この記事は、https://workspaceupdates.googleblog.com/ の記事(作成年月日:2026年5月14日)をもとに作成しています。
はじめに
現代のビジネス環境において、従業員は日々の業務を遂行するために複数のシステムやアプリケーションを使い分けています。
社内メンバーとの連絡にはチャットツールを使い、ITサポートへの問い合わせや備品の発注には社内ポータルや専用のチケット管理システムを開く。
このようにアプリを何度も切り替える作業(コンテキストスイッチング)は、集中力を削ぎ、業務効率を低下させる大きな原因となっています。
特に、世界中の多くの企業でITサービスマネジメント(ITSM)の基盤として利用されている「ServiceNow(サービスナウ)」を利用している企業にとっては、この切り替えの手間をいかに減らすかが課題でした。
しかし、このたびGoogleから、この課題を根本から解決する素晴らしいアップデートが発表されました。
ServiceNowが提供するAI搭載の仮想アシスタント「Now Assist Virtual Agent」が、Google Workspace Marketplaceから直接、かつ非常に簡単にGoogle Chatへ展開(デプロイ)できるようになったのです。
本記事では、この連携機能が従業員の働き方をどのようにスムーズにするのか、そして管理者にとってどれほど導入が容易になったのかを、日本のGoogle Workspaceユーザーの皆様に向けて分かりやすく解説いたします。
1. Google ChatとServiceNowがシームレスに融合
今回のアップデートの核心は、「従業員が普段コミュニケーションのメインとして使っているGoogle Chatの画面から、一歩も外に出ることなくServiceNowの強力なサポート機能を利用できるようになった」という点にあります。
「Now Assist Virtual Agent」をGoogle Chatに導入すると、チャットアプリの中にServiceNowの優秀な仮想アシスタントが常駐するようになります。従業員は、まるで同僚のITサポート担当者にチャットで話しかけるような感覚で、日常的なタスクや各種の申請リクエストを済ませることができるのです。
2. Chat画面で完結する4つの主要なタスク
従業員(エンドユーザー)は、わざわざブラウザでServiceNowのポータル画面を開いてログインし直す必要はありません。Google Chat上で、以下のような日常的なServiceNowタスクをシームレスに実行できます。
① ナレッジベースからの自己解決(FAQの検索)
「VPNの接続方法がわからない」「経費精算のルールを確認したい」といったよくある質問に対して、アシスタントが即座に社内のナレッジベース(知識データベース)の記事を検索し、チャット画面上に回答を提示してくれます。
② サポートチケット(インシデント)の作成
「パソコンの調子が悪い」「業務システムにログインできない」といったトラブルが発生した際、チャット画面から対話形式でそのままIT部門へのサポートチケット(問い合わせ票)を作成・発行することができます。
③ 既存リクエストのステータス確認
数日前に申請したソフトウェアのインストール許可や、修理に出したPCの状況など、現在進行中のリクエストが「今どうなっているか(処理中なのか、承認待ちか)」を、チャットで一言聞くだけで確認できます。
④ 新しいアイテムの注文(カタログ発注)
新しいマウスやキーボード、あるいは業務に必要なソフトウェアのライセンスなど、社内カタログにあるアイテムの発注手続きをチャットの会話の流れで完結させることができます。
3. AIが複雑なワークフローを自動化する「Now Assist」の力
この機能が単なる「チャットボット」と一線を画しているのは、ServiceNowの高度なAI機能である「Now Assist」を搭載している点です。
Now Assistは、従業員の入力したテキストの文脈(コンテキスト)を深く理解し、非常に自然な会話体験(コンテキスト・カンバセーショナル・エクスペリエンス)を提供します。
単に決められた選択肢を提示するだけでなく、ユーザーとの対話を通じて背後にある意図を汲み取り、さらに高度な「AIエージェント」を起動して複雑なワークフローやリクエスト処理を自動化する能力を持っています。
これにより、一次対応の多くをAIが完璧に処理し、IT部門やヘルプデスク担当者の負担を劇的に軽減しつつ、従業員の課題を最短時間で解決(リゾルブ)に導くことができます。
4. 管理者の負担を激減させるMarketplaceからの簡単導入
これほど強力な連携機能ですが、これまではシステム管理者(IT部門)がGoogle ChatとServiceNowを繋ぎ込むために、いくつかの複雑な設定プロセスを経る必要がありました。
しかし今回のアップデートにより、システム管理者の展開プロセスは驚くほどシンプル(簡素化)になりました。
Googleの公式アプリストアである「Google Workspace Marketplace」にアプリが直接登録されたため、管理者はMarketplaceから検索してインストールボタンを押すだけで、組織全体の従業員に対してこの仮想アシスタントを一括で提供(デプロイ)できるようになったのです。
5. 利用開始のためのステップ(管理者およびユーザー向け)
この便利な連携機能を利用開始するための具体的なステップは以下の通りです。
システム管理者(ServiceNowおよびWorkspace管理者)の皆様へ
導入には、ServiceNow側の管理者とGoogle Workspace側の管理者の連携が必要です。
- ServiceNow側の設定: ServiceNowの管理者は、ServiceNow環境に「Google Chat plugin 3.0」をインストールし、Google Chatとのリンク設定を行います。
- Workspace側の設定: その後、Google Workspaceの管理者がGoogle Workspace Marketplaceにアクセスし、「Now Assist Virtual Agent」を検索して、組織内のユーザー(あるいは特定の部署)の代わりにアプリを一括で展開(インストール)します。
※Marketplaceアプリの組織向けインストール方法については、Googleのヘルプセンターに詳細なガイドがあります。
エンドユーザーの皆様へ
エンドユーザーがこのアプリを利用するには、企業が発行した「ServiceNowの個人アカウント」を持っている必要があります。
管理者がまだ一括インストールを行っていない場合でも、ユーザー自身で追加することが可能です。Google Chatを開き、左側のメニューにある「アプリ(Apps)」>「アプリを探す(Find apps)」から「Now Assist Virtual Agent」を検索するか、直接Google Workspace Marketplaceにアクセスしてインストールを行ってください。
6. 展開スケジュールと対象となるユーザー層
本機能は、すでに利用可能な状態となっており、導入にあたっては以下の要件を満たす必要があります。
ロールアウト(展開)のペース
即時リリース(Rapid Release)ドメインおよび計画的リリース(Scheduled Release)ドメインの両方において、すでに提供が開始されており、今すぐにご利用いただけます。
対象となるユーザー(エディション)
この連携機能は、特定の高額なエディションに限定されたものではありません。
すべてのGoogle Workspaceをご利用のお客様、Workspace Individualのサブスクライバー(個人事業主向け)、そして個人の無料Googleアカウントを利用しているすべてのユーザーが対象となります。
【※重要:利用に関するライセンスの注意点】
この機能の恩恵を受けるためには、当然ながら自社で「ServiceNow」と「Google Chat」の両方のシステムを導入している必要があります。
さらに、記事の中で紹介した高度なAI機能である「Now Assist」のケイパビリティ(能力)を利用するためには、ServiceNow社が提供する追加のライセンス(Now Assistの有料ライセンス)が必要となります。ライセンスの契約状況については、自社のServiceNow担当窓口にご確認ください。
まとめ:アプリの切り替えをなくし、集中できる環境を
従業員の生産性を高めるための最もシンプルな方法は、「集中を妨げる無駄な時間をなくすこと」です。
何か困りごとが起きたとき、別のシステムにログインしてフォームを探し、キーボードを叩いて申請をする。この数分間のロスが、会社全体でどれほどのコストになっているでしょうか。
今回Marketplaceから簡単に導入できるようになった「Now Assist Virtual Agent」は、従業員の働き方の中心であるGoogle Chatに、ServiceNowという強力なITインフラを直接持ち込んでくれます。
チャットで一言話しかけるだけで問題が解決する体験は、従業員のストレスをなくし、本来集中すべき重要な業務に100%の力を注げる環境を作り出します。
ServiceNowを導入している企業のIT管理者の皆様は、ぜひこの手軽になった導入プロセスを活用し、従業員により良いサポート体験を提供してみてはいかがでしょうか。
