本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の記事を元に、日本のGoogle WorkspaceユーザーおよびGoogle Workspaceに興味がある方々に向けて、2026年1月2日に公開された情報を分かりやすく解説したものです。
iPhoneやiPadなどのiOSデバイスは、多くの企業で業務端末として採用されています。
最新のiOS 18.1以降で導入された「Apple Intelligence」は、AIによる文章の校正や要約など、便利な機能を提供してくれます。
しかし、企業のIT管理者にとっては、「業務データが外部のAIサービスに送信されるのではないか?」「社内のデータ損失防止(DLP)ポリシーと競合しないか?」といった懸念材料にもなり得ます。
特に、機密情報を扱う業務において、管理下にないAIツールがテキストデータにアクセスすることは、情報漏洩リスクとして慎重に扱う必要があります。
こうした管理者の懸念に応えるため、Googleは新たな管理機能を追加しました。
Google Workspace管理コンソールから、iOS版のGoogle Workspaceアプリ(GmailやGoogleドキュメントなど)内でのApple Intelligence「作文ツール(Writing Tools)」の使用を制限できるようになります。
今回は、この新機能がどのようなメリットをもたらすのか、設定方法や対象アプリを含めて詳しく解説します。
何が変わるのか?AppleのAI機能をGoogleアプリ内でブロック可能に
今回のアップデートの核心は、**「iOS版Google Workspaceアプリ内における、Apple製AIツールの使用可否を管理者が決められる」**という点です。
背景:
iOS 18.1以降には「作文ツール」という機能がOSレベルで搭載されています。これにより、ユーザーはアプリ内でテキストを選択した際、校正(Proofread)、書き直し(Rewrite)、要約(Summarize)といったAI機能を呼び出すことができます。
これまでのリスク:
管理者がこの機能を制御できない場合、従業員がGmailの下書きやGoogleドキュメント内の機密情報を、AppleのAIツールに処理させてしまう可能性がありました。これが企業のセキュリティポリシーに違反する場合、管理者は頭を悩ませていました。
これからの対策:
Google管理コンソールに新しく追加された設定を「オフ」にすると、ユーザーがiOS版Google Workspaceアプリ内でテキストを選択しても、Appleの「作文ツール」オプションが表示されなくなります。
これにより、業務データが意図せず外部のAI処理に回されることを防ぎ、組織のデータガバナンスを強化できます。
対象となるアプリとデバイス
この制御機能は、以下の環境に適用されます。
対象OS: iOS 18.1以降(iPadOSを含む)
管理方式: 「基本モバイル管理」および「詳細モバイル管理」の両方のデバイスに適用されます。
対象アプリ: 以下の主要なGoogle Workspaceアプリが対象です。
Gmail
Google Drive
Google Docs(ドキュメント)
Google Sheets(スプレッドシート)
Google Slides(スライド)
Google Meet
Google Chat
管理者向け設定手順:デフォルトは「オン」なので注意!
この機能を利用するには、Google Workspace管理者が設定を変更する必要があります。
重要な注意点:
この新しい設定項目「仕事用データでの作文ツールの使用を許可する(Allow Writing Tools for work data)」は、**デフォルトで「オン(有効)」**になっています。
つまり、何もしなければ、ユーザーはGoogleアプリ内でAppleのAIツールを使える状態です。
利用を禁止したい場合は、必ず手動で設定を「オフ(無効)」に変更してください。
設定手順のイメージ:
Google管理コンソールにログインします。
[デバイス] > [モバイルとエンドポイント] > [設定] > [iOS] > [データ共有] などのセクションに進みます(メニュー構成は変更される可能性があります)。
「仕事用データでの作文ツールの使用を許可する」という項目を見つけ、チェックを外して保存します。
設定の反映には最大24時間かかる場合がありますが、通常はもっと早く適用されます。
展開スケジュールと対象エディション
展開スケジュール:
本機能はすでに利用可能です(Available now)。即時リリースおよび計画的リリースドメインの両方で展開されています。
対象エディション:
高度なセキュリティ管理機能を持つ、以下のエディションで利用可能です。
Google Workspace:
Enterprise Standard / Plus
Education Standard / Plus
Frontline Standard
Enterprise Essentials Plus
その他:
Cloud Identity Premium
※Business Starter / Standard / Plusなどのプランは対象外の可能性がありますので、ご自身の管理コンソールをご確認ください。
まとめ:モバイルワークの安全性を確保する「粒度の細かい」制御
BYOD(私物端末の業務利用)や社用iPhoneの普及により、モバイルデバイスでのセキュリティ管理はますます複雑になっています。
OSが提供する便利なAI機能と、企業の厳格なデータ保護ポリシー。このバランスを取るために、今回のアップデートは非常に有用です。
「便利だから」という理由だけで新しい機能を受け入れるのではなく、自社のセキュリティ基準に照らし合わせて、「どのデータに、どのAIを触らせるか」を細かく制御できるようになったことは、管理者にとって大きな安心材料と言えるでしょう。
対象エディションをご利用の管理者の皆様は、ぜひ一度設定を確認し、組織の方針に合わせて適切に構成することをお勧めします。
