マネーフォワード クラウド確定申告(以下、MFクラウド確定申告)を使い始めたばかりの個人事業主の方が、最初につまずきやすいポイントの一つがクレジットカード明細の「未決済」という表示です。
「カードで経費を支払ったのに、なぜか未決済残高がどんどん増えていく…」。
「銀行口座の残高は合っているのに、未決済のせいで全体の数字が合わない」。
このようなお悩みはありませんか?
ご安心ください、これは会計処理の仕組みを理解すれば簡単に解決できる問題です。
この記事では、MFクラウド確定申告におけるクレジットカードの「未決済」が発生する原因から、それを正しく処理して残高をゼロにするための具体的な手順と、よくある失敗を防ぐためのコツまで、丁寧に解説します。
この記事を読めば、あなたも未決済地獄から解放され、確定申告の準備をスムーズに進められるようになります。
なぜ「未決済」が発生するのか?その仕組みを理解しよう
まず、なぜクレジットカードで支払うと「未決済」というステータスになるのか、その根本的な仕組みから理解しましょう。これを把握するだけで、今後の処理が格段に分かりやすくなります。
クレジットカード取引には、「カード利用日」と「引き落とし日」という2つの異なる日付が存在します。例えば、11月10日に事業用の備品を1万円のクレジットカードで購入したとします。この時点では、あなたの銀行口座からお金は減っていません。実際に口座から1万円が引き落とされるのは、カード会社が定めた翌月や翌々月の「引き落とし日」(例:12月27日)です。
MFクラウド確定申告では、データ連携機能により、まず「カード利用日」の明細が取り込まれます。このとき、システムは「1万円の経費が発生したが、まだ支払いが完了していない」と判断し、この状態を「未決済」として扱います。会計上の勘定科目では、これは「未払金」として計上されます。
その後、引き落とし日になると、今度は連携している銀行口座から「1万円が引き落とされた」という明細が取り込まれます。この引き落としの事実を、先に計上した「未払金」の支払いとして正しく紐づけることで、初めて「未決済」が解消されるのです。つまり、「未決済」とはエラーではなく、「カード利用と引き落としのタイムラグ」を会計ルールに沿って正確に表現している状態なのです。
【実践】クレジットカードの「未決済」を処理する具体的な手順
それでは、実際にMFクラウド確定申告の画面で「未決済」を処理する手順を見ていきましょう。ここでは、事業用の備品(消耗品費)をクレジットカードで購入し、後日その代金が事業用口座から引き落とされたケースを例にします。
ステップ1:カード利用時の仕訳を確認する
クレジットカードで経費を支払うと、MFクラウド確定申告にはカード会社の利用明細が自動で取り込まれます。多くの場合、AIが内容を推測し、自動で仕訳の候補を作成してくれます。
例:11月10日にAmazonで事務用品を1万円購入
この場合、以下のような仕訳が自動で登録されます。
- 借方:消耗品費 10,000円 / 貸方:未払金 10,000円
この仕訳は、「消耗品費という経費が1万円発生し、その代金は未払いである」ということを意味します。この時点ではまだ口座からお金は減っていないため、貸方科目が「未払金」となるのがポイントです。この「未払金」が、「未決済」の正体です。
ステップ2:銀行口座からの引き落とし時に「振替」処理を行う
ここが最も重要なステップです。後日、カードの引き落とし日(例:12月27日)になると、今度は銀行口座の明細に「カード代金 1万円」のような引き落とし履歴が取り込まれます。
この明細に対して、新しい経費として登録するのではなく、「未払金の支払い」として処理する必要があります。MFクラウド確定申告では、これを「振替」という機能を使って行います。
引き落とし明細を選択し、勘定科目を登録する画面で、以下のように設定します。
- 振替元:未払金
- 振替先:[引き落とされた銀行口座名](例:〇〇銀行)
これにより、会計上は以下の仕訳が登録されます。
- 借方:未払金 10,000円 / 貸方:普通預金 10,000円
この仕訳は、「未払金1万円を、普通預金から支払った」という意味です。ステップ1で発生した貸方の「未払金」が、このステップで借方に計上されることで相殺され、残高がゼロになります。これで一連の処理は完了です。
よくある失敗例と、残高を効率的にゼロにするコツ
理論は分かっても、実際の作業では混乱してしまうこともあります。ここでは、初心者が陥りがちな失敗例と、作業を格段に楽にするためのコツ(私の独自の視点も含む)をご紹介します。
失敗例1:引き落としを「事業主貸」で処理してしまう
個人事業主の場合、プライベートの支出と事業の支出が混在しがちです。そのため、銀行からの引き落としをよく確認せず、とりあえず「事業主貸」で処理してしまうケースがよくあります。しかし、これをやってしまうと、「未払金」の残高は減らないまま残ってしまいます。経費として計上したカード利用分に対する支払いであることを意識し、必ず「未払金」との振替処理を行いましょう。
失敗例2:経費を二重で計上してしまう
もう一つの典型的なミスが、経費の二重計上です。これは、カード利用時に「消耗品費 / 未払金」で経費を計上したにもかかわらず、銀行からの引き落とし時にも再度「消耗品費 / 普通預金」として経費登録してしまうことで発生します。これでは同じ買い物を2回経費にしたことになり、税務上問題となります。引き落としはあくまで「未払金の清算」であり、新たな経費発生ではないことを肝に銘じておきましょう。
効率化のコツ:自動仕訳ルールを活用する
毎月同じカード会社から引き落としがある場合、その処理を自動化すると非常に効率的です。MFクラウド確定申告には「自動仕訳ルール」という便利な機能があります。
一度、カード代金の引き落とし明細に対して「未払金」からの振替処理を正しく登録する際に、「この内容で自動仕訳ルールを作成」にチェックを入れておきましょう。摘要欄の文言(例:「AP(AMEX」など)をキーにしてルールを作成すれば、次回以降、同じ摘要の明細が取り込まれた際に自動で振替処理の候補を提示してくれます。これにより、手作業の手間とミスを大幅に削減できます。
【独自の視点】月次レビューの習慣化で未決済を溜めない
確定申告の時期になってから1年分の未決済をまとめて処理しようとすると、膨大な作業量に圧倒されてしまいます。そこでおすすめしたいのが、「月末に必ず未決済残高を確認し、ゼロにする」という月次レビューの習慣化です。
毎月、月末締めや月初めのタイミングでMFクラウド確定申告の「残高試算表」を開き、「未払金」の残高を確認します。もし残高が残っていれば、その月に処理し忘れた引き落としがないかチェックします。この作業を毎月5〜10分行うだけで、常に帳簿がクリーンな状態に保たれ、確定申告期の負担が劇的に軽くなります。これは、2025年11月時点でも非常に有効なテクニックです。
まとめ:未決済を制する者がMFクラウド確定申告を制する
今回は、MFクラウド確定申告におけるクレジットカードの「未決済」を解消する手順とコツについて解説しました。重要なポイントをまとめます。
- 「未決済」はカード利用と引き落としのタイムラグを示す正常な状態で、会計上は「未払金」として扱われる。
- カード利用時に「経費 / 未払金」で仕訳し、銀行引き落とし時に「未払金 / 普通預金」の振替処理を行うことで解消される。
- 引き落としを「事業主貸」で処理したり、経費を二重計上したりするミスに注意する。
- 自動仕訳ルールの活用と、月次レビューの習慣化が、効率化とミス防止の鍵。
この仕組みさえ理解すれば、クレジットカードを事業の経費支払いに活用することのメリットを最大限に享受できます。ポイントも貯まりますし、キャッシュフローの管理も楽になります。
もし、あなたがこれからMFクラウド確定申告を本格的に使っていきたい、あるいは他の機能についてももっと深く知りたいと思われたなら、ぜひ当サイトの完全ガイドもご覧ください。基本的な使い方から料金、評判まで、個人事業主のあなたが必要な情報を網羅的にまとめています。
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