マネーフォワード クラウド開業届を使えば、本当に手軽に開業手続きができますよね。
画面の指示に従って入力するだけで、複雑な書類があっという間に完成し、提出まで済んでしまう手軽さは画期的です。
しかし、手続きを終えて一安心したのも束の間、「提出したけれど、税務署から何の音沙汰もない…」と不安になっていませんか。
「本当に受理されたのかな?」「何か不備があったのだろうか?」そんな疑問が頭をよぎるかもしれません。
ご安心ください。その状況は、手続きが正常に進んでいる証拠である可能性が高いです。
この記事では、マネーフォワードで開業届を提出した後に、その処理状況をしっかりと確認する方法を、私の経験も交えながら具体的にお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたの不安は解消され、自信を持って事業の次のステップへ進めるようになっているはずです。
なぜ税務署から「受理完了」の通知は来ないのか?
まず最初に、多くの新米事業主が抱く「なぜ税務署から完了通知が来ないの?」という疑問を解消しましょう。結論から言うと、税務署は開業届に対して「受理しました」という通知を送る義務も慣習もないのが一般的です。これには、行政手続きの性質が関係しています。
開業届は「届出」であり「申請」ではない
行政手続きには、許可や認可を求める「申請」と、事実を届け出る「届出」の2種類があります。例えば、飲食店を開業する場合の保健所の営業許可は「申請」にあたります。行政が審査し、基準を満たしていれば許可が下ります。
一方で、開業届は「私がこの日から個人事業主として事業を始めました」という事実を税務署に知らせるための「届出」です。そのため、書類に形式上の不備(氏名や住所の記載漏れなど、よほど重大なミス)がない限り、提出された時点で自動的に受理されるのが原則です。税務署側が内容を審査して「許可します」と判断するプロセスはないため、わざわざ「受理完了通知」を送ることはないのです。
この「申請」と「届出」の違いを知らないと、「行政からの手続き完了=通知が来るはず」という思い込みから、不必要に心配してしまうことになります。2025年12月時点でもこの運用は変わっていません。
提出方法で変わる「受理された証拠」
では、何をもって「受理された」と確認すればよいのでしょうか。それは提出方法によって異なります。
- 税務署の窓口へ持参した場合:提出時に持参した「控え」に、税務署の収受日付印(受領印)を押してもらえます。この受領印が押された控えが、公的な証明書となります。
- 郵送で提出した場合:控えと、切手を貼った返信用封筒を同封して郵送すれば、後日、受領印が押された控えが返送されてきます。これが証明になります。
- e-Taxで電子申告した場合:紙の控えはありません。代わりに、送信完了後にe-Taxシステムの「メッセージボックス」に格納される「受信通知」が、控えの代わりとなります。この通知には、申告者の氏名、提出先税務署、受付日時、受付番号などが記載されており、法的な証明力を持ちます。
つまり、「何も届かない」と感じるのは、特に郵送で提出してから控えが返送されるまでのタイムラグや、e-Taxの受信通知の確認方法を知らない場合に起こりがちなのです。マネーフォワード クラウド開業届はこれらの提出方法に対応しているため、どの方法を選んだかによって確認すべき場所が変わってきます。
提出後に自分で完了を確認する3つの実践ステップ
それでは、実際に開業届が無事に受理されたかを確認するための具体的な手順を3つのステップで解説します。まずは簡単なものから試し、それでも不安が解消されない場合に次のステップへ進むのがおすすめです。
ステップ1:マネーフォワードのステータスを確認する
最初に確認すべきは、手続きを行ったマネーフォワード クラウド開業届のサービス画面です。e-Taxでの提出手続きを行った場合、サービス内に提出状況を示すステータスが表示されているはずです。
「提出完了」や「送信完了」といった表示になっていれば、少なくともマネーフォワードからe-Taxシステムへのデータ送信は正常に完了していることを意味します。これは税務署が受理した直接の証明にはなりませんが、手続きの第一段階がクリアできている安心材料にはなるでしょう。
ただし、これはあくまで「マネーフォワード側の手続きが完了した」というステータスです。税務署側の正式な受理状況を確認するためには、次のステップに進む必要があります。
ステップ2:公的な証明となる「控え」または「受信通知」を確認する
最も確実で重要なのが、公的な証明となる「控え」または「受信通知」の確認です。これが手元にあれば、あなたは正式に開業届を提出した事業主であると証明できます。
郵送・持参で提出した場合:
税務署の収受日付印が押された「開業届の控え」が手元にあるか確認しましょう。郵送の場合は、提出から1〜2週間程度で返送されてくるのが一般的です。もし2週間以上経っても届かない場合は、郵便事故の可能性も考えられますが、まずは次のステップ3を検討する前に、返信用封筒を入れ忘れていなかったかなどを思い出してみましょう。
e-Taxで電子申告した場合:
e-Taxで提出した場合、控えに相当するのが「受信通知」です。これはe-Taxソフト(WEB版)やマイナポータルから確認できます。
- e-Taxソフト(WEB版)にログインします。
- メインメニューから「送信結果・お知らせ」を選択します。
- メッセージボックス一覧が表示されるので、「所得税及び復興特別所得税申告書等情報」の中から該当する受付結果を探します。
- 「手続き名:所得税及び復興特別所得税申告書等」の詳細を確認すると、受付日時や受付番号が記載された受信通知を閲覧・印刷できます。
この受信通知はPDFでダウンロードして大切に保管しておきましょう。これがあなたの控えとなります。マネーフォワード経由で提出した場合でも、この最終確認はe-Taxシステム側で行う必要があります。
ステップ3:管轄の税務署に電話で問い合わせる(最終手段)
「控えを紛失した」「どうしても受信通知が見つからない」「郵送した控えが何週間も返ってこない」といった状況で、どうしても不安が拭えない場合の最終手段が、管轄の税務署への電話確認です。
問い合わせる際は、以下の情報を準備しておくとスムーズです。
- 氏名と住所
- マイナンバー(または整理番号)
- 開業届の提出日と提出方法(郵送、持参、e-Taxなど)
- 屋号(あれば)
電話口では、「〇月〇日にマネーフォワード クラウドを利用してe-Taxで開業届を提出した、〇〇と申します。提出が正常に受理されているか確認させていただきたく、お電話いたしました」というように、用件を明確に伝えましょう。
ただし、これは税務署職員の方の時間をいただく行為です。まずはステップ1と2の方法でご自身で確認作業を徹底した上で、最後の手段として検討するのがマナーです。基本的にはステップ2までで確実に確認が取れるはずです。
開業届の「控え」は超重要!その理由と紛失時の対処法
なぜここまで「控え」や「受信通知」の確認を強調するのか。それは、この控えが開業後の様々なシーンで「あなたが事業主であること」を証明する、非常に重要な書類になるからです。
控えが必要になる具体的なシーン
開業届の控えは、以下のような場面で提出を求められることがあります。
- 事業用の銀行口座の開設:屋号名義の口座を作る際に、多くの場合で控えの提示が必要です。
- 融資の申し込み:日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受ける際の必須書類です。
- 補助金・助成金の申請:各種支援制度を利用する際、事業を営んでいる証明として必要になります。
- 小規模企業共済への加入:個人事業主の退職金制度である小規模企業共済に加入する際に提出します。
- クレジットカードやローンの契約:事業用のクレジットカード作成や、住宅ローンの審査などで求められることがあります。
- オフィスや店舗の賃貸契約:事業としての契約であることを示すために必要になる場合があります。
このように、控えは単なる「提出した証拠」以上の価値を持ちます。すぐにPDFで保存したり、クリアファイルに入れて大切に保管しておきましょう。
もし控えを紛失してしまったら?「保有個人情報開示請求」
「控えをもらい忘れた」「失くしてしまった…」という場合でも、諦める必要はありません。「保有個人情報開示請求」という手続きを踏むことで、提出済みの開業届の写しを入手することが可能です。
これは、管轄の税務署に対して「保有個人情報開示請求書」という書類を提出することで行います。請求書は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。請求から開示までには30日程度の期間がかかるのが一般的で、収入印紙による手数料(300円)も必要です。急に控えが必要になってもすぐには手に入らないため、やはり紛失しないことが一番です。
そもそも、こうした事態を避けるためにも、提出前の準備が肝心です。【開業準備ガイド】個人事業主になるには?無料の「マネーフォワード クラウド開業届」で書類作成から提出まで完全サポート!で解説しているように、マネーフォワードを使えば控えの準備も含めて一連の手続きが非常にスムーズです。これから提出する方や、青色申告承認申請書などを追加で提出する方は、ぜひ参考にしてください。
まとめ:不安を解消して、事業を前進させよう
今回は、マネーフォワードで開業届を提出した後に、税務署から何も届かなくても状況を確認する方法について解説しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- 開業届は「届出」なので、税務署から受理完了の通知は基本的に来ない。
- 受理の証明は、税務署の受領印がある「控え」、またはe-Taxの「受信通知」。
- まずはマネーフォワードのステータスを確認し、次にe-Taxのメッセージボックスや手元の控えを確認するのが王道のステップ。
- 控えは事業用の口座開設や融資など、様々な重要シーンで必要になるため、大切に保管する。
開業届の提出は、あなたの事業が社会的に認められた第一歩です。「何も届かない」という漠然とした不安を感じる必要はありません。この記事で紹介した方法で提出状況をしっかりと確認し、安心を手に入れたら、次なるステップである日々の経理や事業計画に集中していきましょう。
まだ開業届の手続きを始めていない方や、これから青色申告承認申請書なども提出する予定の方は、無料で使えるマネーフォワード クラウド開業届が断然おすすめです。画面の指示に従うだけで、今回解説した控えの準備も含め、必要な書類一式をミスなく作成できますよ。
