にとって、まさに待望のアップデートと言えるでしょう。

「証明できるセキュリティ」は、もはや当たり前の要求です。この新しいログフィールドは、組織のセキュリティ体制の堅牢さを客観的に示し、ガバナンスを強化するための、確かな礎となります。

クライアントサイド暗号化をすでに導入している組織はもちろん、これから導入を検討している組織にとっても、その運用と監査が格段に容易になるこの変更は、大きな後押しとなるはずです。ぜひ、この新機能を日々の監査業務やセキュリティポリシーのモニタリングにご活用ください。Google Workspaceは、これからも皆様が安心して利用できるプラットフォームであり続けるため、こうした地道で、しかし重要な改善を続けていきます。