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Kubernetes環境にn8nをデプロイするためのHelmチャート活用術

業務自動化ツールn8nの導入を検討していますか。

特に、スケーラビリティや可用性が求められる環境では、Kubernetes上での運用が理想的です。

しかし、Kubernetesへのデプロイは複雑に感じられるかもしれません。

そこで活躍するのが、パッケージマネージャーであるHelmです。

この記事では、Helmチャートを利用して、Kubernetes環境にn8nをスムーズかつ確実にデプロイする方法を、具体的な手順と設定例を交えて徹底解説します。

n8nをKubernetesで動かすメリットとHelmの役割

n8nをDocker Composeなどで手軽に始めることもできますが、なぜわざわざKubernetes(K8s)を選ぶのでしょうか。その最大の理由は、スケーラビリティと可用性にあります。多くのワークフローを安定して実行する必要がある場合や、将来的に処理量が増加することを見越した場合、K8sの自動復旧機能や負荷分散機能は非常に強力な基盤となります。しかし、K8s上でアプリケーションを管理するには、Deployment、Service、Ingress、PersistentVolumeなど、複数のリソースを定義したマニフェストファイル(YAML)の管理が必要となり、その複雑さは無視できません。

ここでHelmチャートが真価を発揮します。Helmは「Kubernetesのパッケージマネージャー」とも呼ばれ、関連するK8sリソース一式を「チャート」という単位でまとめて管理できます。n8nの公式Helmチャートを利用することで、煩雑なマニフェストを一つひとつ手書きすることなく、たった一つのコマンドでデプロイが完了します。さらに、設定変更やバージョンアップ、ロールバックも簡単に行えるため、再現性と保守性が劇的に向上します。本番環境での安定した運用を目指すなら、Helmの活用はもはや必須と言えるでしょう。

Helmチャートによるn8nのデプロイ手順

それでは、実際にHelmチャートを使ってn8nをデプロイする手順を見ていきましょう。ここでは、基本的な設定でデプロイする方法を解説します。(2025年11月時点の情報です)

前提条件

作業を始める前に、以下のツールが利用可能な状態であることを確認してください。

  • Kubernetesクラスタへのアクセス(kubectlが設定済みであること)
  • Helm 3がインストール済みであること

Helmリポジトリの追加と更新

まず、n8nの公式Helmチャートが格納されているリポジトリを追加します。ターミナルで以下のコマンドを実行してください。

helm repo add n8n https://helm.n8n.io/

次に、リポジトリの情報を最新の状態に更新します。

helm repo update

values.yamlのカスタマイズ

Helmチャートでは、values.yamlというファイルでデプロイ設定をカスタマイズします。デフォルト設定でもデプロイは可能ですが、ここでは外部からアクセスするためのIngress設定を有効にしてみましょう。以下のようなcustom-values.yamlファイルを作成します。


# custom-values.yaml
ingress:
enabled: true
# ご利用のIngress Controllerに合わせてclassNameを指定
# 例: nginx
className: "nginx"
hosts:
- host: n8n.your-domain.com
paths:
- path: /
pathType: ImplementationSpecific
tls:
# TLSを有効にする場合はcert-managerなどの利用を推奨
- secretName: n8n-tls-secret
hosts:
- n8n.your-domain.com

この設定により、n8n.your-domain.comというドメインでn8nにアクセスできるようになります。ご自身の環境に合わせてホスト名やIngressのクラス名を変更してください。

n8nのデプロイ

準備が整ったら、いよいよデプロイです。以下のコマンドで、作成した設定ファイルを適用してn8nをインストールします。

helm install n8n n8n/n8n -f custom-values.yaml --namespace n8n --create-namespace

--namespace n8n --create-namespaceオプションで、n8n専用のネームスペースを作成し、そこにリソースを隔離しています。これにより、他のアプリケーションとの管理が容易になります。しばらく待ってPodのステータスがRunningになれば、デプロイは成功です。

本番運用を見据えたn8nの高度な設定

基本的なデプロイは完了しましたが、本番環境でn8nを安定して運用するためには、いくつかの追加設定を検討すべきです。これらもすべてHelmのvalues.yamlで管理できます。

データベースの永続化:PostgreSQLの利用

デフォルト設定のn8nは、内蔵のSQLiteデータベースを使用し、データはPod内に保存されます。これではPodが再起動するたびにワークフローや実行履歴が失われてしまいます。これを避けるため、データベースの永続化は必須です。n8nのHelmチャートはPostgreSQLの利用をサポートしており、values.yamlで以下のように設定するだけで、外部データベースに接続できます。


# custom-values.yaml
postgresql:
enabled: false # 外部DBを利用するためチャート内のPostgreSQLは無効化

n8n:
env:
– name: DB_TYPE
value: “postgresdb”
– name: DB_POSTGRESDB_HOST
value: “your-postgres-host.com”
– name: DB_POSTGRESDB_USER
value: “your-user”
– name: DB_POSTGRESDB_DATABASE
value: “your-db”
– name: DB_POSTGRESDB_PASSWORD
valueFrom:
secretKeyRef:
name: postgres-secret
key: password

パスワードなどの機密情報は、KubernetesのSecretリソースとして管理するのがベストプラクティスです。

リソース管理とスケーリング

多くのワークフローを同時に実行すると、CPUやメモリの消費量が増加します。Podがリソース不足で停止したり、ノード全体に影響を与えたりするのを防ぐため、リソース要求(requests)と上限(limits)を設定しましょう。


# custom-values.yaml
n8n:
resources:
requests:
cpu: "500m"
memory: "1Gi"
limits:
cpu: "1"
memory: "2Gi"

また、replicaCountの値を変更することで、n8nのPod数を増やして負荷分散させる(スケールアウトする)ことも可能です。ただし、そのためにはキューモード(Queue Mode)の有効化など、より高度な設定が必要になります。

まとめ:Helmでn8nの運用を効率化しよう

この記事では、Helmチャートを利用してKubernetes環境にn8nをデプロイし、管理する方法を解説しました。Helmを使うことで、複雑なKubernetes上のアプリケーション管理が驚くほどシンプルになり、設定の再利用やバージョン管理も容易になります。特に、データベースの永続化やIngress設定など、本番運用に欠かせないカスタマイズを体系的に管理できる点は大きなメリットです。

もしn8n自体の機能や基本的な使い方について、より深く知りたい場合は、当サイトの「n8n完全ガイド記事」がきっと役立つはずです。基本的な概念から具体的なワークフローの作成例まで、幅広くカバーしています。

この記事を読んで、早速n8nを試してみたくなった方もいるでしょう。以下のリンクからn8nの利用を開始して、業務自動化の第一歩を踏出しましょう。

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