近年、新しいプロダクトやサービスを応援する仕組みとして、クラウドファンディングは非常に身近な存在になりました。
個人事業主の方の中にも、事業で使う機材やツールを手に入れるため、あるいは新しい挑戦を応援するために、クラウドファンディングを利用した経験がある方も多いのではないでしょうか。
しかし、その際に頭を悩ませるのが「この支援金は経費にできるのか?」という会計処理の問題です。
特に、会計ソフトを使い始めたばかりだと、どの勘定科目を選べば良いのか、仕訳はどのように行えば良いのか、判断に迷うことも少なくありません。
この記事では、2026年2月時点の情報に基づき、クラウドファンディングでの支援や購入が経費になるのかどうかの判断基準、そして「マネーフォワード クラウド確定申告」を使った具体的な勘定科目と仕訳の方法を、個人事業主向けに分かりやすく解説します。
クラウドファンディングの経費計上、基本の「き」
クラウドファンディングの会計処理を理解する上で最も重要なのは、「その支出が事業に関連しているかどうか」という点です。事業の売上を上げるために直接的・間接的に必要な支出であれば経費として認められますが、個人的な趣味や生活のための支出は経費にはなりません。これはクラウドファンディングに限らず、すべての経費判断における大原則です。
そして、クラウドファンディングにはいくつかの種類があり、その種類によって経費にできるかどうか、またその際の仕訳方法が異なります。まずは、代表的な3つのタイプを理解しておきましょう。
1. 購入型クラウドファンディング
支援者がお金を出す見返りとして、商品やサービス(リターン)を受け取るタイプです。これは実質的に「商品の前払い購入」と考えることができます。そのため、受け取ったリターンが事業用であれば、その支出は経費として計上できます。
- 経費にできる例:事業で使う最新のカメラ、仕事用の特殊なソフトウェア、事務所で利用するコーヒーメーカーなど。
- 経費にできない例:個人的に楽しむためのゲームソフト、家族旅行のための体験チケット、趣味のコレクションアイテムなど。
2. 寄付型クラウドファンディング
リターンを求めず、特定のプロジェクトや活動を純粋に応援するためにお金を出すタイプです。社会貢献活動や被災地支援などがこれにあたります。
個人事業主の場合、この「寄付」を経費として計上するのは一般的に難しいです。事業に直接的な関係があることを証明するのが困難なためです。「寄附金」という勘定科目はありますが、国や地方公共団体、特定の公益増進法人などへの寄付でない限り、経費算入には制限があります。ただし、例えば所属する業界団体の発展のための寄付など、事業関連性が明確な場合は経費として認められる可能性もあります。
3. 金融型(投資型)クラウドファンディング
支援者がリターンとして、株式やファンドの分配金、融資の利息といった金銭的な見返りを受け取るタイプです。これには、株式投資型、ファンド型、ソーシャルレンディングなどが含まれます。
このタイプの支出は、商品やサービスを購入する「経費」ではなく、将来的なリターンを期待する「投資」にあたります。そのため、経費として処理することはできず、「投資有価証券」などの資産として計上する必要があります。ここを間違えると税務上の問題になるため、注意が必要です。
【ケース別】マネーフォワードでの勘定科目と仕訳例
クラウドファンディングの支出が経費になるかどうかを判断できたら、次は会計ソフトで実際に仕訳を入力します。ここでは、多くの個人事業主に利用されている「マネーフォワード クラウド確定申告」を例に、具体的なケースごとの勘定科目と仕訳方法を見ていきましょう。
ケース1:購入型で事業用の備品を購入した場合
状況:Webデザイナーが、仕事の効率化のために最新の左手デバイス(5万円)をクラウドファンディングで購入した。代金は事業用の銀行口座から支払った。
この場合、リターンである左手デバイスは事業運営に直接必要なものなので、経費として計上できます。10万円未満の備品は「消耗品費」として処理するのが一般的です。
- 勘定科目:消耗品費
- 仕訳例:
- 借方:消耗品費 50,000円
- 貸方:普通預金 50,000円
- 摘要欄の記入例:「クラウドファンディング(〇〇デバイス)リターン」
ポイント:摘要欄に具体的なプロジェクト名やリターンの内容を記載しておくと、後から帳簿を見返したときに何の支出だったか一目で分かり、税務調査の際にも説明がしやすくなります。
ケース2:リターンが届く前に支払いをした場合(前払金)
状況:2025年12月に、2026年4月に完成予定の事業用ソフトウェア(8万円)をクラウドファンディングで申し込み、代金を支払った。
クラウドファンディングでは、支払いからリターンの受け取りまでに数ヶ月かかることがよくあります。このように、まだ商品やサービスを受け取っていない段階で支払ったお金は、その時点では経費にできません。「前払金」という資産の勘定科目で処理します。
①支払い時の仕訳(2025年12月)
- 勘定科目:前払金
- 仕訳例:
- 借方:前払金 80,000円
- 貸方:普通預金 80,000円
そして、実際にソフトウェアが納品され、利用を開始した時点(2026年4月)で、この「前払金」を「消耗品費」や「通信費」などの経費科目に振り替えます。
②リターン受け取り時の仕訳(2026年4月)
- 勘定科目:消耗品費(または通信費)
- 仕訳例:
- 借方:消耗品費 80,000円
- 貸方:前払金 80,000円
ケース3:リターンが高額な備品だった場合(減価償却)
状況:動画クリエイターが、撮影用の高性能ドローン(25万円)をクラウドファンディングで購入した。
取得価額が10万円以上の備品は、原則として固定資産として計上し、数年にわたって経費化(減価償却)する必要があります。このドローンの場合、「工具器具備品」として資産計上します。
- 勘定科目:工具器具備品
- 仕訳例(購入時):
- 借方:工具器具備品 250,000円
- 貸方:普通預金 250,000円
その後、決算時にその年の使用分を「減価償却費」として経費計上します。マネーフォワード クラウドでは、固定資産台帳に登録すれば、減価償却費の計算を自動で行ってくれるため非常に便利です。
節税のヒント:青色申告をしている個人事業主の場合、「少額減価償却資産の特例」を利用すれば、30万円未満の資産を一括でその年の経費として計上できます。このケースのドローン(25万円)も、この特例を使えば全額を経費にでき、節税につながります。
マネーフォワードでクラウドファンディングの経理を効率化しよう
ここまで見てきたように、クラウドファンディングの経理処理は、その種類や金額、リターンの内容によって異なり、少し複雑に感じるかもしれません。
特に、支払いとリターン受け取りのタイミングがずれる「前払金」の管理や、高額な備品の「減価償却」計算は、手作業で行うとミスが起こりがちです。
このような複雑な経理作業を効率化し、本業に集中するためにも、会計ソフトの活用が不可欠です。「マネーフォワード クラウド確定申告」は、銀行口座やクレジットカードと連携して取引明細を自動で取得・仕訳してくれるため、日々の記帳の手間を大幅に削減できます。
先ほど解説した固定資産の減価償却計算も、一度登録すればあとはお任せ。確定申告書類も案内に従って入力するだけで簡単に作成できます。
「会計ソフトの導入は難しそう…」と感じるかもしれませんが、マネーフォワード クラウドは直感的な操作性が魅力で、簿記の知識に自信がない方でも安心して使い始めることができます。クラウドファンディングを積極的に活用していくなら、このような便利なツールを導入して、スマートに経理管理を行うのがおすすめです。
マネーフォワード クラウド確定申告の詳しい機能や料金、実際のユーザーの評判については、以下のガイド記事で詳しく解説しています。自分に合ったプランを見つけるためにも、ぜひ一度ご覧ください。
【完全ガイド】マネーフォワード クラウド確定申告とは?使い方・評判・料金まで個人事業主向けに徹底解説
税務調査で慌てない!証拠書類の管理徹底ガイド
クラウドファンディングの経費計上で、仕訳方法と同じくらい重要なのが「証拠書類(エビデンス)の保管」です。
万が一、税務調査が入った際には、「その支出が本当に事業のためだったのか」を客観的に証明する必要があります。以下の書類は、必ずセットで保管しておくようにしましょう。
保管すべき書類リスト
- プロジェクトの募集ページ:どのような目的のプロジェクトで、どのようなリターンが得られるのかが分かるページのスクリーンショットやPDF。
- 支援を申し込んだことが分かる画面:申込金額やリターンのコースが記載された申込完了画面のスクリーンショット。
- 決済の証明:クレジットカードの利用明細や銀行の振込履歴。マネーフォワード クラウドで連携していれば自動で記録されます。
- 支援完了の通知メール:プロジェクトオーナーから送られてくる支援完了や決済完了の通知メール。
- リターン品に同封の納品書など:もしリターン品に納品書や領収書が同封されていた場合は、必ず保管します。
これらの書類は、紙で印刷してファイリングするほか、PDFや画像データとしてクラウドストレージ(Google DriveやDropboxなど)にまとめておくのもおすすめです。「2026年_クラウドファンディング」といったフォルダを作り、プロジェクトごとにサブフォルダで管理すると、後から見返しやすくなります。
特に、リターンの内容が事業用であることが分かりにくい場合は、なぜそれが事業に必要なのかを説明するメモを一緒に残しておくと、より確実な証拠となります。
まとめ:クラウドファンディングは「事業関連性」を意識して賢く経理しよう
今回は、個人事業主がクラウドファンディングを利用した際の経費判断と、マネーフォワード クラウドを使った仕訳方法について解説しました。
最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 経費判断の最大のカギは「事業関連性」。事業の売上につながる支出かどうかで判断する。
- クラウドファンディングの種類によって会計処理が異なる。「購入型」は経費、「金融型」は投資、「寄付型」は原則経費にならない。
- リターンが届く前は「前払金」、10万円以上の備品は「固定資産」で処理する。
- マネーフォワード クラウドを使えば、複雑な仕訳や減価償却も自動化できる。
- 「なぜ経費なのか」を証明する証拠書類の保管を徹底する。
クラウドファンディングは、新しい事業のアイデアを得たり、便利なツールを手に入れたりするための有効な手段です。会計処理のルールを正しく理解し、便利な会計ソフトを使いこなすことで、経理の不安なく、そのメリットを最大限に活用することができます。
確定申告の時期に慌てないためにも、日々の取引を正しく記帳する習慣が大切です。もし、あなたがまだ手作業で経理を行っているなら、この機会にぜひ会計ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
