多くの企業で導入されているGoogle Workspace。
その多機能性とコラボレーションのしやすさは、もはやビジネスに不可欠なツールと言えるでしょう。
しかし、従業員の入退社や組織変更が繰り返される中で、ライセンス管理が追いつかず、気づかぬうちに無駄なコストが発生しているケースは少なくありません。
あなたの会社では、実際には使われていないライセンスに、毎月貴重な費用を支払い続けていませんか?
この記事では、Google Workspaceの管理コンソールを使い、誰でも簡単にライセンスの利用状況を可視化し、コストを最適化するための具体的な手順を、IT管理の専門家の視点からわかりやすく解説します。
本記事で紹介する手順を実践すれば、無駄な支出を削減し、その分をより戦略的なIT投資に振り向けることが可能になります。
なぜGoogle Workspaceのコスト最適化が今、重要なのか?
Google Workspaceはサブスクリプションモデルのため、利用人数が増えればコストも増加します。一見、当たり前のことですが、その内訳を定期的に精査している企業は意外と少ないのが実情です。なぜ今、コストの最適化が重要なのでしょうか。その理由は、単なる経費削減に留まらない、企業の競争力強化に直結する複数の要因にあります。
見過ごされがちな「休眠アカウント」のコストとセキュリティリスク
コスト増加の最大の原因の一つが、「休眠アカウント」または「ゴーストアカウント」と呼ばれる、利用実態のないアカウントの存在です。退職した従業員や、長期休職中、あるいはプロジェクト終了によって不要になったアカウントが、削除されずに放置されているケースです。
例えば、最も人気の高い「Business Standard」プラン(月額1,600円/ユーザー)で考えてみましょう。もし休眠アカウントが10個あれば、それだけで年間192,000円ものコストが無駄になっている計算です。これは決して小さな金額ではありません。
さらに問題なのは、コストだけではありません。休眠アカウントは、悪意のある第三者による不正アクセスの標的になりやすく、重大なセキュリティリスクにもなり得ます。定期的な棚卸しは、コスト削減とセキュリティ強化の両面から極めて重要なのです。
機能とコストのミスマッチ:「ライセンスの過剰割り当て」問題
もう一つの大きな問題が、従業員の業務内容に対して、必要以上の機能を持つ高価なライセンスプランを割り当ててしまう「過剰割り当て」です。例えば、高度なデータ保持機能(Vault)やセキュリティ機能が必要な管理部門に合わせて、全社で「Business Plus」(月額2,500円/ユーザー)を契約しているケースです。
しかし、実際にはメールとドキュメント作成が主な業務の従業員にとっては、その多機能性は宝の持ち腐れかもしれません。その場合、「Business Standard」や「Business Starter」でも十分に業務を遂行できる可能性があります。従業員一人ひとりの役割と必要な機能を丁寧に見極め、最適なプランを割り当てることで、全体のコストを大幅に圧縮できるのです。
継続的な見直しが「攻めのIT投資」を生み出す
コスト最適化は、一度実施して終わりではありません。組織は常に変化するため、四半期に一度など、定期的なレビューサイクルを確立することが不可欠です。そして、この取り組みによって生み出された余剰資金は、単なるコスト削減以上の価値を持ちます。
例えば、削減したコストを原資として、Google WorkspaceのAIアシスタント「Gemini」のような、生産性を飛躍的に向上させるアドオンを導入することも検討できます。コスト最適化は、守りの経費削減であると同時に、企業の成長を加速させる「攻めのIT投資」の原資を生み出す、戦略的な活動なのです。
【実践編】管理コンソールで利用状況を可視化する3つのステップ
それでは、実際にGoogle Workspaceの管理コンソールを使って、ライセンスの利用状況を可視化する具体的な手順を見ていきましょう。このセクションで紹介する手順は、2025年10月時点の情報を基にしています。管理者の権限があれば、誰でも簡単に行うことができます。
ステップ1: 「レポート」機能で組織全体の利用状況を把握する
まずは、組織全体のアクティビティの全体像を掴むことから始めます。
- Google Workspaceの管理コンソールにログインします。
- 左側のメニューから「レポート」>「ハイライト」を選択します。
この「ハイライト」画面では、過去7日間、30日間、90日間といった期間で、アクティブユーザーの割合、使用されているストレージ容量、各アプリ(Gmail, Drive, Meetなど)の利用状況といった主要な指標をグラフで直感的に確認できます。ここで「アクティブユーザー数が契約ライセンス数を大幅に下回っている」といった傾向が見られれば、さらに深掘りする価値があると言えるでしょう。
ステップ2: 「アカウント」レポートでユーザー個別の最終利用日を確認する
全体像を把握したら、次はユーザー一人ひとりの詳細な利用状況を確認し、休眠アカウントを特定します。これがコスト最適化の最も重要なステップです。
- 管理コンソールのメニューから「レポート」>「アプリレポート」>「アカウント」へと進みます。
- レポート画面が表示されたら、画面右上の歯車アイコンから表示する列をカスタマイズできます。ここで「最終ログイン日時」「Gmailの最終利用日時」「ドライブの最終利用日時」などを必ず表示するように設定してください。
- 列名(例:「最終ログイン日時」)をクリックすると、日付でソートできます。昇順でソートすれば、長期間ログインしていないユーザーが一覧の上位に表示されます。
例えば、「最終ログインが180日以上前」のユーザーは、休眠アカウントである可能性が非常に高いと判断できます。このリストが、ライセンス見直しの具体的な対象者リストとなります。
ステップ3: 監査ログで客観的な証拠を固める
特定のユーザーのライセンスを停止・削除する前には、本当に利用実態がないのかを客観的なデータで裏付けることが望ましいです。特に、最終ログインだけでは判断が難しいケース(例:ログインはしているがアプリは使っていない)で有効です。
- 管理コンソールのメニューから「レポート」>「監査と調査」>「管理ログイベント」を選択します。(プランによっては「監査」>「ログイン」など)
- 「フィルタを追加」をクリックし、「ユーザー名」で調査したいユーザーを指定します。
- 期間を指定して検索すると、そのユーザーのログイン履歴や管理アクティビティの詳細なログを確認できます。
この監査ログを確認し、長期間にわたって一切のアクティビティがないことが確認できれば、自信を持ってライセンス見直しの判断を下すことができます。これにより、誤ってアクティブなユーザーのライセンスを削除してしまうといったミスを防ぎます。
可視化から実行へ!コスト最適化のための具体的なアクションプラン
利用状況の可視化によって課題が明確になったら、次はいよいよ具体的なアクションに移ります。ここでは、特定した課題に対して、どのような手を打つべきかを3つのアクションプランとしてご紹介します。
アクション1: 不要・休眠アカウントの整理(削除または一時停止)
前のステップで特定した休眠アカウントは、速やかに整理しましょう。主な選択肢は「ユーザーの削除」と「ライセンスの一時停止」です。
- ユーザーの削除: 退職者など、今後復帰の可能性がない場合はユーザーごと削除します。重要なのは、削除する前に必ずデータのバックアップを取得することです。管理コンソールの「データ移行」ツールや「Googleデータエクスポート」を利用して、ドライブのファイルやメールデータを他のユーザーに移行、またはアーカイブとして保存しておきましょう。
- ライセンスの一時停止: 長期休職者など、将来的に復帰する可能性がある場合は、ユーザーアカウントは残したままライセンスのみを一時停止(サスペンド)することができます。これにより、データは保持されたまま月々のコストは発生しなくなります。
これらの作業を定期的に行うだけで、着実にコストを削減できます。
アクション2: ライセンスプランの戦略的なダウングレード
全社一律で高価なプランを契約している場合は、部署や役職ごとにライセンスプランを見直す「ダウングレード」が非常に有効です。
例えば、以下のような基準で検討してみましょう。
- Business Plus (5TB/ユーザー, Vault, 高度な端末管理): 法務・コンプライアンス部門や役員など、高度なセキュリティとデータ保持が必須のユーザーに限定する。
- Business Standard (2TB/ユーザー, 会議録画, 予約スケジュール): 営業部門やマーケティング部門など、大容量ストレージや高度な会議機能を活用する多くの一般ユーザーに割り当てる。これが最もバランスの取れた選択肢になることが多いです。
- Business Starter (30GB/ユーザー, 基本機能): メールとドキュメント利用が中心のパートタイム従業員や、特定のプロジェクトメンバー向けに割り当てる。
このように、ユーザーのペルソナに合わせてライセンスを最適に配置することで、機能性を損なうことなく、組織全体のコストを大幅に引き下げることが可能です。
アクション3: プールストレージの有効活用と意識改革
Business Standard以上のプランでは、ストレージは「プール制」となっています。これは、「契約ライセンス数 × プランごとの容量」が組織全体のストレージ上限となり、ユーザーはその上限内で柔軟に容量を分け合える仕組みです。
この点を理解せずに、一部のヘビーユーザーのためだけに全社のプランをアップグレードするのは非効率です。まずは組織全体のストレージ使用状況を管理コンソールのレポートで確認しましょう。意外と全体の容量には余裕があるかもしれません。
また、これを機に、社内でデータ整理のルール(不要な会議録画の定期的な削除など)を設け、全社的にストレージ利用への意識を高めることも、長期的なコスト管理に繋がります。
まとめ:コスト最適化は戦略的な経営判断
本記事では、Google Workspaceのコストを最適化するための具体的な手順として、管理コンソールを用いた「利用状況の可視化」と、それに基づいた「3つのアクションプラン」を解説しました。
休眠アカウントの整理、ライセンスプランの適正化、そしてプールストレージの有効活用。これらのステップを定期的に実践することで、見過ごされがちだった無駄なコストを削減し、企業の財務体質を強化することができます。
そして、ここで生み出された資金は、AI機能の導入や新たなツールへの投資など、企業の生産性と競争力をさらに高めるための戦略的な原資となります。Google Workspaceのコスト最適化は、単なる経費削減ではなく、未来への投資を可能にする重要な経営判断なのです。
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