海外送金や外貨での支払いを、驚くほど簡単かつ低コストで実現してくれるWISE。
その便利さから、「プライベート用と事業用でアカウントを分けたい」「通貨ごとにアカウントを管理したい」と考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。
「そもそもWISEのアカウントは複数作成しても良いのだろうか?」
結論から言うと、WISEでは特定の条件下でのみ複数のアカウントを持つことが認められています。
もしルールを知らずにアカウントを作成してしまうと、規約違反とみなされ、最悪の場合アカウントが凍結されてしまう可能性もゼロではありません。
この記事では、2025年12月時点の情報に基づき、WISEで複数のアカウントを持つための正しい知識、規約違反になるケース、そして賢い活用方法まで、詳しく解説していきます。
安心してWISEを使いこなすために、ぜひ最後までご覧ください。
WISEの原則:アカウントは「一人一つ」が基本
まず理解しておくべき最も重要なルールは、同一種類のWISEアカウント(例:個人アカウント)を一人で複数持つことは規約で禁止されているという点です。つまり、異なるメールアドレスを使って、自分名義の個人アカウントを2つ作る、といった行為は認められていません。
なぜWISEは複数アカウントを厳しく制限するのか?
WISEが複数アカウントの作成を制限するのには、主に3つの理由があります。これらは、ユーザーである私たちを保護し、サービス全体の安全性を維持するために不可欠な措置です。
- 金融犯罪の防止(マネーロンダリング対策): WISEのような国際送金サービスは、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与といった金融犯罪に悪用されるリスクと常に隣り合わせです。アカウントを一人一つに限定し、厳格な本人確認(KYC)を行うことで、不正な資金の流れを監視しやすくなり、犯罪組織による悪用を防いでいます。
- セキュリティの確保: 一人のユーザー情報が一つのアカウントに集約されていることで、セキュリティ管理がシンプルかつ強固になります。万が一、不正アクセスの疑いがある場合でも、迅速な対応が可能となり、ユーザーの資産を守ることにつながります。
- サービスの公平性と透明性: 全てのユーザーが同じルールのもとでサービスを利用することで、公平性が保たれます。もし複数アカウントが自由に作成できてしまうと、特定のユーザーが送金手数料のキャンペーンを不正に何度も利用するなど、不公平な状況が生まれる可能性があります。
このように、アカウントを一人一つに限定することは、サービス全体の信頼性と安全性を担保するための重要な基盤となっているのです。
規約違反のリスクとは?
もし規約に違反して複数の個人アカウントを所持していることが発覚した場合、以下のような厳しい措置が取られる可能性があります。
- アカウントの一時的または永久的な凍結: 最も重い罰則がアカウントの凍結です。一度凍結されると、送金や資金の受け取り、デビットカードの利用など、全ての機能が停止します。
- 資金の保留: アカウントが凍結されると、中に入っている資金も保留され、すぐには引き出せなくなる可能性があります。WISEの調査が完了するまで、長期間資金がロックされるケースも報告されています。
- サービスの利用禁止: 悪質なケースと判断された場合、将来的にWISEのサービスを一切利用できなくなる可能性もあります。
軽い気持ちで作成したサブアカウントが、結果的に大きなトラブルを引き起こすことになりかねません。WISEのルールは必ず守るようにしましょう。
例外!WISEで複数のアカウント所有が認められる唯一のケース
原則として一人一つのアカウントしか持てないWISEですが、公式に認められている例外が一つだけ存在します。それは、「個人アカウント」と「ビジネスアカウント」をそれぞれ一つずつ持つケースです。
「個人アカウント」と「ビジネスアカウント」の組み合わせ
フリーランスや個人事業主、法人経営者など、事業を営んでいる方であれば、プライベートの資金管理と事業の資金管理を明確に分ける必要があります。WISEはこのニーズを理解しており、個人用と事業用にそれぞれアカウントを持つことを許可しています。
具体的な使い分けの例:
- 個人アカウント:
- 海外の友人への送金
- 海外旅行中の外貨決済(デビットカード利用)
- 海外ECサイトでのショッピング
- 個人的な資産の管理
- ビジネスアカウント:
- 海外クライアントからの報酬受け取り
- 海外への業務委託費の支払い
- 海外からの商品仕入れ代金の決済
- 事業経費の管理
このように使い分けることで、公私の区別が明確になり、経理処理が格段に楽になります。ビジネスアカウントには、請求書(インボイス)の作成機能や、チームメンバーにアクセス権限を与える機能など、事業に特化した便利な機能も備わっています。
WISEビジネスアカウントの開設方法と注意点
ビジネスアカウントは、既存の個人アカウントに追加する形で作成します。全く新しく作るわけではなく、個人アカウントにログインした状態から手続きを進めるのが一般的です。
開設には、個人アカウントの本人確認に加えて、事業の存在を証明するための追加書類が必要となります。必要な書類は、個人事業主か法人かによって異なりますが、一般的には以下のようなものが求められます。
- 個人事業主の場合: 開業届、直近の確定申告書など
- 法人の場合: 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、法人の住所が確認できる書類など
審査には数日かかる場合がありますので、余裕を持って手続きを進めましょう。
これからWISEの利用を始める方は、まずは基本となる無料の個人アカウントから開設し、その使いやすさを実感してみるのがおすすめです。事業での利用が必要になったタイミングで、ビジネスアカウントを追加するとスムーズです。
複数アカウントの代わりになる!WISEの便利機能を徹底活用
「個人アカウントは一つしか持てないのか…」とがっかりした方もいるかもしれません。しかし、ご安心ください。WISEには、複数のアカウントがなくても、目的別に資金をしっかり管理できる優れた機能が標準で備わっています。
通貨ごとに管理したいなら「マルチカレンシー口座」
「米ドル用、ユーロ用、英ポンド用…」といった形で通貨ごとにアカウントを分けたい、と考える方もいるでしょう。WISEの「マルチカレンシー口座(多通貨口座)」機能を使えば、その必要は一切ありません。
一つのアカウント内で、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドルなど、約40種類もの通貨を自由に保有・管理できます。それぞれの通貨に対して、現地の銀行と同じように利用できる口座情報(口座番号やIBANなど)が付与されるため、海外からの送金を現地通貨のまま、手数料無料で受け取ることが可能です。
例えば、
- アメリカのクライアントからは米ドル口座で報酬を受け取る
- イギリスのECサイトからは英ポンド口座で返金を受け取る
- 保有している米ドルを、アプリ内で手数料の安い最適なタイミングでユーロに両替する
といったことが、一つのアカウント内で完結します。わざわざ複数のアカウントを作るまでもなく、WISEのアカウント一つで、まるで世界中に複数の銀行口座を持っているかのような体験ができるのです。
目的別に資金を分けたいなら「Jar(ジャー)」機能
同じ通貨(例えば日本円)の中でも、「生活費用」「旅行資金」「投資用資金」のように、目的別に資金を分けておきたい、というニーズもあるでしょう。そんな時に役立つのが「Jar(瓶)」という機能です。
Jarは、メインの残高とは別に、資金を隔離しておくことができる「貯金箱」のようなものです。例えば、「2026年のハワイ旅行」という名前のJarを作成し、毎月1万円ずつメインの残高から移動させておく、といった使い方ができます。
Jarに入れたお金は、デビットカードの決済や送金には直接使われないため、誤って使ってしまう心配がありません。必要な時には、いつでも手数料無料で瞬時にメイン残高に戻すことができます。
このJar機能を活用すれば、仮想的に複数の口座を持っているのと同じように、計画的な資金管理が可能です。
絶対NG!アカウント凍結に繋がる危険な行為と安全な使い方
WISEを安全に使い続けるためには、規約を正しく理解し、禁止されている行為を避けることが何よりも重要です。ここでは、アカウント凍結に直結しかねない危険な行為を改めて確認しておきましょう。
やってはいけない禁止事項
- 虚偽の情報での登録: 名前、住所、生年月日など、登録情報に一つでも偽りがあると、本人確認の段階で必ず発覚します。アカウントが作成できないだけでなく、今後の利用も拒否される原因となります。
- 他人名義でのアカウント作成: 家族や友人の名前を借りてアカウントを作成することは、重大な規約違反です。必ず自分自身の情報で登録してください。
- 禁止されている取引への利用: WISEは、一部の暗号資産(仮想通貨)取引所への入出金や、オンラインギャンブルなど、利用規約で禁止されている目的での使用を認めていません。これらの取引に利用すると、アカウントが即座に凍結されるリスクが非常に高くなります。
WISEのアカウントを安全に、そして正しく開設・利用するためには、公式のルールをしっかり理解しておくことが不可欠です。詳しい登録手順や注意点、初めての海外送金の方法については、こちらの完全ガイドで丁寧に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事: 【完全ガイド】WISE個人口座の登録から初めての海外送金まで徹底解説!手数料を抑えるコツも紹介
まとめ:ルールを守って賢くWISEを活用しよう
今回は、WISEアカウントの複数所持について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- WISEの個人アカウントは原則として一人一つ。複数持つことは規約違反です。
- 唯一の例外は、「個人アカウント」と「ビジネスアカウント」を一つずつ持つこと。
- 複数の通貨を管理したい場合は「マルチカレンシー口座」機能が非常に便利。
- 目的別に資金を分けたいなら「Jar」機能を活用するのがおすすめ。
- 規約違反はアカウント凍結のリスクを伴うため、ルールをしっかり守ることが大切。
WISEは、ルールを正しく理解して使えば、あなたの国際的な金融活動を力強くサポートしてくれる最高のツールです。特に海外とのやり取りが多い方にとっては、もはや無くてはならないサービスと言えるでしょう。
これからWISEを使い始める方は、ぜひこの機会に公式サイトから無料のアカウントを開設し、その画期的な利便性を体験してみてください。